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10年越しの再会

私は気絶したウェンディをまじまじと見ていた。 
…そして、そんな私を扉から見ている城の者達…… 
私は『見るな』という意味を込めて睨んだ。 

*~*~*~*~*~*~* 

(グランディーネ…… 
どこ行ったの?グランディーネ…) 

大好きな…突然いなくなってしまったグランディーネ 
……泣いていた時、出会ったのは旅をしているという 
男の子だった。名前は……ジェラール…。 
大好きだった……ずっと一緒にいてもいいか 
聞いてみたら、『勿論』と言ってくれた。 
だから…信じてたの、ずっと一緒にいられるって…… 
…だけど、貴方は私に別れを告げた。 
すごく辛かった……どうしてグランディーネも 
ジェラールも私の元から去っていくのか、 
わからなかった… 

(……会いたいよ、ジェラール…っ!) 

*~*~*~*~*~*~* 

「…ん……」 
「…ウェンディ、起きたのか?」 
「…!ジェラールっ!!」 

私は思わずジェラールに抱きついた。 

「…ウェンディ…?」 
「ジェラール…!」 
「…どうか…したのか?」 
「っ……!!」 

夢の影響を受けて抱きついてしまったけれど、 
私はそこでやっと思い出したの。 
どうして気絶したのかを… 

―私と結婚してくれないか?― 
―愛している― 

顔が赤くなっていくのがわかったから、 
すぐにジェラールから離れた… 

「ウェンディ?」 
「ぁ、…う……」 
「…エルザ・ナイトウォーカーはいるか?」 
「何でしょうか」 
「その扉の前にいる全員を 
自分の持ち場に戻らせるんだ」 
「わかりました」 

「ウェンディ」 
「………」 

とりあえず私は顔を背けた。…けど、 
ジェラールは背けた顔を指で持ち上げて…… 
固まってるとジェラールが顔を近づけてくるのが 
見えたから、ベッドの奥へ逃げようとしたら 
後頭部を押さえられて……唇同士が 
触れる寸前で止まった。…目の前には 
微笑んでいるジェラール… 

「…驚いたか?」 
「………」 

ちょっとだけ…本当にちょっとだけ期待してたから 
少し怒って頬を膨らませた。 

「…嗚呼、なるほど…」 

低く笑って、頬に唇を当てたジェラール 

「………」 
「唇がよかったんだな…?」 
「っっ………!」 
「ウェンディ…… 
言わないと何もわからないだろう?」 

…とりあえず、アースランドでもエドラスでも、 
ジェラールは変わらないんだなぁ…と思った。 
どっちも本命に対して意地悪だから… 

「…ウェンディ?」 
「……………まだ、いい…」 
「そうか…」 

数回、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。 

「…ジェラール、私ね…まだ一応魔力はあるんだ」 
「………」 
「けど、使わないし使えない……使う気も無いの」 
「……ウェンディ」 
「もうエドラスは魔力が無い世界だから…」 
「…ありがとう…」 
「ジェラール…」 
「なんだ?ウェン…っ」 

一瞬だけジェラールの唇を塞いだ… 
直後、多分離れないように後頭部に手を当てられた。 

「……え…」 
「…お返しだ」 

唇を押し当てられた後、少しだけ舐められた…。 
唇が離れて安心した瞬間、抱き寄せられた。 

「…ジェラー…ル……」 
「…愛している…」 

何故か、すごく甘い声でそう言われた。 
……心臓が、壊れそう… 

「もう一度言う。…私と結婚してくれないか?」 
「ジェラール……わ、私…」 
「………」 
「ジェラールの事が、好き……大好き…っ」 
「…それは、承諾と受け取っていいのか?」 
「………うん…っ」 
「…嬉しいよ、ウェンディ」 
「……すごく、恥ずかしい…っ」 
「こういう事に慣れていないんだな…」 
「うん、それに…っ」 

私は外へと繋がる窓を指差した。そこには、 
沢山の人がこっちを凝視している姿があるから… 

「………ね?」 
「………ああ…」 

ジェラールが遠い目をしていた。チャンスだと思って 
ジェラールの頬にキスをしようとしたら、 
すぐに気付かれて片腕を掴まれて…… 
頬を舐められた後、キスされた…。 
…絶対にジェラールには敵わない、 
そう思った瞬間でした…。 
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