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幸福の天使

二人同時に目が覚めた。 

「…ジェラール、夢の内容覚えてる?」 
「…ああ。君の母親は少し過保護だな…」 
「グランディーネは人が好きなのに…… 
ジェラールに咆哮を放とうとするなんて…」 
「…だが、君を想っての事だろう…」 
「…うん!」 
「…ウェンディ、愛している…」 
「…私も、だよ。ジェラール…」 


…それから、悪阻が来て…… 
いろんな人にお世話になって、 
お腹も大きくなっていって……約10ヶ月後… 

「………いっ…!!?」 

陣痛が来た…。今までよりも… 
凄く…重くて…痛いっ…! 

「ぁ、…ぅ、だれか……たすけ…っ」 

私の意識は、そこで途切れた… 

*~*~*~*~*~*~* 

「ディ………ウェンディ!!」 
「……ジェラー…ルっ!!?…痛っ!痛い…!!」 
「頑張れ……頑張るんだウェンディ!」 
「頭が見えて来ましたよ!」 
「っっ~~~!!」 

痛みに耐え続けて…… 

産声が…命の声が聞こえた… 

「おぎゃあ!おぎゃあ!」 
「……!」 
「可愛らしい女の子ですよ!」 
「女…の子…?」 

抱かせて貰った、小さな命… 

「私と、ジェラールの…娘…」 
「よく頑張ったな、ウェンディ…」 
「……うん…っ」 

*~*~*~*~*~*~* 

いろいろと落ち着いて… 

「ミスティって名前はどうかな?」 
「……明らかに『ミストガン』から 
取られている気がするが…」 
「うん。でも『ミストガン』だって 
『ジェラール』だったでしょ? 
ミストガンの『ミス』と私の『ディ』 
……だけど『ミスディ』だと 
何か変な感じだから…ミスティ。ダメかな…?」 
「いや。それでいい…」 
「これからよろしくね、ミスティ…」 

眠るミスティを二人で撫でた… 

*~*~*~*~*~*~* 

―数週間後― 

ただいま授乳が終わったので 
ベビーベッドに寝かしつけたところです。 

「おやすみ、ミスティ…」 
「ご苦労だったな…」 
「お帰りなさい、ジェラール」 
「ただいま、ウェンディ…」 
「……グランディーネに、報告したいなぁ…」 
「そうだな…」 
「グランディーネ、喜んでくれるかな…?」 
「大丈夫だ…」 
「…うん!」 

グランディーネの事を考えて 
眠りについたんだけど… 

*~*~*~*~*~*~* 

―翌朝― 

『――ディ………ウェ……ディ…』 

すごい近くからグランディーネの声がする…… 

『…ウェンディ』 
「………?」 

声も匂いも雰囲気もグランディーネと一緒。 
…だけど、そこにいたのはシルバーに 
薄いスカイブルーが混ざった髪の綺麗な女の人で…… 

「……貴女は…?」 
『…天竜グランディーネよ』 
「……え?」 
『思念体を弄り弄ったら、こんな姿になれたわ』 
「…グランディーネ、なんだね?」 
『そうよ』 
「グランディーネ!私ね、娘ができたの!」 
『…まだ赤ん坊ね』 
「名前はミスティ…」 
「……どうしたんだ?ウェン……」 
『………』 

ジェラールとグランディーネの視線が合った 

「…ウェンディ。その女性は…?」 
「グランディーネの思念体だよ」 
「グランディーネは竜ではなかったか…?」 
「…なんか色々やったら、 
人間になれたって言ってたよ」 
「………」 
『今日から此処に住まわせてもらおうかしらね…』 
「嬉しい…!」 
「……そう、だな… 
(ウェンディとの夫婦生活が…っ!)」 
『よろしくね。ジェラール…』 
「……ああ…」 
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