ブルー×ブルー(1)/Will.A.Spencer
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玄関のチャイムに、パタパタと軽い足音を響かせて、“彼”が部屋を飛び出していく。
好奇心いっぱいの年頃の男の子は、扉の向こうに誰がいるのか確かめもせずに開けてしまうから困りものだ。
「あっ、クロード! ママー! クロードだよー」
満面の笑みを浮かべる小さな彼の大きな歓迎を受ければ、堅物クロードの顔もさすがにほころんだ。
彼はぴょんぴょんと跳ねて、クロードに「だっこ!」とせがむ。
クロードが、彼を抱き上げた。
空を映しとったようなブルーの瞳と、ブロンドの髪は我が主 にうりふたつ。
愛想がいいところは母譲りだなと、クロードは思う。
「少し拝見しませんうちにまた大きくなられましたね、ウィル様」
Princessがキッチンから顔だけをのぞかせる。
「ウィル、クロードさんって呼びなさいって言ってるでしょ」
口をきゅっと結んだPrincessが少しにらむようにすると、ウィルはクロードの肩にしがみついた。
「だって、クロードがクロードでいいって言うんだもん!」
クロードなりの思いはあるのだろうが、一般社会で生きていくウィルには、年上の人への敬意を学ばせたい。
「困ったものね」とつぶやいて、Princessは小さく息をはく。
「ご無沙汰してます、クロードさん。どうぞ入ってください。今、少し手が離せなくって」
Princessのいるキッチンからは甘い香りがただよってくる。
クロードがソファに腰をおろすと、ウィルはクロードの持つ箱を見つめた。
「クロード、それなあに?」
「こちらは5歳になられたウィル様への誕生日プレゼントでございますよ」
「ほんとに? うわあ」
差し出された箱を、ウィルが胸に抱える。
待ちきれないとでも言うように体を揺らして「開けてもいい?」と目を輝かせる彼に、クロードがうなずいた。
小さな指先が、たどたどしくリボンをほどいて箱を開ける。
「……あ、すごい。きれいな……えっと、チェス?」
ウィルが目をぱちくりとさせた。
重厚感あふれる大理石のチェスボードと、ブロンズ製のコマたちは中世のヨーロッパを思わせるデザインで、みるからに高級品だった。
Princessがクロードの前に紅茶を置いた。
「ありがとうございます、クロードさん。毎年、毎年プレゼントをいただいてしまって。しかも、こんな素晴らしい品物を……」
Princessは、何度も頭をさげて恐縮している。
「いいえ、Princess様。私はウィル様にふさわしいものだと思っております」
はあ、とPrincessはあいまいに返事をした。
「ねえ、ウィル、クロードさんにお礼を言ったの?」
チェスのコマをひとつひとつ手にとっては眺めていたウィルが、「あっ」とクロードに顔を向けた。
「クロード、ありがとう」
Princessがウィルの鼻をつつく。
「こら、クロードさん、でしょ」
ウィルはPrincessからの注意には慣れっこだ。
肩をすくめて、ふふっと目を細める笑顔は、愛する彼、ウィル王子そのものだった。
好奇心いっぱいの年頃の男の子は、扉の向こうに誰がいるのか確かめもせずに開けてしまうから困りものだ。
「あっ、クロード! ママー! クロードだよー」
満面の笑みを浮かべる小さな彼の大きな歓迎を受ければ、堅物クロードの顔もさすがにほころんだ。
彼はぴょんぴょんと跳ねて、クロードに「だっこ!」とせがむ。
クロードが、彼を抱き上げた。
空を映しとったようなブルーの瞳と、ブロンドの髪は我が
愛想がいいところは母譲りだなと、クロードは思う。
「少し拝見しませんうちにまた大きくなられましたね、ウィル様」
Princessがキッチンから顔だけをのぞかせる。
「ウィル、クロードさんって呼びなさいって言ってるでしょ」
口をきゅっと結んだPrincessが少しにらむようにすると、ウィルはクロードの肩にしがみついた。
「だって、クロードがクロードでいいって言うんだもん!」
クロードなりの思いはあるのだろうが、一般社会で生きていくウィルには、年上の人への敬意を学ばせたい。
「困ったものね」とつぶやいて、Princessは小さく息をはく。
「ご無沙汰してます、クロードさん。どうぞ入ってください。今、少し手が離せなくって」
Princessのいるキッチンからは甘い香りがただよってくる。
クロードがソファに腰をおろすと、ウィルはクロードの持つ箱を見つめた。
「クロード、それなあに?」
「こちらは5歳になられたウィル様への誕生日プレゼントでございますよ」
「ほんとに? うわあ」
差し出された箱を、ウィルが胸に抱える。
待ちきれないとでも言うように体を揺らして「開けてもいい?」と目を輝かせる彼に、クロードがうなずいた。
小さな指先が、たどたどしくリボンをほどいて箱を開ける。
「……あ、すごい。きれいな……えっと、チェス?」
ウィルが目をぱちくりとさせた。
重厚感あふれる大理石のチェスボードと、ブロンズ製のコマたちは中世のヨーロッパを思わせるデザインで、みるからに高級品だった。
Princessがクロードの前に紅茶を置いた。
「ありがとうございます、クロードさん。毎年、毎年プレゼントをいただいてしまって。しかも、こんな素晴らしい品物を……」
Princessは、何度も頭をさげて恐縮している。
「いいえ、Princess様。私はウィル様にふさわしいものだと思っております」
はあ、とPrincessはあいまいに返事をした。
「ねえ、ウィル、クロードさんにお礼を言ったの?」
チェスのコマをひとつひとつ手にとっては眺めていたウィルが、「あっ」とクロードに顔を向けた。
「クロード、ありがとう」
Princessがウィルの鼻をつつく。
「こら、クロードさん、でしょ」
ウィルはPrincessからの注意には慣れっこだ。
肩をすくめて、ふふっと目を細める笑顔は、愛する彼、ウィル王子そのものだった。
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