午前７時を告げる時計のアラームで目が覚める。
朝日が差しこみカーテンから光が漏れていた。
冬が近づきつつあるせいか、このところ朝は冷え込んでいる。
銀八は身震いしながらベッドから降りた。

大きなあくびをしながら向かった先は洗面所。
顔を洗い歯を磨くと、少しスッキリした。

リビングに入ると、いい匂いがしてきた。
カウンターテーブルを挟んで向こう側のキッチンに人がいる。

「あ、おはよう。銀八」
「…おはよう」

銀八の気配に気づいて振り返ったのは、銀八の妻であるなまえだった。
なまえは嬉しそうに微笑んだ。

「朝ごはんもうできてるよ」

そう言ってお玉を持つ姿は可愛らしい新妻そのものだ。
結婚祝いに貰ったとかいうフリルが多いエプロンも様になっている。
…ああ、可愛い。
そう思った銀八はなまえに近づくと、その手を取り思いきりなまえを抱きしめた。

「…もう。甘えん坊さんなんだから」

なまえはさして驚きもせずクスリと笑って抱きしめ返してくれる。
柔らかな身体を全身で味わうと、そのままなまえにそっと口づけた。
最初は軽く、それだけ…と思っていたはずなのに、気付けばそれはどんどん深くなっていた。
それでもなまえは嫌がる素振りもなく、キスを受け入れてくれる。

右手を離し、なまえの左手をとる。
指同士を絡ませると、薬指の指輪の硬さを感じた。

こんな甘くて幸せな時間を毎日味わえるなんて。