ブルー×ブルー(1)/Will.A.Spencer
プリンセスの名前を設定できます⇒
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
チェスボードに丁寧に並べたコマが倒れないように足を忍ばせるウィルが
扉を閉めるのを確認して、Princessは口を引き締めた。
クロードがやってくるのは、いつものあの話のためだ。
クロードが厚みのある袋をテーブルに置き、両手でPrincessに押し出した。
「お納めください」
「……」
中を確認することもせずに、Princessはそのまま押し戻す。
「何度いらしても同じです。受け取れませんと王様にお伝えください」
Princessとクロードの間では、ウィルが生まれてから数え切れないほどに交わされた会話だった。
回を重ねるごとに袋の厚みが増しているのは、気のせいではない。
「本当に、私はウィルがウィル王子の子どもだと誰にも話していませんし、これからも話すつもりはありません。お金をいただかなくても、です。ウィルは、私だけの子どもです。私がひとりで育てていきます。王家のみなさまにご迷惑はかけません」
大切な我が子が、だれかにとって疎 ましい存在であってほしくはなかった。
ウィルというまぶしい小さな命を、この世のだれかが好ましく思っていないのだと想像するだけでPrincessは怒りとむなしさに震えた。
ただ、ふたりのつつましい毎日を守りたいだけなのに。
Princessは唇をかむ。
珍しくクロードが伏目がちに瞳を揺らした。
「Princess様のご希望の額をうかがってくるように、と」
彼が一呼吸おいて、ごくりと喉をならす。
「……セシル様が」
「!!」
セシルの名に、
Princessの心臓が急に脈をうつ。
クロードが初めて札束で膨れ上がった袋を持ってきたとき、Princessは、言われなくても気がついた。
幼いウィルの存在を、ウィル王子だけが知らないのだと。
子どもがいるとわかれば、彼が自分たちを放っておくはずはない。
Princessにお金だけを握らせるなど、彼がさせるとは到底思えなかった。
王たちにしてみれば、スキャンダルの発覚、ひいては王家への信頼の失墜をくいとめるためには、なんとしてもウィルに隠し通しておきたいところなのだろう。
Princessが子どもを盾に、いつ城に乗り込んでくるかもわからない。
札束を握らせて口止めをしなければ落ち着かない彼らの気持ちも、Princessにはわからなくはなかった。
どんな言い訳をしたところで、やっぱり悪いのは自分なのだ。
セシル様には、一番申し訳ないことをしてしまった……
仲良くしていただいたのに。
ウィルを愛していると笑った美しいセシル。
小さなウィルの存在を知った彼女の苦しみは、Princessがウィルと別れたときのそれよりも強いかもしれない。
どんな大金でもあげるから、絶対ウィルに近づかないで。
唇を怒りに震わせてそう言い放つセシルの姿が思い浮かんで、Princessは両手で顔を覆った。
……ごめんなさい、セシル様。
「Princess様?」
クロードが気遣うまなざしを向ける。
「あ、すみません。あの、お金の額の問題じゃないんです。これを受け取ってしまえば……こんなこといえる立場じゃないのですが……ウィル王子との思い出が汚 れてしまうように思えて、嫌なんです。だから、どんなにお金を積まれても受け取れません。もうお持ちにならないでください」
Princessは、袋をさらにクロードの前に押し出した。
扉を閉めるのを確認して、Princessは口を引き締めた。
クロードがやってくるのは、いつものあの話のためだ。
クロードが厚みのある袋をテーブルに置き、両手でPrincessに押し出した。
「お納めください」
「……」
中を確認することもせずに、Princessはそのまま押し戻す。
「何度いらしても同じです。受け取れませんと王様にお伝えください」
Princessとクロードの間では、ウィルが生まれてから数え切れないほどに交わされた会話だった。
回を重ねるごとに袋の厚みが増しているのは、気のせいではない。
「本当に、私はウィルがウィル王子の子どもだと誰にも話していませんし、これからも話すつもりはありません。お金をいただかなくても、です。ウィルは、私だけの子どもです。私がひとりで育てていきます。王家のみなさまにご迷惑はかけません」
大切な我が子が、だれかにとって
ウィルというまぶしい小さな命を、この世のだれかが好ましく思っていないのだと想像するだけでPrincessは怒りとむなしさに震えた。
ただ、ふたりのつつましい毎日を守りたいだけなのに。
Princessは唇をかむ。
珍しくクロードが伏目がちに瞳を揺らした。
「Princess様のご希望の額をうかがってくるように、と」
彼が一呼吸おいて、ごくりと喉をならす。
「……セシル様が」
「!!」
セシルの名に、
Princessの心臓が急に脈をうつ。
クロードが初めて札束で膨れ上がった袋を持ってきたとき、Princessは、言われなくても気がついた。
幼いウィルの存在を、ウィル王子だけが知らないのだと。
子どもがいるとわかれば、彼が自分たちを放っておくはずはない。
Princessにお金だけを握らせるなど、彼がさせるとは到底思えなかった。
王たちにしてみれば、スキャンダルの発覚、ひいては王家への信頼の失墜をくいとめるためには、なんとしてもウィルに隠し通しておきたいところなのだろう。
Princessが子どもを盾に、いつ城に乗り込んでくるかもわからない。
札束を握らせて口止めをしなければ落ち着かない彼らの気持ちも、Princessにはわからなくはなかった。
どんな言い訳をしたところで、やっぱり悪いのは自分なのだ。
セシル様には、一番申し訳ないことをしてしまった……
仲良くしていただいたのに。
ウィルを愛していると笑った美しいセシル。
小さなウィルの存在を知った彼女の苦しみは、Princessがウィルと別れたときのそれよりも強いかもしれない。
どんな大金でもあげるから、絶対ウィルに近づかないで。
唇を怒りに震わせてそう言い放つセシルの姿が思い浮かんで、Princessは両手で顔を覆った。
……ごめんなさい、セシル様。
「Princess様?」
クロードが気遣うまなざしを向ける。
「あ、すみません。あの、お金の額の問題じゃないんです。これを受け取ってしまえば……こんなこといえる立場じゃないのですが……ウィル王子との思い出が
Princessは、袋をさらにクロードの前に押し出した。