決戦はハロウィン・ナイト/Robert・Button
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Princessは俺の胸に顔をうずめて深呼吸を繰り返し、乱れた息を整えている。
カーテンを閉めないままの窓からは月の光がゆるやかに降って、Princessの上気した頬を照らした。
彼女自身の汗で首筋に絡んだ黒髪を、そっと指に取って肩に落とす。
「……ねえ、Princess? あんまり気持ちよくなかったでしょ」
尋ねると、Princessは「え」とためらいがちに俺を見上げた。
「なんか、心ここにあらずって感じがした」
Princessはいったん絡めた視線を伏せて、また俺の胸の上に頬を戻す。
「なんでもわかっちゃうんだね、ロベルトには」
「そりゃあ、俺はPrincessのダンナさんだからね。愛しい奥さんのことはなーんでもわかっちゃうわけです」
「……」
おどけてみせた俺にも、今夜のPrincessに笑顔はなかった。
俺は、大切な人とは向き合い続けると決めている。
はぐらかすつもりはない。だから、きっぱりと言った。
「母さんのオルゴールのこと、気にしてるんだよね?」
Princessは、言葉を発さずにうなずくと、手を俺の身体 に回してしがみついてきた。
両腕で彼女を抱きとめる。
小柄な身体全体が、俺に不安を訴えていた。
「確かに次は、今までより危ないかもしれない。だけど、最後のひとつなんだ。
あのオルゴールをあきらめるわけにはいかない」
「うん。わかってる。だけどベラルド大臣はいざとなったら本当にロベルトを撃つよ。私、心配で」
「ごめん、Princess。俺がこんなことを始めて、Princessを巻き込んだから……」
Princessは俺の腕の中で、「ちがうの、いいの」と懸命に首を横に振った。
Princessは、もともと盗みに加担していたわけじゃない。
はじめの何回かは、俺ひとりで街に出かけていた。
寝室の本棚を開けると、限られた人間だけが知る秘密の通路がある。
他国からの攻め込みや、クーデター、もしくは内乱。王家の人間は、いつ命を狙われるかわからない。
非常のときの逃げ道としての通路は、城の地下をくぐり、町外れの林に達する。
3年前から俺は、夜毎 に通路をつかって城を抜け出し、母さんの遺品の情報を集め、屋敷や博物館、美術館に忍び込んで、それらを取り戻していた。
アルには「新婚のベッドルームに来るなんて、無粋なことはしないでね」と言っておいたせいか、バレずに抜け出せていたけれど、問題なのはPrincessだった。
夜更けにそおおっと腕まくらをはずし、彼女の胸が規則正しく起伏していることを確認してから、抜き足、差し足で部屋をあとにする日々。
ところが。
あるとき、怪盗コスチュームからしっかりパジャマにまで着替えなおした俺の前に、Princessが立っていた。
まだ夜もあけきらない時間帯、まさか彼女が目を覚ましているとは思っていなかったから、その時の俺は異常に動揺していたに違いない。
むろん、「どこに行っていたの」と詰め寄るPrincessに、言い訳なんか用意しているはずもなく。
あわあわと目を泳がせて立ちすくむ俺に、「毎晩、毎晩……気付いてたんだよ? 結婚したばかりなのに」と涙声で訴える彼女は、完全に、しかも、大いなる誤解をしていた。
「違う! 違うって。誓って、女の子のところなんかには行ってないから!」
俺は、両手のひらをちぎれんばかりに振って否定した。
もうすでに顔を覆って泣き出したPrincessには、本当のことを打ち明けるしかなかった。
でも、もっと驚くだろうと思っていたのに、意外にも彼女はすんなりと別の顔の俺を受け入れ、それどころか自分も協力すると言い出した。
あのね、Princess。
そっちのほうが、よっぽど驚きだったんだけど。
Princessは見た目はふわふわの癒し系なのに、一度こうと決めたら芯が強い。
度胸だって、もしかしたら、俺よりあるかもしれない。
結局、自分にもできることがあると言い張る彼女は一歩もひかず、俺たちは夫婦で怪盗業をすることになって、今に至っている。
そんな“仕事”も、もう一回で終わりだった。
二人三脚で取り戻した母さんの宝は、あとひとつ手に入れられれば全部が元通りだ。
けれども今回は、黒幕の懐に飛び込むことになる。
しかも相手は、俺の射殺もいとわないと言い放っているのだ。
Princessが不安がるのも当たり前だった。
「Princess…心配しないで? 絶対に無理はしないって、約束するよ。下調べも、いつも以上にちゃんとやる」
「うん。私も、ロベルトが無事にお城に戻ってこられるように全力でフォローするね」
月明かりだけの部屋で、俺たちは視線を絡ませ、うなずきあった。
「ありがと、Princess。きっと、うまくいく。大丈夫だよ」
俺は、俺自身にも念じるように言ってから、Princessをもう一度強く抱きしめた。
ベラルド大臣の無慈悲な瞳を思い返せば、恐怖心が頭をもたげてくる。
でも、後戻りはできなかった。
ベラルドの汚れた手を、母さんの思い出に触れさせない。
そして、Princessとの未来も失えない。
「私には、ロベルト以上に大事な人は世界のどこにもいないの。それだけは忘れないで」
俺の胸を押して見上げるPrincessの漆黒の瞳が、切なげに揺れていた。
「Princess……」
ああ……
俺を慕う彼女が、狂おしいほどに愛おしい。
たまらず、Princessの両の手首をつかんで反転し、彼女をベッドに縫いとめた。
「え……ロベルトっ……んっ」
有無を言わさずPrincessの唇をふさぐ。
再び屹立した自身は、愛する彼女の最奥にその身を沈めたがっていた。
とめられない衝動。
あふれる想い。
「ねえ……もう一回、しよ? 今度はちゃんと、俺に夢中になってよ」
ねだるみたいに俺は、彼女のまぶしく白い双丘に顔をうずめた。
カーテンを閉めないままの窓からは月の光がゆるやかに降って、Princessの上気した頬を照らした。
彼女自身の汗で首筋に絡んだ黒髪を、そっと指に取って肩に落とす。
「……ねえ、Princess? あんまり気持ちよくなかったでしょ」
尋ねると、Princessは「え」とためらいがちに俺を見上げた。
「なんか、心ここにあらずって感じがした」
Princessはいったん絡めた視線を伏せて、また俺の胸の上に頬を戻す。
「なんでもわかっちゃうんだね、ロベルトには」
「そりゃあ、俺はPrincessのダンナさんだからね。愛しい奥さんのことはなーんでもわかっちゃうわけです」
「……」
おどけてみせた俺にも、今夜のPrincessに笑顔はなかった。
俺は、大切な人とは向き合い続けると決めている。
はぐらかすつもりはない。だから、きっぱりと言った。
「母さんのオルゴールのこと、気にしてるんだよね?」
Princessは、言葉を発さずにうなずくと、手を俺の
両腕で彼女を抱きとめる。
小柄な身体全体が、俺に不安を訴えていた。
「確かに次は、今までより危ないかもしれない。だけど、最後のひとつなんだ。
あのオルゴールをあきらめるわけにはいかない」
「うん。わかってる。だけどベラルド大臣はいざとなったら本当にロベルトを撃つよ。私、心配で」
「ごめん、Princess。俺がこんなことを始めて、Princessを巻き込んだから……」
Princessは俺の腕の中で、「ちがうの、いいの」と懸命に首を横に振った。
Princessは、もともと盗みに加担していたわけじゃない。
はじめの何回かは、俺ひとりで街に出かけていた。
寝室の本棚を開けると、限られた人間だけが知る秘密の通路がある。
他国からの攻め込みや、クーデター、もしくは内乱。王家の人間は、いつ命を狙われるかわからない。
非常のときの逃げ道としての通路は、城の地下をくぐり、町外れの林に達する。
3年前から俺は、
アルには「新婚のベッドルームに来るなんて、無粋なことはしないでね」と言っておいたせいか、バレずに抜け出せていたけれど、問題なのはPrincessだった。
夜更けにそおおっと腕まくらをはずし、彼女の胸が規則正しく起伏していることを確認してから、抜き足、差し足で部屋をあとにする日々。
ところが。
あるとき、怪盗コスチュームからしっかりパジャマにまで着替えなおした俺の前に、Princessが立っていた。
まだ夜もあけきらない時間帯、まさか彼女が目を覚ましているとは思っていなかったから、その時の俺は異常に動揺していたに違いない。
むろん、「どこに行っていたの」と詰め寄るPrincessに、言い訳なんか用意しているはずもなく。
あわあわと目を泳がせて立ちすくむ俺に、「毎晩、毎晩……気付いてたんだよ? 結婚したばかりなのに」と涙声で訴える彼女は、完全に、しかも、大いなる誤解をしていた。
「違う! 違うって。誓って、女の子のところなんかには行ってないから!」
俺は、両手のひらをちぎれんばかりに振って否定した。
もうすでに顔を覆って泣き出したPrincessには、本当のことを打ち明けるしかなかった。
でも、もっと驚くだろうと思っていたのに、意外にも彼女はすんなりと別の顔の俺を受け入れ、それどころか自分も協力すると言い出した。
あのね、Princess。
そっちのほうが、よっぽど驚きだったんだけど。
Princessは見た目はふわふわの癒し系なのに、一度こうと決めたら芯が強い。
度胸だって、もしかしたら、俺よりあるかもしれない。
結局、自分にもできることがあると言い張る彼女は一歩もひかず、俺たちは夫婦で怪盗業をすることになって、今に至っている。
そんな“仕事”も、もう一回で終わりだった。
二人三脚で取り戻した母さんの宝は、あとひとつ手に入れられれば全部が元通りだ。
けれども今回は、黒幕の懐に飛び込むことになる。
しかも相手は、俺の射殺もいとわないと言い放っているのだ。
Princessが不安がるのも当たり前だった。
「Princess…心配しないで? 絶対に無理はしないって、約束するよ。下調べも、いつも以上にちゃんとやる」
「うん。私も、ロベルトが無事にお城に戻ってこられるように全力でフォローするね」
月明かりだけの部屋で、俺たちは視線を絡ませ、うなずきあった。
「ありがと、Princess。きっと、うまくいく。大丈夫だよ」
俺は、俺自身にも念じるように言ってから、Princessをもう一度強く抱きしめた。
ベラルド大臣の無慈悲な瞳を思い返せば、恐怖心が頭をもたげてくる。
でも、後戻りはできなかった。
ベラルドの汚れた手を、母さんの思い出に触れさせない。
そして、Princessとの未来も失えない。
「私には、ロベルト以上に大事な人は世界のどこにもいないの。それだけは忘れないで」
俺の胸を押して見上げるPrincessの漆黒の瞳が、切なげに揺れていた。
「Princess……」
ああ……
俺を慕う彼女が、狂おしいほどに愛おしい。
たまらず、Princessの両の手首をつかんで反転し、彼女をベッドに縫いとめた。
「え……ロベルトっ……んっ」
有無を言わさずPrincessの唇をふさぐ。
再び屹立した自身は、愛する彼女の最奥にその身を沈めたがっていた。
とめられない衝動。
あふれる想い。
「ねえ……もう一回、しよ? 今度はちゃんと、俺に夢中になってよ」
ねだるみたいに俺は、彼女のまぶしく白い双丘に顔をうずめた。