■2022/4までの読み切りログ(ルシファー)
「るっるっるしふぁー」
「……」
「るるるるしふぁー」
「ん」
「るるっるるー」
「うるさい……」
「るしふぁーあさですよー」
「……いま、おきる」
「眉間に皺がよってるよ?」
朝のこいつは騒がしい。
RADに行く時間だ。朝ごはん当番もある。呼び出されてるって言ってたから。などなど……
目白押しのスケジュールを消化するために起こしてくれるのはありがたいんだが、俺はこれまでも遅れることのないようギリギリの時間にはきっちり起き上がることができていたーーはずだ。だからそんな風に無理矢理起こさなくてもいい。そう言えば、ルシファーと同じ時間に起きていたら私の準備が間に合わないから離してくれたらそれでいい、なんてつれない返事。
「一人だけ逃がすわけないだろう。俺の許可なしに俺のベッドから抜け出そうなんて一千年早い」
子どもみたいな屁理屈とともに彼女を抱きしめる腕をキュッと強める。それに対して、怒るでもなく楽しげに笑うのだから、その言葉は本気じゃないのかもしれない。だいたい、俺の名前を呼ぶその声の響きがいつもより数段甘ったるいし柔らかいんだからきっとそうだ。
俺の頭はそのように都合よく状況をまとめ上げて、自分的起床時刻まで目を閉じていようと結論を出した。
「えっ、また寝るの!?ね、るしふぁー、起きよう?そろそろ本当に」
「……じゃあおまえがキスしてくれたら起きる」
「へ……?ふはっ……!なぁにそれ!私は王子様じゃないよ」
冗談だと思われたのか、一向にキスのモーニングコールは降ってこない。しかし残念だな。おまえの相手はこの俺だ。振り切れると思ったら大間違いだぞ?
「ルシファー?本当に起きないつもり?そろそろ本当にまずいよ」
「……」
「もう!わがまま!てかもう起きてるじゃん!あとは起き上がるだけなんだよ?」
「なんとでも言え」
抱きしめる腕を緩めて、ただキスを待つ。
一秒、二秒……目を閉じていると時間感覚が鈍るな、なんて思いながら薄く瞼を持ち上げようとした、丁度その時。
ちゅ
と唇にリップノイズが一つ。
望みのものが贈られたのできちんと目を開く。真っ赤な頬に、自然と口角が上がった。
「おはよう。いい朝だ」
「っ……ご機嫌麗しゅうお姫様!お目覚めできてよかったですよっ!」
「そうむくれるな。俺からもキスをお返しだ」
「は……はぁ!?どの流れでそんな雰囲っンン!」
俺は王子様、というポジションには向いていないが、お姫様にもほど遠い。であるなら、新しい物語を作るまで。そうだろう?
頭の中でした言い訳が塞いだ口から伝わるわけはなく。ただ、濃厚なキスで始める一日も悪くないと悪びれもせず笑ったのは、ちょうどアラームが鳴り響いた、午前七時のことだった。
「……」
「るるるるしふぁー」
「ん」
「るるっるるー」
「うるさい……」
「るしふぁーあさですよー」
「……いま、おきる」
「眉間に皺がよってるよ?」
朝のこいつは騒がしい。
RADに行く時間だ。朝ごはん当番もある。呼び出されてるって言ってたから。などなど……
目白押しのスケジュールを消化するために起こしてくれるのはありがたいんだが、俺はこれまでも遅れることのないようギリギリの時間にはきっちり起き上がることができていたーーはずだ。だからそんな風に無理矢理起こさなくてもいい。そう言えば、ルシファーと同じ時間に起きていたら私の準備が間に合わないから離してくれたらそれでいい、なんてつれない返事。
「一人だけ逃がすわけないだろう。俺の許可なしに俺のベッドから抜け出そうなんて一千年早い」
子どもみたいな屁理屈とともに彼女を抱きしめる腕をキュッと強める。それに対して、怒るでもなく楽しげに笑うのだから、その言葉は本気じゃないのかもしれない。だいたい、俺の名前を呼ぶその声の響きがいつもより数段甘ったるいし柔らかいんだからきっとそうだ。
俺の頭はそのように都合よく状況をまとめ上げて、自分的起床時刻まで目を閉じていようと結論を出した。
「えっ、また寝るの!?ね、るしふぁー、起きよう?そろそろ本当に」
「……じゃあおまえがキスしてくれたら起きる」
「へ……?ふはっ……!なぁにそれ!私は王子様じゃないよ」
冗談だと思われたのか、一向にキスのモーニングコールは降ってこない。しかし残念だな。おまえの相手はこの俺だ。振り切れると思ったら大間違いだぞ?
「ルシファー?本当に起きないつもり?そろそろ本当にまずいよ」
「……」
「もう!わがまま!てかもう起きてるじゃん!あとは起き上がるだけなんだよ?」
「なんとでも言え」
抱きしめる腕を緩めて、ただキスを待つ。
一秒、二秒……目を閉じていると時間感覚が鈍るな、なんて思いながら薄く瞼を持ち上げようとした、丁度その時。
ちゅ
と唇にリップノイズが一つ。
望みのものが贈られたのできちんと目を開く。真っ赤な頬に、自然と口角が上がった。
「おはよう。いい朝だ」
「っ……ご機嫌麗しゅうお姫様!お目覚めできてよかったですよっ!」
「そうむくれるな。俺からもキスをお返しだ」
「は……はぁ!?どの流れでそんな雰囲っンン!」
俺は王子様、というポジションには向いていないが、お姫様にもほど遠い。であるなら、新しい物語を作るまで。そうだろう?
頭の中でした言い訳が塞いだ口から伝わるわけはなく。ただ、濃厚なキスで始める一日も悪くないと悪びれもせず笑ったのは、ちょうどアラームが鳴り響いた、午前七時のことだった。