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幸福の天使

「……ん…」 

何故か、花畑で眠っていた。 
…隣にはジェラールがいて… 

「…ウェンディ、ここは一体…」 
「……夢、なのかな…」 

『……ウェンディ…』 

「グランディーネ…?」 
「!」 

突然現れたグランディーネ 

「グランディーネ、どうしたの?」 
『……貴女だけを呼んだつもりだったのだけど…』 
「あのね、グランディーネ。この人は…」 
「ジェラール・フェンリルだ。 
昔はミストガンと名乗っていた…」 
『貴方が…私がいなくなった後、 
ウェンディを救ってくれた子?』 
「ああ…」 
『ありがとう、貴方のお陰で 
ウェンディは独りにならずに済んだわ…』 
「あれは……偶然だ」 
『それでもウェンディを救ってくれたのは事実よ。 
……大体予想はできるけど、 
貴方達二人の関係は…?』 
「え……それ、は…っ」 

『グランディーネに紹介したい』 
そう思ったのは事実だけど、 
関係を言うのは恥ずかしい…! 
えっと…『ふ』で始まって 
『ふ』で終わる3文字の……… 

「夫婦だ」 

キッパリと、ジェラールは言った。 
きっと私の顔は真っ赤になってる… 

『やっぱり、そうだったのね…。 
じゃあウェンディは貴方との子を身篭っているの?』 
「っ!!?」 

グランディーネ!?そんなに直球で聞いて来ないで…! 

「ああ。一度ウェンディが 
襲われかけた事があったが……」 
『貴方が守ってくれたのね…。 
………身篭っている、という事は…… 
そういう事をしたのね…?』 

グランディーネの纏う空気が 
少し変化した…ような気がする… 

「?ああ…… 
その時のウェンディは、とても可愛らしかった…」 

天空魔法の源『空気』が集まって…… 

「っグランディーネ!!」 
『ごめんなさいね、ウェンディ…――』 

グランディーネがジェラールの方を見て、 
ゆっくりと口を開けた。 
私はジェラールの前に立って… 

「天竜の…」 
「『――咆哮!!』」 

全く同じ咆哮がぶつかり合った。 
けど、さすがグランディーネ… 
私の咆哮はゆっくりと押し負けていって…… 
私に当たる寸前で、咆哮が消えた。 

「…グランディーネ?」 
『私が貴女を傷つけると思った?』 
「でも、ジェラールを…」 
『何故か、怒りが芽生えたのよ…。 
…ウェンディにジェラール、 
また此処に来て…話を聞かせてくれないかしら? 
貴方達を気にかけている、もう一人の私や 
妖精の尻尾の皆にも伝えられるわ…』 
「うんっ! 
また来るね、グランディーネっ!」 
「どうすれば此処に来れるんだ?」 
『…私に会う事を強く願って眠れば大丈夫よ』 
「わかった」 
「妖精の尻尾の皆によろしくね!お母さん!」 
『ええ…』 

ウェンディとジェラールが消えて… 

『イグニールにメタリカーナ、 
貴方達も…こんな気持ちだったのね…。 
子が親から離れていくのは、少し辛くて… 
そして――…相手に意地悪してしまいたくなる…。 
幸せになるのよ……二人共…』 
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