■2022/4までの読み切りログ(ルシファー)
夜も更けた二十三時半。
今日の授業の復習を終えた私は、もぞもぞとベッドに潜り込んでからD.D.D.の画面を開いた。見るのはルシファーとの一対一の個人チャットルーム。一人で寝る前はなんだかんだ寂しいことも多くて、いつも過去のチャットを見返してしまう。
『今日は帰るのが遅くなる』
『おまえに協力してほしいことがある』
『授業が終わったら議場に来てくれないか』
『今部屋にいるのか?』
『聞いてくれ』
ルシファーがくれた言葉の数々が私の心を擽り、踊らせ、昂らせる。何度見返しても、クスッと笑ってしまったり、ちょっと頬を染めてしまったり。
チャット自体をそんなに送ってくるタイプではないので、すぐに見終わってしまうのだけど、だからこそ眠る前の少しの時間を幸せで満たしてくれてちょうどいい塩梅だ。
全部見終わると何か一言打ちたくなって、『まだ起きてる?』『仕事頑張りすぎて倒れないようにね』『飲み物持って行こうか?』『おやすみ』などなど、ぽちぽち打っては消し、打っては消し。結局何も送らないまま電源ボタンを押して画面を真っ暗にするのが常になっている。
「おやすみ、ルシファー」
そう呟いて、部屋の電気も消した。瞳を閉じると瞼の裏にぼんやりと今日あったことが思い浮かぶ。そういえば朝、ルシファー寝癖ついててかわいかったな。暖かい布団の中でそんなことをつらつら思い返していると自然と夢の中へーー
ブブブ ブブブ
意識が遠のき始めたその時、枕の横のD.D.D.が振動した音ではっと覚醒した。こんな時間に誰だろう。着信画面が暗闇に眩しい。
「え?」
画面に表示されている名前は、今しがたずっと私の脳を占めていた『ルシファー』。しかもメッセージではなく電話だ。慌てて通話ボタンをタップして喉の調子を整えた。
「ご、ごめん!ルシファーどうしたの?」
『どうしてだ』
「え?」
『どうしてメッセージを寄越さなかった』
「なっ、」
なんのこととは言葉にならなかった。
『鉛筆マークが動いたり消えたりしていたから、恋人におやすみの一つでも言葉をくれるのかと思えば……まさかそのまま眠ったのか?』
「えっ……えっ!?み、見てたの!?」
カァァッと身体中が火照ってくる。恥ずかしい!これじゃあ私がルシファーにべったりみたいじゃないか!けれど、突然のことで上手い言い訳も口から出てこない。
『……言っただろう』
「ふぇ?」
『俺も、見ていたんだ。チャット画面をずっと』
「、あっ」
『もう寝ているかと思って……それでもおまえのことを考えながら、チャットを眺めていたんだ。そんな俺に何かかける言葉は?』
「っ……!」
遠回しに同じだと言われて、まだ言い訳をするほど天邪鬼な私にはなれなかった。
だから、一番言いたかった一言を、D.D.D.越しにそっと囁く。
「こんな時間だけど、会いに行ってもいい……?」
もちろん、答えは、ほしかった六文字。
私はすぐに部屋を抜け出した。
いますぐこい
今日の授業の復習を終えた私は、もぞもぞとベッドに潜り込んでからD.D.D.の画面を開いた。見るのはルシファーとの一対一の個人チャットルーム。一人で寝る前はなんだかんだ寂しいことも多くて、いつも過去のチャットを見返してしまう。
『今日は帰るのが遅くなる』
『おまえに協力してほしいことがある』
『授業が終わったら議場に来てくれないか』
『今部屋にいるのか?』
『聞いてくれ』
ルシファーがくれた言葉の数々が私の心を擽り、踊らせ、昂らせる。何度見返しても、クスッと笑ってしまったり、ちょっと頬を染めてしまったり。
チャット自体をそんなに送ってくるタイプではないので、すぐに見終わってしまうのだけど、だからこそ眠る前の少しの時間を幸せで満たしてくれてちょうどいい塩梅だ。
全部見終わると何か一言打ちたくなって、『まだ起きてる?』『仕事頑張りすぎて倒れないようにね』『飲み物持って行こうか?』『おやすみ』などなど、ぽちぽち打っては消し、打っては消し。結局何も送らないまま電源ボタンを押して画面を真っ暗にするのが常になっている。
「おやすみ、ルシファー」
そう呟いて、部屋の電気も消した。瞳を閉じると瞼の裏にぼんやりと今日あったことが思い浮かぶ。そういえば朝、ルシファー寝癖ついててかわいかったな。暖かい布団の中でそんなことをつらつら思い返していると自然と夢の中へーー
ブブブ ブブブ
意識が遠のき始めたその時、枕の横のD.D.D.が振動した音ではっと覚醒した。こんな時間に誰だろう。着信画面が暗闇に眩しい。
「え?」
画面に表示されている名前は、今しがたずっと私の脳を占めていた『ルシファー』。しかもメッセージではなく電話だ。慌てて通話ボタンをタップして喉の調子を整えた。
「ご、ごめん!ルシファーどうしたの?」
『どうしてだ』
「え?」
『どうしてメッセージを寄越さなかった』
「なっ、」
なんのこととは言葉にならなかった。
『鉛筆マークが動いたり消えたりしていたから、恋人におやすみの一つでも言葉をくれるのかと思えば……まさかそのまま眠ったのか?』
「えっ……えっ!?み、見てたの!?」
カァァッと身体中が火照ってくる。恥ずかしい!これじゃあ私がルシファーにべったりみたいじゃないか!けれど、突然のことで上手い言い訳も口から出てこない。
『……言っただろう』
「ふぇ?」
『俺も、見ていたんだ。チャット画面をずっと』
「、あっ」
『もう寝ているかと思って……それでもおまえのことを考えながら、チャットを眺めていたんだ。そんな俺に何かかける言葉は?』
「っ……!」
遠回しに同じだと言われて、まだ言い訳をするほど天邪鬼な私にはなれなかった。
だから、一番言いたかった一言を、D.D.D.越しにそっと囁く。
「こんな時間だけど、会いに行ってもいい……?」
もちろん、答えは、ほしかった六文字。
私はすぐに部屋を抜け出した。
いますぐこい