2年Z組銀八先生
ヒロインの名前
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If you find someone you love in your life, then hang on to that love.(ダイアナ)
あなたの人生において愛する人を見つけたら、その人をしっかりとつかまえなさい。
今はまだ、その裾をつまんだだけ。
*
長かった夏休みが明け、新学期が始まった。
相も変わらずZ組の成績は絶賛低迷中である。
しかし、そんな彼らも大好きなイベントが今年もやって来る。
「えー、それでは2年Z組の出し物ですが…」
要項を手に黒板に文字を書き連ねるのは、学級委員の桂小太郎だった。
黒板には『2年Z組 出し物案』と書かれている。
桂は振り返り、「では、案を出してください」と言うと…
「大食いチャンピオン決定戦!」
「告白大会!」
「土方スペシャル早食い選手権!」
「ドS大会~」
「お料理コンテスト!」
「オイイイィィ!!てめーら自分がやりてーだけじゃねーかァァ!」
自分の欲望に忠実な生徒達の案が次々と出される。
そしてそれらをまとめて新八がツッコんだ。
「なんだヨ新八。思う存分食べられるアルよ何が不満ネ」
「大食いなんてどうやって料理の準備するんだよ。神楽ちゃんが食べたいだけでしょ?」
「その点、俺の告白大会なら金はかからんぞ!お妙さんの愛を叫ぶ大会だがな~!」
「そんなのいつもやってるじゃないですか!勝手にやってくださいよ」
「土方スペシャルなら米とマヨネーズしかいらねーから安上がりだぜ」
「あんな犬のエサ食えるのあんたしかいないでしょうが!」
「じゃあ消去法でドS大会になりやすね」
「何を競う大会だよ!」
それぞれに新八がツッコんでいく。
新八の息も切れそうになった時、お妙が嬉しそうに微笑んだ。
「もう、やっぱり私のお料理コンテストが一番まともね」
「死人が出るって意味では一番危険だけどな」
今度は教室の端に寄りかかっていた銀八がツッコんだ。
「文化祭の出し物なんざ適当でいいんだよ適当で。金がかからなくて、手軽なやつ」
すると、今度はキャサリンが手を挙げた。
「ハイ。展示トカイインジャナイデスカ」
珍しくまともな案に他の生徒達も感心していた。
しかし、展示といっても色々ある。工作?図画?一体何にするのか。
桂はむう、と首を捻った。
「展示か…悪くはないが、一体何を展示するというんだ?」
「珍シイ石ヲ展示スルンデス。校庭デ拾ッタ」
「なんかどっかで聞いたことあるやつ!」
「チッ。イイ案ダト思ッタノニ」
ボソリと呟いたキャサリンの手元には●木楠雄の●難の単行本があった。
やれやれ、と言いたげに銀八はため息をついた。
「発想は悪くねーがもっと古い作品からパクるべきだな」
「古くても新しくてもパクリ自体が問題だっつーの!」
他にもいろいろと出し物の案が挙げられたものの、これといって決定打が見つからない。
生徒達も飽きが来たのか、漫画を読みだしたり、早弁を始めたりと話し合いの体が崩れてきた。
そんな様子を見て、桂は仕方無いなと呟いた。
「なかなか決まらんな…ここは折衷案として、エリザベス記念館としよう」
「一番意味わかんねーよ!!」
…結局、出し物は決まらず次回のホームルームまで持ち越しとなった。
本当に次で決められるのか、銀八もなまえも不安しか感じていなかった。
教室を出て二人は職員室へ向かう廊下を歩く。
「ったく、バカが揃うとバカな案しか出ねーな」
「で、でも、面白そうではありましたよね?」
生徒達のハチャメチャな案になまえも少々呆れていたが、さすがに堂々と罵倒はできずフォローに回る。
しかし銀八は呆れ顔を隠しもしない。
「面白そうってなァ、適当でいいんだよ文化祭なんて。面倒臭ェ」
うんざりした顔で銀八は頭を掻いた。
「坂田先生、文化祭が嫌いですか?」
「ああ嫌いだね。ワーキャー騒ぐだけで何にも楽しかねーよ」
「そ、そんなに…?」
なまえの記憶では文化祭は基本、楽しい思い出であるのだが。
銀八は一体どんな文化祭を経験してきたのだろう。
「でも、他のクラスは面白い出し物があるかもしれませんよ!」
「いや、俺は視聴覚室に籠るから」
「へ?」
「毎年文化祭は視聴覚室でずっと映画とか観てんだよ、俺」
「そうなんですか」
「一緒に観る?」
思ってもみない誘いになまえの表情がわずかに明るくなった。
「いいんですか?」
「いいぜ。…流すのはポルノだけどな」
「えっ!?」
ニヤリと笑う銀八になまえは一瞬で顔が真っ赤に染まった。
からかわれている。
そう思ったなまえは急に足を速め、銀八を置いて行ってしまう。
「からかうなんて、ひどいですっ」
怒っているんだ、というアピールをしているつもりなのだが、それでも銀八は楽しそうに笑っていた。
「冗談に決まってんだろ~?ウブだねェなまえ先生は」
冗談であっても恥ずかしい。
なまえは本当にそんなシーンを想像してしまったのだ。
変な想像をしてしまう自分が恥ずかしくて、そしてそんな顔を銀八に見られたくなくて、銀八から逃げるようになまえは急いで職員室のドアを開けるのだった。