10年越しの再会
今日はホワイトデー…
妻となったウェンディにバレンタインの
お返しをと考えているんだが……
―バレンタインデーのウェンディが気絶した後―
気絶したウェンディと、彼女が
持っていたケーキの箱を抱き留めて…
睨んで『見るな』と訴えても
観衆(城の者達)には効果がなく……
「………ウェンディ…」
「………」
真っ赤になった彼女は可愛らしいが、
俺は彼女を起こすために
「早く起きないと手を出すぞ」
観衆がどよめいたが、そんなことは関係ない
「っ!!!」
目の前の鳶色の瞳は見開かれていて…
「ようやく起きたか」
「……っ…」
「ウェンディ、ケーキを一緒に食べないか?」
「……うん」
ケーキの箱を開けると
表面に『大好き』と書かれていた
「……」
少し笑みが浮かんだ…
ナイフで切り分けず、スプーンで
少し掬い取り、口に運んだ…
「……」
真剣に俺を見ているウェンディ
「…腕を上げたな…」
「…!」
はにかんだウェンディの口元に先程
俺が使ったスプーンで掬い取ったケーキを近づけた…
「………ジェラール……何、かな?」
「食べるだろう?」
「いや、あの……
それはジェラールのために作った…」
「俺一人では食べ切れそうにない」
「………」
「…ウェンディ」
「………っ!」
真っ赤な顔で口を開けて、スプーンに乗ったケーキを
素早い動作で取り、すぐに口を離したウェンディ
…俺はウェンディが先程口に含んだ、
何も乗っていないスプーンを
自らの口に運び、再び口に含んだ…
予想通り、動きを止めたウェンディ
…まぁ、間接キスをしている訳だからな……
観衆の目の前で、『見せ付ける』のは実に簡単だ…
キョロキョロと何かを探しているウェンディだが、
探しているであろう別のスプーンは生憎、
今日はこの部屋に置いていない。
口に含んだスプーンを引き抜き、
再びケーキを掬い取って彼女の口元に運んだ――…
*~*~*~*~*~*~*
あの日は幸せだった…
普段の何倍もの時間をかけながらも
ケーキを一緒に食べてくれた彼女は
最後まで真っ赤な顔をしていて
本当に可愛らしかった…
「………」
何故か可愛らしい服を買いたくなった。
よし、買って来よう。
……ウェンディのためではなく、自分のために
やっているような気がするのは気のせいか…?
*~*~*~*~*~*~*
色々買って、部屋に戻って来た。
…正直、何故買うことになったのだろうと
思い始めているし、ウェンディの反応が不安だ…
「………」
扉を開けようとして、後ろから声が聞こえた。
「ジェラール、おかえり!」
「ウェンディ…」
「…?」
「バレンタインのお返しをと思っていたんだが…」
「何か買って来てくれたの?見せて!」
無言で袋に入れていた一応
ラッピングをしてもらった箱を渡した。
「部屋に入ってから開けてくれ…」
「うん!」
*~*~*~*~*~*~*
「………」
絶句されるのはわかっていた。
何故ならプレゼントは
『メイド服』と『猫耳&尻尾』で…
「………ジェラール?」
「……それらは着なくていいし、捨てても構わない。
…もう一つ、あるだろう…?」
「…?……ぁ…」
先程の二つは軽い冗談のつもりだったが……
買ったら買ったで、何か……
まぁ、残る一つは相当選んで決めた。
「…ドレ、ス……?」
「王妃なのだから、民の前に出る際には…っ」
言葉の途中で抱き付かれた。
「嬉しい…!」
「…喜んでもらえて何よりだ…」
「これもちゃんと着るから安心してねっ!」
そう言って彼女は先程の二つを持って行って……
「……ああ、楽しみにしている」
……あれらは買わない方が
よかったかもしれないな……
妻となったウェンディにバレンタインの
お返しをと考えているんだが……
―バレンタインデーのウェンディが気絶した後―
気絶したウェンディと、彼女が
持っていたケーキの箱を抱き留めて…
睨んで『見るな』と訴えても
観衆(城の者達)には効果がなく……
「………ウェンディ…」
「………」
真っ赤になった彼女は可愛らしいが、
俺は彼女を起こすために
「早く起きないと手を出すぞ」
観衆がどよめいたが、そんなことは関係ない
「っ!!!」
目の前の鳶色の瞳は見開かれていて…
「ようやく起きたか」
「……っ…」
「ウェンディ、ケーキを一緒に食べないか?」
「……うん」
ケーキの箱を開けると
表面に『大好き』と書かれていた
「……」
少し笑みが浮かんだ…
ナイフで切り分けず、スプーンで
少し掬い取り、口に運んだ…
「……」
真剣に俺を見ているウェンディ
「…腕を上げたな…」
「…!」
はにかんだウェンディの口元に先程
俺が使ったスプーンで掬い取ったケーキを近づけた…
「………ジェラール……何、かな?」
「食べるだろう?」
「いや、あの……
それはジェラールのために作った…」
「俺一人では食べ切れそうにない」
「………」
「…ウェンディ」
「………っ!」
真っ赤な顔で口を開けて、スプーンに乗ったケーキを
素早い動作で取り、すぐに口を離したウェンディ
…俺はウェンディが先程口に含んだ、
何も乗っていないスプーンを
自らの口に運び、再び口に含んだ…
予想通り、動きを止めたウェンディ
…まぁ、間接キスをしている訳だからな……
観衆の目の前で、『見せ付ける』のは実に簡単だ…
キョロキョロと何かを探しているウェンディだが、
探しているであろう別のスプーンは生憎、
今日はこの部屋に置いていない。
口に含んだスプーンを引き抜き、
再びケーキを掬い取って彼女の口元に運んだ――…
*~*~*~*~*~*~*
あの日は幸せだった…
普段の何倍もの時間をかけながらも
ケーキを一緒に食べてくれた彼女は
最後まで真っ赤な顔をしていて
本当に可愛らしかった…
「………」
何故か可愛らしい服を買いたくなった。
よし、買って来よう。
……ウェンディのためではなく、自分のために
やっているような気がするのは気のせいか…?
*~*~*~*~*~*~*
色々買って、部屋に戻って来た。
…正直、何故買うことになったのだろうと
思い始めているし、ウェンディの反応が不安だ…
「………」
扉を開けようとして、後ろから声が聞こえた。
「ジェラール、おかえり!」
「ウェンディ…」
「…?」
「バレンタインのお返しをと思っていたんだが…」
「何か買って来てくれたの?見せて!」
無言で袋に入れていた一応
ラッピングをしてもらった箱を渡した。
「部屋に入ってから開けてくれ…」
「うん!」
*~*~*~*~*~*~*
「………」
絶句されるのはわかっていた。
何故ならプレゼントは
『メイド服』と『猫耳&尻尾』で…
「………ジェラール?」
「……それらは着なくていいし、捨てても構わない。
…もう一つ、あるだろう…?」
「…?……ぁ…」
先程の二つは軽い冗談のつもりだったが……
買ったら買ったで、何か……
まぁ、残る一つは相当選んで決めた。
「…ドレ、ス……?」
「王妃なのだから、民の前に出る際には…っ」
言葉の途中で抱き付かれた。
「嬉しい…!」
「…喜んでもらえて何よりだ…」
「これもちゃんと着るから安心してねっ!」
そう言って彼女は先程の二つを持って行って……
「……ああ、楽しみにしている」
……あれらは買わない方が
よかったかもしれないな……