◆聖夜の星に願い事
「って言うわけで、みんなからも欲しいものを募りたいと思いまーす!」
「どんなわけだよ!」
食堂に集まった皆に対してメモ帳とペンを掲げて、開口一番に言った私にマモンが詰め寄って来たので、大きく書かれた『クリスマスのプレゼントリスト』という文字を見せる。
「おっ!気が効くじゃねーか!」
「まーねー!魔界ではクリスマスなんて行事はないかもしれないけど、ここに来てみんなにお世話になってるし、人間界の行事でお返しさせてもらってもバチは当たらないかなって」
「おおお〜!苦しゅうないぞ!」
朝食の席が俄かに盛り上がるのが嬉しくて、私は近くにいたマモンとレヴィの腕を掴んで引っ張った。
「んんっ!?」
「おっまえなぁ!」
「みんなにお返しできるように頑張るから早くおしえてっ」
「おい、朝から何をしているんだ?席に着いてくれ、スープが溢れる」
「サタンっ!おはよう!ねぇ、サタンも教えて、ほしいもの!」
促されるままに席に座ると、美味しそうなスープが配膳された。うーん!サタンが作ってくれるこのスープは絶品なんだよね。今度どんなレシピ本を見てるのか聞いてみよう。
「で、欲しいものというと……クリスマスに向けての聞き取りか?」
「そうだよ!」
「人間界のマガジンは大体この時期、メリークリスマスとハッピーニューイヤーで溢れているからな」
「さすがサタン!よくご存知で!」
「俺様はもちろんお金ちゃんだな」
「僕は人間界で流行ってるゲーム!」
「俺は、そうだな、人間界でしか手に入らない小説なんかだと嬉しい」
「僕は新しいコスメーがいいっ♡」
「俺は、もぐもぐ、食いもぐ物ならモグモグなんでももぐっいいごくんっ」
口々に発される言葉を、そんなに一気に言われても困るよと思いつつメモ帳に書き連ねていく。すると、一通り要望がで終わったタイミングでボソッと斜め上の意見が飛んできて、一瞬時が止まった。
「僕はアンタと二人きりでゴロゴロ寝る時間がほしい」
欠伸をしながら食堂に現れたのはベルフェで、その言葉に全員がぐりんっと首からそちらに向けてすごい形相をした。
「あ!?そういうのもありなのかよ!!」
「マモンが気づかなかっただけじゃん……ね。アンタはダメって一言も言ってないし、いいでしょ?」
「えーっ!じゃあ僕は年末年始オールでおまえとゲームする権利がほしいし!」
「おまっ!?抜け駆けずりぃぞ!」
「それなら俺はクリスマスの夜を君と過ごす権利をもらおうかな」
「あっ抜け駆けはダメだよサタン!この子は僕とパーティーに繰り出すってもう決まってるんだから」
「えっそんな予定あったっけ!?」
こうなると阿鼻叫喚だ。みんな言いたい放題に私の予定の取り合いを始めて、私の意見はどこにー!?と困ってしまう。しかしそれを一言で諌めるのが長男の威厳というものなのかもしれなかった。
「楽しそうなところ悪いが、食卓から朝食が消えている点について説明できるものは?」
「はえ?」
最後に食堂に入って来たのルシファーは、朝に弱いとの言葉通り、不機嫌を隠さない様相で黒い笑みを浮かべている。テーブルの上を見ると、さっきまで暖かな湯気を漂わせていたスープがすっかりなくなっており、それから目にしたのは、当たり前のようにほくほく顔のベールだった。
「まさか」
「ベール……」
「全部食べちゃったのぉ!?」
「うまかった……!」
「朝食の時間に誰一人テーブルに向かっていないとはどういうことだ?どうやらツリーのオーナメントになりたい奴が多いようだな」
「ひっ……!」
「誰から吊るしてやろうか?さぞかし目立つ飾りになってくれそうだな」
引き攣らせた唇でそんなことを言うのだけど、煌びやかなオーナメントの隣でゆらゆらゆれる皆を想像したらもうダメで、プフッと吹き出してしまって睨まれるのも仕方なかった。
「おまえも一緒に吊るされたいのか?」
「め、滅相もない!!私、みんなの分のスープもう一回作ってくるね!?」
冗談のような本気のような言葉をサラッといなしてキッチンへダッシュする私は、今年のクリスマスは本当に騒がし……いや、楽しくなりそうだと心を躍らせたのだった。
「どんなわけだよ!」
食堂に集まった皆に対してメモ帳とペンを掲げて、開口一番に言った私にマモンが詰め寄って来たので、大きく書かれた『クリスマスのプレゼントリスト』という文字を見せる。
「おっ!気が効くじゃねーか!」
「まーねー!魔界ではクリスマスなんて行事はないかもしれないけど、ここに来てみんなにお世話になってるし、人間界の行事でお返しさせてもらってもバチは当たらないかなって」
「おおお〜!苦しゅうないぞ!」
朝食の席が俄かに盛り上がるのが嬉しくて、私は近くにいたマモンとレヴィの腕を掴んで引っ張った。
「んんっ!?」
「おっまえなぁ!」
「みんなにお返しできるように頑張るから早くおしえてっ」
「おい、朝から何をしているんだ?席に着いてくれ、スープが溢れる」
「サタンっ!おはよう!ねぇ、サタンも教えて、ほしいもの!」
促されるままに席に座ると、美味しそうなスープが配膳された。うーん!サタンが作ってくれるこのスープは絶品なんだよね。今度どんなレシピ本を見てるのか聞いてみよう。
「で、欲しいものというと……クリスマスに向けての聞き取りか?」
「そうだよ!」
「人間界のマガジンは大体この時期、メリークリスマスとハッピーニューイヤーで溢れているからな」
「さすがサタン!よくご存知で!」
「俺様はもちろんお金ちゃんだな」
「僕は人間界で流行ってるゲーム!」
「俺は、そうだな、人間界でしか手に入らない小説なんかだと嬉しい」
「僕は新しいコスメーがいいっ♡」
「俺は、もぐもぐ、食いもぐ物ならモグモグなんでももぐっいいごくんっ」
口々に発される言葉を、そんなに一気に言われても困るよと思いつつメモ帳に書き連ねていく。すると、一通り要望がで終わったタイミングでボソッと斜め上の意見が飛んできて、一瞬時が止まった。
「僕はアンタと二人きりでゴロゴロ寝る時間がほしい」
欠伸をしながら食堂に現れたのはベルフェで、その言葉に全員がぐりんっと首からそちらに向けてすごい形相をした。
「あ!?そういうのもありなのかよ!!」
「マモンが気づかなかっただけじゃん……ね。アンタはダメって一言も言ってないし、いいでしょ?」
「えーっ!じゃあ僕は年末年始オールでおまえとゲームする権利がほしいし!」
「おまっ!?抜け駆けずりぃぞ!」
「それなら俺はクリスマスの夜を君と過ごす権利をもらおうかな」
「あっ抜け駆けはダメだよサタン!この子は僕とパーティーに繰り出すってもう決まってるんだから」
「えっそんな予定あったっけ!?」
こうなると阿鼻叫喚だ。みんな言いたい放題に私の予定の取り合いを始めて、私の意見はどこにー!?と困ってしまう。しかしそれを一言で諌めるのが長男の威厳というものなのかもしれなかった。
「楽しそうなところ悪いが、食卓から朝食が消えている点について説明できるものは?」
「はえ?」
最後に食堂に入って来たのルシファーは、朝に弱いとの言葉通り、不機嫌を隠さない様相で黒い笑みを浮かべている。テーブルの上を見ると、さっきまで暖かな湯気を漂わせていたスープがすっかりなくなっており、それから目にしたのは、当たり前のようにほくほく顔のベールだった。
「まさか」
「ベール……」
「全部食べちゃったのぉ!?」
「うまかった……!」
「朝食の時間に誰一人テーブルに向かっていないとはどういうことだ?どうやらツリーのオーナメントになりたい奴が多いようだな」
「ひっ……!」
「誰から吊るしてやろうか?さぞかし目立つ飾りになってくれそうだな」
引き攣らせた唇でそんなことを言うのだけど、煌びやかなオーナメントの隣でゆらゆらゆれる皆を想像したらもうダメで、プフッと吹き出してしまって睨まれるのも仕方なかった。
「おまえも一緒に吊るされたいのか?」
「め、滅相もない!!私、みんなの分のスープもう一回作ってくるね!?」
冗談のような本気のような言葉をサラッといなしてキッチンへダッシュする私は、今年のクリスマスは本当に騒がし……いや、楽しくなりそうだと心を躍らせたのだった。