◆悪魔とメリークリスマス
先日のバルバトスの独白をきいて刹那の煌めきをプレゼントにしたいと閃いたのはいいのだけれど、刹那の煌めきって一体なんだ?と自問自答するだけの時間が過ぎていく。クリスマス当日は刻一刻とそこまで迫ってきているというのに。こういう悩みは焦れば焦るほど、うまくいかなくなるものだ。
「煌めき……煌めき……キラキラ?」
「何一人でぶつぶつ言ってんだ」
「あ、マモン。マモンは煌めきって言ったら何を思い浮かべる?」
「きらめきだあー?」
かくかくしかじか。自称『初めての男』なマモンは、なんだかんだ言われてもこちらに来た当初から私のお兄ちゃんのような存在で良き理解者。だからこそちょっと相談をしてみた。正直あまり期待はしてなかったのだが。
「そーいうことかよ!それならその『煌めき』ってのは一つしかねーな!」
「えっ!ほんと!?」
そんなにはっきりとした言葉が返ってくるなんて思っていなくて、前のめりになってしまった。
「耳かせよ」
「うん!」
顔を近づければこしょこしょと告げられる。
「本当なら金目のもんだって言いたいところだけどな」
「マモンに聞くんじゃなかった」
「待て待て待て!そうじゃねぇんだって!あのバルバトスだぞ?そんなもんじゃ驚かせられねーだろ」
「……じゃあ何?」
「いいか、ちゃーんと聞いとけよ?」
せっかく耳を貸したのに、なぜかそこで胸をはったマモンは大きな声で言った。
「名付けてクリスマスドッキリ大作戦だ!」
「……はぁ?」
「残念そうな声出すんじゃねーよ!いいか?俺様の提案はーー手品だ!」
それに続いてマモンがいうにはこう言うことだった。
まずは折り紙の蝙蝠を作る。それがバルバトスのところへ飛んでいくように呪文をかけ、バルバトスの手に乗ったところでポンと弾けてメッセージカードに変身する。
「それをみて奴が驚いたところで、サンタクロースの格好をしたおまえが登場ってわけ。どーよ!」
「へぇ〜、いいねそれ!」
「そうだろそうだろ!おまえも俺様を見直しーー」
「マモン、ちょ〜純粋なこと考えてるんだね。悪魔じゃないみたい」
「んなぁ!?」
「バルバトスが驚いてくれるかはわかんないけど、私はそれ、すごく気に入った!」
慌てふためくマモンに、で、それどうやってやるの!?と聞くと、マモンは瞬時にキョトンと固まった。もしや、とじとっと視線を送ること数秒。ハハハハ!と快活に笑い始めるマモン。ああこの流れは確実に。
「俺がそんな繊細な魔術教えられるわけねーだろ!」
「やっぱり〜……」
「まぁまぁ、そこで俺たち兄弟の活躍ってわけじゃねーの?サタンあたりに聞いてみよーぜ!あいつ教えるの上手いからよ」
「確かに。それにサタンならもっとロマンチックな案も出してくれそうだしね」
「んだよそれ!俺の案じゃ満足できねーってか?」
「違う違う!マモンはいつでも頼りになりまーす!」
そうやって軽口を叩きつつも、ちゃんと力になってくれること、私は知ってる。この魔界の悪魔は、悪魔という名がふさわしくないくらい、みな優しい。
クリスマス当日はみんなとも楽しめるといいな、バルバトスは喜んでくれるかな、と心が浮き足立つのは抑えられなかった。
「煌めき……煌めき……キラキラ?」
「何一人でぶつぶつ言ってんだ」
「あ、マモン。マモンは煌めきって言ったら何を思い浮かべる?」
「きらめきだあー?」
かくかくしかじか。自称『初めての男』なマモンは、なんだかんだ言われてもこちらに来た当初から私のお兄ちゃんのような存在で良き理解者。だからこそちょっと相談をしてみた。正直あまり期待はしてなかったのだが。
「そーいうことかよ!それならその『煌めき』ってのは一つしかねーな!」
「えっ!ほんと!?」
そんなにはっきりとした言葉が返ってくるなんて思っていなくて、前のめりになってしまった。
「耳かせよ」
「うん!」
顔を近づければこしょこしょと告げられる。
「本当なら金目のもんだって言いたいところだけどな」
「マモンに聞くんじゃなかった」
「待て待て待て!そうじゃねぇんだって!あのバルバトスだぞ?そんなもんじゃ驚かせられねーだろ」
「……じゃあ何?」
「いいか、ちゃーんと聞いとけよ?」
せっかく耳を貸したのに、なぜかそこで胸をはったマモンは大きな声で言った。
「名付けてクリスマスドッキリ大作戦だ!」
「……はぁ?」
「残念そうな声出すんじゃねーよ!いいか?俺様の提案はーー手品だ!」
それに続いてマモンがいうにはこう言うことだった。
まずは折り紙の蝙蝠を作る。それがバルバトスのところへ飛んでいくように呪文をかけ、バルバトスの手に乗ったところでポンと弾けてメッセージカードに変身する。
「それをみて奴が驚いたところで、サンタクロースの格好をしたおまえが登場ってわけ。どーよ!」
「へぇ〜、いいねそれ!」
「そうだろそうだろ!おまえも俺様を見直しーー」
「マモン、ちょ〜純粋なこと考えてるんだね。悪魔じゃないみたい」
「んなぁ!?」
「バルバトスが驚いてくれるかはわかんないけど、私はそれ、すごく気に入った!」
慌てふためくマモンに、で、それどうやってやるの!?と聞くと、マモンは瞬時にキョトンと固まった。もしや、とじとっと視線を送ること数秒。ハハハハ!と快活に笑い始めるマモン。ああこの流れは確実に。
「俺がそんな繊細な魔術教えられるわけねーだろ!」
「やっぱり〜……」
「まぁまぁ、そこで俺たち兄弟の活躍ってわけじゃねーの?サタンあたりに聞いてみよーぜ!あいつ教えるの上手いからよ」
「確かに。それにサタンならもっとロマンチックな案も出してくれそうだしね」
「んだよそれ!俺の案じゃ満足できねーってか?」
「違う違う!マモンはいつでも頼りになりまーす!」
そうやって軽口を叩きつつも、ちゃんと力になってくれること、私は知ってる。この魔界の悪魔は、悪魔という名がふさわしくないくらい、みな優しい。
クリスマス当日はみんなとも楽しめるといいな、バルバトスは喜んでくれるかな、と心が浮き足立つのは抑えられなかった。