ブルー×ブルー(1)/Will.A.Spencer
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今日は我が子ウィルの5歳の誕生日だ。
長くもあり、短くもあった6年だった。
おそらく、今まで生きてきた中でPrincessにとっては一番起伏のある日々だったろう。
卒業間際には、Princessのおなかは隠しようもないくらいに張っていた。
友人の何人かは、黙ってPrincessと距離をおいた。
仲の良かった友人に、学業に専念する留学生の身でありながら妊娠したと、蔑みを含んだ目を向けられるのはつらかった。
父には初めて殴られた。
誰がおなかの子の親であるのか、頑なに沈黙するにPrincessに、母は、いつかは話してと泣き崩れた。
それ以来、Princessは故郷の土を踏んでいない。
ハーフで、しかも父親のいない子どもが、閉鎖的な自分のふるさとで暮らしにくいであろうことは、容易に想像できた。
その点シャルルならば籍をいれないままに出産することは珍しくない。
シャルルに残ることを選んだPrincessは、出産して数週間ののちにはすぐ働き始めた。
そうしなければ生活がたちゆかなかった。
小さなアパルトマンと仕事場だけを往復する毎日でも、Princessは幸せだった。
愛するウィルからの贈り物、小さなウィルさえいれば。
たった一夜だけかわしあった愛が命となった喜びは、何年たっても忘れようもなかった。
胸が引き裂かれんばかりの別れの痛みを、ウィルの小さな手のひらと無垢なまなざしが癒してくれた。
それと同時に、たくましく生きる強さも、輝く希望もPrincessに与えてくれた。
子どもって、すごい……
ひとりでは何もできないと助けてあげているつもりが、ただ存在するだけで本当は何百倍、何千倍も助けられているのだから。
Princessは相変わらずチェスのコマをしげしげと眺め続けるウィルの金髪をすきあげて、指の間からさらさらと落とした。
ウィル……生まれてきてくれて、ありがとう。
微笑んだPrincessに、ウィルが、ん?と小首をかしげた。
「Princess様」
クロードがウィルをちらりと見て、その視線をふたたびPrincessに戻した。
子どもに聞かれたくない話があるという合図だった。
「ウィル。向こうのお部屋にいて。ママはクロードさんとお話があるの」
長くもあり、短くもあった6年だった。
おそらく、今まで生きてきた中でPrincessにとっては一番起伏のある日々だったろう。
卒業間際には、Princessのおなかは隠しようもないくらいに張っていた。
友人の何人かは、黙ってPrincessと距離をおいた。
仲の良かった友人に、学業に専念する留学生の身でありながら妊娠したと、蔑みを含んだ目を向けられるのはつらかった。
父には初めて殴られた。
誰がおなかの子の親であるのか、頑なに沈黙するにPrincessに、母は、いつかは話してと泣き崩れた。
それ以来、Princessは故郷の土を踏んでいない。
ハーフで、しかも父親のいない子どもが、閉鎖的な自分のふるさとで暮らしにくいであろうことは、容易に想像できた。
その点シャルルならば籍をいれないままに出産することは珍しくない。
シャルルに残ることを選んだPrincessは、出産して数週間ののちにはすぐ働き始めた。
そうしなければ生活がたちゆかなかった。
小さなアパルトマンと仕事場だけを往復する毎日でも、Princessは幸せだった。
愛するウィルからの贈り物、小さなウィルさえいれば。
たった一夜だけかわしあった愛が命となった喜びは、何年たっても忘れようもなかった。
胸が引き裂かれんばかりの別れの痛みを、ウィルの小さな手のひらと無垢なまなざしが癒してくれた。
それと同時に、たくましく生きる強さも、輝く希望もPrincessに与えてくれた。
子どもって、すごい……
ひとりでは何もできないと助けてあげているつもりが、ただ存在するだけで本当は何百倍、何千倍も助けられているのだから。
Princessは相変わらずチェスのコマをしげしげと眺め続けるウィルの金髪をすきあげて、指の間からさらさらと落とした。
ウィル……生まれてきてくれて、ありがとう。
微笑んだPrincessに、ウィルが、ん?と小首をかしげた。
「Princess様」
クロードがウィルをちらりと見て、その視線をふたたびPrincessに戻した。
子どもに聞かれたくない話があるという合図だった。
「ウィル。向こうのお部屋にいて。ママはクロードさんとお話があるの」