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10年越しの再会

…今、私はジェラールと一緒に 
バスルームの浴槽にいます。 
さらに詳しく言うと、 
後ろから抱きしめられている状態で…… 
ものすごく恥ずかしいです…。 
早く、この状況から抜け出したい… 
お互い殆ど裸で… 
後ろから抱きしめられてるって、 
なんだか危ない状況だと思うのは私だけかな…? 

「…ウェンディ…」 
「っ!!」 

み、耳元で甘い声で囁かないで…! 
すごく心臓に悪いよ… 

「今、何を考えているんだ…?」 
「…ジェラールは本当に意地悪になったね」 
「ウェンディ限定だ…」 

耳に息を吹き掛けられて 
なんか背筋がゾクゾクした… 

「ジェラー……っ!」 

今度は耳朶を甘噛みされて軽く舐められた… 

「…んっ……!」 

必死に声を抑えると 
聞こえてきたのはジェラールの笑い声… 

「…感じたのか…?」 
「!!ち、ちがっ…!」 
「じゃあ、いちいち可愛い反応をしないでくれ…」 

その後に付け加えられた言葉を聞いて 
私は顔が真っ赤になるのを感じた… 

―襲いたくなる…― 

恐る恐る後ろを見ると、 
そこには少し微笑んでいるジェラールが…… 
ただ、ちょっと目が変なだけで… 
いや、身の危険を感じる程で…… 

「あの……ジェラール? 
手は出さないって、言ってた…よね?」 
「ああ、君が了承するまでは手を出さない」 

確認して、少し安心したのも束の間… 

「だが、我慢するのが大変なんだ…」 
「は、離して!ジェラールっ」 
「嫌だ、と言ったら…?」 
「………手は、出さない?」 
「…ああ、約束する」 
「……なら、いいよ…」 
「………こっちを向いてくれるか?」 
「………うん…」 

向かい合わせの状態で抱きしめられ、 
黙ってしまったジェラール… 
居心地悪いし、恥ずかしい…! 
突然、体同士が離れて温もりが消えた。 
何かと思って彼の名を呼ぼうとしたら 

「ジェラー……っ!?」 

胸元に、違和感… 
見ると、ジェラールが私の胸元にキスを落としていた 
バスタオルのすぐ上、胸を見られていないと 
少し安心して……さらに違和感を感じた。 

………吸われてる…? 
え、ジェラール?手を出さないって 
そういう事はしないってだけで、あの… 
愛情表現はどんな事をしてでもするって事? 

「…ジェラール、何…してるの?」 
「………」 

ジェラールの唇が胸元から離れた 
私の胸元には紅い痕…… 
所有印とかキスマークとか 
呼ばれるものが刻まれていた… 

「……ジェラー…ル?あの……こ、これ…」 
「君が俺のだという証拠だ」 
「っ……!」 
「…俺はそろそろ上がるが、 
君は気持ちが少し落ち着いてから 
上がって来るといい」 
「……うん…」 

バスルームから出て行ったジェラール 

「……………」 

胸元の所有印を指でなぞった。 
感じるのは愛されている実感と幸福感… 

「だけど、やっぱり 
ジェラールは……意地悪になったね…」 

そう呟いた後、 
脱衣所から出て行くような音が聞こえたから 
私も腰を上げて、脱衣所へ向かった…
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