坂田家の日常
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「あっ!?コラ息子!こぼすんじゃねェって!」
ある日のランチタイムのこと。
最近、息子は離乳食への切り替えが始まった。
小さな口を広げてお粥を頬張る姿はとても可愛らしい。
……のだが。
「ぁうあー!」
「ちょっとォォ!叩いちゃダメェェェ!」
先ほどから銀八が息子に離乳食を食べさせているのだが、息子のほうは遊んでもらっていると思っているのか、ご機嫌で手足をバタつかせている。
手足の衝撃でテーブルが揺れ、飛沫があちこちに散らばった。
それでも銀八は懸命に責務を全うしようとしているが、どうやら息子のほうが一枚上手らしい。
「なまえ~。コイツ全然食ってくんねーんだけどォォ!」
「もー、何遊んでんの」
「遊んでねーよ!」
調理の手を止め、なまえは息子のそばに歩み寄る。
そしてスプーンでお粥を一匙掬って息子の口に運んでやった。
「ほら息子。あーん」
「あー」
すると息子はすんなり口を大きく開け、ぱっくんと飲み込んだ。
「えぇー……」
何だこの手のひら返し。
銀八はそう思った。自分がやればいつまでも遊んでばっかりでてんで食べやしないのに。
なんでなまえがやると大人しく食うんだよ!
「おー、えらいえらい。ちゃんと食べたね~いい子だね~」
お行儀良くなった息子の頭をなまえは笑顔で撫でまわした。
そして息子もうきゃあと嬉しそうに笑う。
残りのお粥も上手に食べ終え、なまえはもう一度息子を撫でてやった。
しかしそんな光景に納得がいかない男がひとり。
「待てェェェ!!何だよコイツ!なんでなまえが食べさせると大人しいわけ!?俺の時は暴れちぎってちっとも食いやしねェのに!」
「もー。そんなことで怒らなくてもいいじゃないの」
なまえは息子を抱き上げた。
「それじゃあミルクにしようね」
独りごとのように呟くと息子は何かを察知したのか、目の前にあるなまえの胸をまさぐり始めた。
「ぁうー…ま…ん~…」
「まだ卒業は先だねぇ」
「だう」
「なまえちゃん、早く切り替え終わってくんない?そろそろそのオッパイ俺に返してくんない?」
「アンタのじゃないでしょーが!」
手をワキワキと蠢かせて銀八がにじり寄ってくる。
なまえは息子を抱いたまま銀八の頭を叩くと、スパンといい音がした。
それでも銀八はめげずになまえに背中から抱き着く。
「いいだろぉ~息子が生まれてから貸しっぱなしで俺もちょっとしか触れてねーんだからよォ~」
「『貸しっぱなし』って何。それにちょっとは触ってるんでしょ」
「触る程度じゃ足りねーよ。本当はもっと思いっきり揉み回したいんだかr「おバカ!」ぐはっ」
どんどん下品になっていく言い回しにさすがのなまえもキレ、眉間に皺を寄せ先ほどよりも拳に力を込めて銀八を殴りつけた。
心底軽蔑したような目で一瞥くれると、息子と共にその場を後にした。
「いてて………ん?」
銀八は殴られた頬を押さえながら起き上がると、視線に気づく。
その先を辿っていくと。
「……へっ」
「…………!!」
なまえの腕の中から顔だけひょっこり出して見せた息子。
その表情は父親をバカにしたような、そんな顔。
銀八はすぐさま立ち上がり抗議の声を上げた。
「ちょっと待てなまえ!今コイツ鼻で笑いやがった!」
「はぁ?そんなわけないでしょ。こんな赤ちゃんなんだよ?」
「いーや間違い無いね!オイ息子!なまえから離れろ!」
「はいはい、パパはうるさいですね~あっち行きましょうね~」
そう言ってなまえは息子を連れてその場をあとにした。
「…息子のヤロー……」
あんなに可愛らしかった息子。
小さな成長すらも愛おしくて仕方なかったはずなのに、どうやらヤツは危険なライバルでもあったらしい。
これが喋るようになったら。
これが歩くようになったら…。
これから訪れるであろうイベントを思うと、嬉しいやら悔しいやら。
銀八は複雑な感情を抱くのだった。
ある日のランチタイムのこと。
最近、息子は離乳食への切り替えが始まった。
小さな口を広げてお粥を頬張る姿はとても可愛らしい。
……のだが。
「ぁうあー!」
「ちょっとォォ!叩いちゃダメェェェ!」
先ほどから銀八が息子に離乳食を食べさせているのだが、息子のほうは遊んでもらっていると思っているのか、ご機嫌で手足をバタつかせている。
手足の衝撃でテーブルが揺れ、飛沫があちこちに散らばった。
それでも銀八は懸命に責務を全うしようとしているが、どうやら息子のほうが一枚上手らしい。
「なまえ~。コイツ全然食ってくんねーんだけどォォ!」
「もー、何遊んでんの」
「遊んでねーよ!」
調理の手を止め、なまえは息子のそばに歩み寄る。
そしてスプーンでお粥を一匙掬って息子の口に運んでやった。
「ほら息子。あーん」
「あー」
すると息子はすんなり口を大きく開け、ぱっくんと飲み込んだ。
「えぇー……」
何だこの手のひら返し。
銀八はそう思った。自分がやればいつまでも遊んでばっかりでてんで食べやしないのに。
なんでなまえがやると大人しく食うんだよ!
「おー、えらいえらい。ちゃんと食べたね~いい子だね~」
お行儀良くなった息子の頭をなまえは笑顔で撫でまわした。
そして息子もうきゃあと嬉しそうに笑う。
残りのお粥も上手に食べ終え、なまえはもう一度息子を撫でてやった。
しかしそんな光景に納得がいかない男がひとり。
「待てェェェ!!何だよコイツ!なんでなまえが食べさせると大人しいわけ!?俺の時は暴れちぎってちっとも食いやしねェのに!」
「もー。そんなことで怒らなくてもいいじゃないの」
なまえは息子を抱き上げた。
「それじゃあミルクにしようね」
独りごとのように呟くと息子は何かを察知したのか、目の前にあるなまえの胸をまさぐり始めた。
「ぁうー…ま…ん~…」
「まだ卒業は先だねぇ」
「だう」
「なまえちゃん、早く切り替え終わってくんない?そろそろそのオッパイ俺に返してくんない?」
「アンタのじゃないでしょーが!」
手をワキワキと蠢かせて銀八がにじり寄ってくる。
なまえは息子を抱いたまま銀八の頭を叩くと、スパンといい音がした。
それでも銀八はめげずになまえに背中から抱き着く。
「いいだろぉ~息子が生まれてから貸しっぱなしで俺もちょっとしか触れてねーんだからよォ~」
「『貸しっぱなし』って何。それにちょっとは触ってるんでしょ」
「触る程度じゃ足りねーよ。本当はもっと思いっきり揉み回したいんだかr「おバカ!」ぐはっ」
どんどん下品になっていく言い回しにさすがのなまえもキレ、眉間に皺を寄せ先ほどよりも拳に力を込めて銀八を殴りつけた。
心底軽蔑したような目で一瞥くれると、息子と共にその場を後にした。
「いてて………ん?」
銀八は殴られた頬を押さえながら起き上がると、視線に気づく。
その先を辿っていくと。
「……へっ」
「…………!!」
なまえの腕の中から顔だけひょっこり出して見せた息子。
その表情は父親をバカにしたような、そんな顔。
銀八はすぐさま立ち上がり抗議の声を上げた。
「ちょっと待てなまえ!今コイツ鼻で笑いやがった!」
「はぁ?そんなわけないでしょ。こんな赤ちゃんなんだよ?」
「いーや間違い無いね!オイ息子!なまえから離れろ!」
「はいはい、パパはうるさいですね~あっち行きましょうね~」
そう言ってなまえは息子を連れてその場をあとにした。
「…息子のヤロー……」
あんなに可愛らしかった息子。
小さな成長すらも愛おしくて仕方なかったはずなのに、どうやらヤツは危険なライバルでもあったらしい。
これが喋るようになったら。
これが歩くようになったら…。
これから訪れるであろうイベントを思うと、嬉しいやら悔しいやら。
銀八は複雑な感情を抱くのだった。