坂田家の日常
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日曜日の午後。
銀八となまえは息子を連れてショッピングモールを歩いていた。
初めて見る景色に息子は目をキラキラ輝かせ、ベビーカーの中で手足をバタつかせる。
「おーおー。ごキゲンですねェ息子クンは」
「こんな元気になるなんて、お外が好きなのかな?」
人々が行き交う中、専門店街を歩いているとかつて訪れたあのベビー用品店が目に入った。
「…ね、ちょっと寄ってかない?」
懐かしい気持ちになったなまえは銀八の服の裾を引っ張った。
呼び止められた銀八も目の前の店を見ると、以前この店に訪れたときのことを思い出した。
「そういやまだ来れてなかったな」
あの時、なまえは自分の子のためのものを見たいと言っていた。
しかしいざ子供が生まれるとてんやわんやで、ゆっくりショッピングなんて暇は無かったのだ。
「キャー!可愛い!ねえどれにしよう!?」
「わーったからはしゃぐなって。息子もビックリしてんぞ」
憧れたシチュエーションに大興奮するなまえ。
そしてそれを見ている息子は、かつてないテンションの母親に驚いている。
なまえはディスプレイされている服を一枚手に取ると息子の前に当てた。
「こっちの色の方が…いや、こっちかなぁ」
ああでもないこうでもないと悩んでいると、店の奥から店員が近寄ってきた。
「お子様のお洋服をお探しですか?」
「はい!でもたくさんあって迷っちゃって」
「そうですね、こちらはどうでしょう」
心底楽しそうに息子のための服を選ぶなまえを銀八は微笑ましく見つめていた。
自分の子のために一生懸命服を選ぶ様子は幸せそうだった。
「ありがとな、息子。かーちゃんを幸せにしてくれて」
小声でそう呟き、小さなモジャモジャ頭を優しく撫でた。
「あれ、銀八先生?」
突然、背後から自分を呼ぶ声がした。
振り返るとそこにいたのはかつて受け持っていたクラスの生徒たち。
志村姉弟と神楽だった。
「お久しぶりです、先生」
「銀ちゃんも買い物アルか」
「おめーらも来てたのか」
「もう帰るところですけどね」なんて言って新八は手に持っていたショッピングバッグを持ち上げてみせた。
見るからに重そうな紙袋で、きっとお妙に買わされたんだなと思った。
「あれっ、みんな!?」
そのとき、買い物が終わったのか小さな袋を持ったなまえが店の奥から戻ってきた。
その表情は驚きと歓喜が混じっている。
「お久しぶりです、みょうじ先生」
「新ちゃん、もうみょうじ先生じゃないわよ」
「あ、そうでした。すみません…」
「ううん、今の学校でも旧姓で呼ばれてるから。気にしないで」
そんなやりとりを見ていた神楽は、息子を指さして尋ねた。
「ねぇねぇ銀ちゃん。ひょっとしてこの赤ちゃん、銀ちゃんたちの子供アルか」
「そーだけど」
「まぁ可愛いですね~坂田先生ソックリなのに可愛いわ~」
「どういう意味だコラ」
お妙は子の可愛らしさにとろけながらその頭を優しく撫でた。
失礼な言葉が聴こえた気もしたが、にこにこと笑いながら息子を可愛がる姿を見てスルーすることにした。
それから彼らの近況を聞き、あまり話し込むことなく別れた。
小さな子供を連れての外出はあまり長時間かけられないからだ。
「ほら息子、お姉ちゃんたちにバイバイしようね」と言って息子を抱き上げると、別れるのがイヤだと言っているかのようにグズったのには驚いたけれど。
―――
その日の夜、なまえは昔のアルバムを眺めていた。
ベッドの端に腰かけ、膝の上に息子を乗せて、まるで絵本の読み聞かせをするように。
息子は不思議なものを見るように中に収まった写真を見ている。
「懐かしいなぁ。…あ、見て息子。これパパだよ」
「ぱぱ?」
「うん。それで、こっちがママ」
「まま!」
かつての自分達が写っている箇所を息子に見せると、息子も両親だとわかったのか指をさして喜んでいる。
こんなこともあったなあ…
あれからいろいろあったなあ…
この写真を撮ったころを思い出していると、背後から声をかけられた。
「何してんですかァー、なまえちゃん?」
「きゃあァッ!?」
すっかり思い出に浸っていたなまえは思わず驚きの声を上げてしまう。
ビクッ!とすくみあがったせいで、膝上に座らせた息子まで飛び跳ねた。
振り向くとそこにいたのはいつの間にか部屋に入っていた銀八だった。
「びっくりしたぁ、脅かさないでよ」
「メンゴメンゴ。…それよりオメーら何見てんの?アルバム?」
なまえの抗議をよそに銀八はなまえの肩越しにアルバムを覗き込んだ。
それは銀魂高校3年Z組の卒業アルバムだった。
なまえがまだ銀魂高校の教諭だった頃の。
「…今日、神楽ちゃんたちと会って…なんか懐かしくなっちゃって」
馬鹿にされちゃうかな、となまえは思ったが、銀八は特にからかいもしなかった。
無言で反対側に回り、なまえの隣に腰かけた。
「あのバカ達が卒業して結構経つもんな」
「…うん。そうだね」
こうして思い出のかけらを拾っていくうち、いろんなことを思い出す。
この人と出会って、好きになって、付き合うようになった。
しばらくなかなか会えなくなって、それで…―――
―――――――――――
このお話でこの章は一旦おしまいとなります。
続きとなるお話は暫くお待ち頂きたくお願いいたします。
お楽しみにしておられる方(いるのかな?)は、気長にお待ちいただけると幸いです。
銀八となまえは息子を連れてショッピングモールを歩いていた。
初めて見る景色に息子は目をキラキラ輝かせ、ベビーカーの中で手足をバタつかせる。
「おーおー。ごキゲンですねェ息子クンは」
「こんな元気になるなんて、お外が好きなのかな?」
人々が行き交う中、専門店街を歩いているとかつて訪れたあのベビー用品店が目に入った。
「…ね、ちょっと寄ってかない?」
懐かしい気持ちになったなまえは銀八の服の裾を引っ張った。
呼び止められた銀八も目の前の店を見ると、以前この店に訪れたときのことを思い出した。
「そういやまだ来れてなかったな」
あの時、なまえは自分の子のためのものを見たいと言っていた。
しかしいざ子供が生まれるとてんやわんやで、ゆっくりショッピングなんて暇は無かったのだ。
「キャー!可愛い!ねえどれにしよう!?」
「わーったからはしゃぐなって。息子もビックリしてんぞ」
憧れたシチュエーションに大興奮するなまえ。
そしてそれを見ている息子は、かつてないテンションの母親に驚いている。
なまえはディスプレイされている服を一枚手に取ると息子の前に当てた。
「こっちの色の方が…いや、こっちかなぁ」
ああでもないこうでもないと悩んでいると、店の奥から店員が近寄ってきた。
「お子様のお洋服をお探しですか?」
「はい!でもたくさんあって迷っちゃって」
「そうですね、こちらはどうでしょう」
心底楽しそうに息子のための服を選ぶなまえを銀八は微笑ましく見つめていた。
自分の子のために一生懸命服を選ぶ様子は幸せそうだった。
「ありがとな、息子。かーちゃんを幸せにしてくれて」
小声でそう呟き、小さなモジャモジャ頭を優しく撫でた。
「あれ、銀八先生?」
突然、背後から自分を呼ぶ声がした。
振り返るとそこにいたのはかつて受け持っていたクラスの生徒たち。
志村姉弟と神楽だった。
「お久しぶりです、先生」
「銀ちゃんも買い物アルか」
「おめーらも来てたのか」
「もう帰るところですけどね」なんて言って新八は手に持っていたショッピングバッグを持ち上げてみせた。
見るからに重そうな紙袋で、きっとお妙に買わされたんだなと思った。
「あれっ、みんな!?」
そのとき、買い物が終わったのか小さな袋を持ったなまえが店の奥から戻ってきた。
その表情は驚きと歓喜が混じっている。
「お久しぶりです、みょうじ先生」
「新ちゃん、もうみょうじ先生じゃないわよ」
「あ、そうでした。すみません…」
「ううん、今の学校でも旧姓で呼ばれてるから。気にしないで」
そんなやりとりを見ていた神楽は、息子を指さして尋ねた。
「ねぇねぇ銀ちゃん。ひょっとしてこの赤ちゃん、銀ちゃんたちの子供アルか」
「そーだけど」
「まぁ可愛いですね~坂田先生ソックリなのに可愛いわ~」
「どういう意味だコラ」
お妙は子の可愛らしさにとろけながらその頭を優しく撫でた。
失礼な言葉が聴こえた気もしたが、にこにこと笑いながら息子を可愛がる姿を見てスルーすることにした。
それから彼らの近況を聞き、あまり話し込むことなく別れた。
小さな子供を連れての外出はあまり長時間かけられないからだ。
「ほら息子、お姉ちゃんたちにバイバイしようね」と言って息子を抱き上げると、別れるのがイヤだと言っているかのようにグズったのには驚いたけれど。
―――
その日の夜、なまえは昔のアルバムを眺めていた。
ベッドの端に腰かけ、膝の上に息子を乗せて、まるで絵本の読み聞かせをするように。
息子は不思議なものを見るように中に収まった写真を見ている。
「懐かしいなぁ。…あ、見て息子。これパパだよ」
「ぱぱ?」
「うん。それで、こっちがママ」
「まま!」
かつての自分達が写っている箇所を息子に見せると、息子も両親だとわかったのか指をさして喜んでいる。
こんなこともあったなあ…
あれからいろいろあったなあ…
この写真を撮ったころを思い出していると、背後から声をかけられた。
「何してんですかァー、なまえちゃん?」
「きゃあァッ!?」
すっかり思い出に浸っていたなまえは思わず驚きの声を上げてしまう。
ビクッ!とすくみあがったせいで、膝上に座らせた息子まで飛び跳ねた。
振り向くとそこにいたのはいつの間にか部屋に入っていた銀八だった。
「びっくりしたぁ、脅かさないでよ」
「メンゴメンゴ。…それよりオメーら何見てんの?アルバム?」
なまえの抗議をよそに銀八はなまえの肩越しにアルバムを覗き込んだ。
それは銀魂高校3年Z組の卒業アルバムだった。
なまえがまだ銀魂高校の教諭だった頃の。
「…今日、神楽ちゃんたちと会って…なんか懐かしくなっちゃって」
馬鹿にされちゃうかな、となまえは思ったが、銀八は特にからかいもしなかった。
無言で反対側に回り、なまえの隣に腰かけた。
「あのバカ達が卒業して結構経つもんな」
「…うん。そうだね」
こうして思い出のかけらを拾っていくうち、いろんなことを思い出す。
この人と出会って、好きになって、付き合うようになった。
しばらくなかなか会えなくなって、それで…―――
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このお話でこの章は一旦おしまいとなります。
続きとなるお話は暫くお待ち頂きたくお願いいたします。
お楽しみにしておられる方(いるのかな?)は、気長にお待ちいただけると幸いです。