お願い!マイヒーロー!

皆が宇宙船でドタバタを繰り広げていたころ。ジェイドとぴぃはイチャラブタイムを過ごしていた。

本日のベッド内でわかったことは、ぴぃが人間の姿から元に戻るタイミングについてだった。
もともとが「ぴぃちゃんにスケベなことをして」と言われていたこともあり、当たり前のように行為をしたわけだけれど、どうやらぴぃ側が行為に慣れていないためか一度フィニッシュを迎えると数秒後にもとの姿ーー否、うさぎ型A Iの正体が不明な以上、どちらが元の姿かは定かではないからこの言い方はよくないだろうーーうさぎの姿に戻ってしまった。このことから、ぴぃが行為に満足したらうさぎ型に戻るのでは?という仮説がたったのだった。

ぴぃの生態を少しずつ暴いていくのはジェイドにとっての娯楽に近い。
なにせ陸に上がって二年目にして、海と正反対の山に出かけていくような男だ。陸も山もまだまだ知らないことはたくさんあるにしろ、新しく出会うものに興味がわかないわけがなかった。

「スケベなことをして…と言われたものの、一体日に何度すればパワーが貯まるのでしょうかねぇ…」

ぴぃが達して意識を失うように眠ったところを見計らって、しっぽを握ってまた人間の姿に変化させたジェイドは今、そのぴぃを腕の中に収めて考えを巡らせていた。よしよしと頭を撫でれば、小さく「ぴぃ…ぴぃ…」とむにゃむにゃするぴぃは可愛い。

「そもそもスケベと一口に言っても、レベルはさまざま…。撫でる、口付ける、触れ合う、挿れる、出す…ああ、眺めるなんていうのもありでしょうか。いずれにせよぴぃさんに負担がない程度に試していかなくては」

もとはパワーが貯まるのは女の光線銃だけだったが、今ではアズール・ジェイド・フロイドの三人分が追加されているわけで。だとすればもっとパワーが必要になるはずなのだから。

「ぴぃさん一人の力で大丈夫なのでしょうか…」
「ん…んんぅ…」
「…!起こしてしまいましたか、すみません」
「ふぁ…ぁれぇ…わたし…」
「おはようございます」
「……っ!?」
「申し訳ありません。配慮が足りませんでした。今度はもう少しゆっくり進めましょうね」
「っ…ぴ、ぴぃ…」

にこやかに笑ったジェイドを直視したぴぃは頬を赤らめてジェイドの胸にピトッとくっつくように顔を隠す。つい先程のことを思い出した様子だ。

「ふふ、可愛らしい。スケベパワーとおっしゃるものだから、知識は豊富なのかと思いきやとてもウブなんですね」
「っ、だ、だって、言ったでしょう…私のこと見るとみんな逃げちゃうからって」
「今日はどうでしたか?」
「この間もそうだけど、教わったのと全然違ってたの。とっても気持ちよかった…だからとってもパワーが貯まったと思うのよ。あとで聞いてみなくっちゃ」
「それはよかったです。では…僕はこれからも貴女の番でいられるでしょうか?」

その言葉を聞いてバッと起き上がったぴぃに、ジェイドはキョトンとした表情を返す。
ぴこぴこと動く耳に、キラキラ輝く瞳、それから真っ白でツヤツヤの素肌にらしくもなく視線を奪われた。

「もちろんよ!じぇいどさんしかいないの!」
「!」
「じぇいどさんに見捨てられたら役立たずになっちゃう…ちゃんと、ちゃんと私も、あの子と世界のために戦いたいの!だから力を貸して!」

頼まれずとももう逃すつもりもないですが、と心の中で発した言葉は音にならなかったが、『力を貸して』とのセリフでジェイドのヤル気は燃え上がる。戦い云々関係なく、僕が、貴女を、骨の髄まで愛して差し上げます、と。

「ええ、もちろんです。こちらからもお願いしますね」
「…っ!ありがとうございます…!」
「とはいえ先程は無理をさせましたし、まだアズールたちも戻る様子がありませんから、もうしばらく休ーー」

と、そこまで話したところで、ふぁ、とぴぃが欠伸したので、もう少し休みましょうねと言い直すジェイドの優しい声色に惹かれ、ぴぃはジェイドの腕の中に戻り、そっと瞼を閉じる。
それを見て、何事も計画的にいかないとなりませんねと呟きつつ、ジェイドはぴぃを抱き直して微笑むのだった。
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