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俺はロス。禁書「魂の記録」に巣食う悪魔だ。
好物は新鮮な魂、兄弟にはエオがいる…っつてももうかれこれ長い間会ってねぇケド。
まぁ悪魔なんぞどれもこれも皆兄弟デ皆他人だからドーデモいいっちゃいいか。
同じ人間カラ産み落とされたんで、なんとなくつるんでたダケだからな。
そんな感じデ長い間フラフラしている俺ダが、ニンゲンを相棒にしたことがたったの二度だけあル。
数十年前二出会った子供と、そのマタ何十年後かに会った気の強い女。
一人目には教会デあった。当初はまダ年端もいかない子供だったナ。
ただ、小さいカラつって侮るような俺じゃない。俺を本の中から引きずり出すクライの魔力をもつ不思議ちゃんとわかったからニハ有効活用させてもらったに決まっていて、ソイツはタブン人間と妖精のハーフだと思うんだが、本人は何も知らない状態だった。だから簡単に唆セタし、指と指で交わした血の契約により魔力もモライたい放題だった。
それなのに相手ときたら、俺のテイのいい「友達」なんて言葉に騙されて「ロスちゃんロスちゃん」と懐くもんダから、最終的にそれに流される始末。随分長い間付かず離れずつるんでた。なんだかんだ、気ままで楽シイ人間界生活を満喫してたのも嘘じゃナイ。お互い様とイウとこだ。
ケド、相手はハーフっつっても身体は人間だったシ、悪魔の俺は死なナイしで。
御察しノ通り、そレから数十年して、ソイツははぽっくり死んだ。
憑く相手がいなくなったから、俺はそのまま本の中に逆戻り。
漂う場所なんざドコだって構わネーが、本の外の世界を自由に彷徨えるのはなかなかに珍シイ体験だったんで、戻ってスグは退屈で退屈で仕方なかった。この本の中に入ってこれるヤツは稀だし、入ってきたとしても大抵スグ死んじまうから。
そうしてまた暫く何もない時が流れた。
二番目にあったヤツは、以前とは逆で本の中にやってきたニンゲンだった。
そう、ソイツは『ただのニンゲン』だった。
バラの庭園に迷い込んでフラフラフラフラしている魔力もないニンゲン。
そんなニンゲンが一人でこんなところに来るナンゾ信じられんと観察していれば、どうやらソイツの目当ては一緒に来たもう一人だとわかった。
そのもう一人ーー美少年の方は魔力が多くて、エオはここぞとばかりに食い尽くしてしまおうとしたが、昔の記憶が蘇ったカラ俺はそれを止めた。
俺らしくもない。
けどまぁ、こういうことが一度くらいあってもいいかと、ソウ思った。
「ロスがそんなこと言うなんて珍しいナ?」
「ナーニ、ただの気まぐれだ。案外面白いもんだゼ、ニンゲンってヤツはよ」
「ロスは…昔とちょっと変わっタな」
「ソウか?ま、チョット遊んでいこうゼ」
エオの言葉を軽く流して、結果的に俺はソイツの影を喰った。
その影はなんだか温かくて、取り込んだことを後悔するくらいには気持ちが悪かった。
最初はそんな状態だったが、一緒にいるうちに、妙に目が離せなくなった。
悪魔がニンゲンを助けたなんて世界に広まりゃ、俺が恥ずかしい思いをするダケでなんの特にもなりゃしねぇんだが、どうも危なっかしいソイツをほっとくこともできなかった。
影を喰わせてもらった礼だ、なんてこれまたガラにもないことを言い訳にしながら、俺の知り尽くしたこの本の中でソイツとちょっとだけ旅をした。
躊躇いがちに触れてくる差し出された手に翻弄されたのは紛れもない事実だと認めようカ。
『また、会える?』
『バーカ。悪魔とまた会いたいなんて言う奴がいるかよ。一度きりのサヨナラバイバイだッ!』
最後に交わした言葉はそんなもんだった気がする。
「…そろそろまた相棒作ってもいい頃合いカ〜?」
吐き出された独り言が耳に届いて、心の端っこに思い出されたのはいつか言われたあの言葉。
『ロスは…昔とちょっと変わっタな』
なるほど確かに。自分から相棒を探しに行こうなんて思ったことモなかったぜ。
「悪魔の中の異端、それが俺様ロス様ってナ。ヒヒ…!」
長年生きてりゃ記憶も曖昧。
影が好きで魔力が好き。
美味な魂はもっと好きだ。
だけど最近は青い空だって好きになった。
昔の俺なんざ糞食らえ。
俺は俺だ、誰ニモ文句は言わさねぇ。
今日は何かがある、そんな気がした。
一段と青い空が、空気が、揺らぐ。
【コグノスケ・テー・イプスム】
「ホゥラ、新たな相棒のお出ましカモしれねぇぜ。ちょっくらお迎えに行ってみるかナ!」
これは、俺の、俺だけの人生だ。
俺がたのしめりゃ、なんだっていい。
好物は新鮮な魂、兄弟にはエオがいる…っつてももうかれこれ長い間会ってねぇケド。
まぁ悪魔なんぞどれもこれも皆兄弟デ皆他人だからドーデモいいっちゃいいか。
同じ人間カラ産み落とされたんで、なんとなくつるんでたダケだからな。
そんな感じデ長い間フラフラしている俺ダが、ニンゲンを相棒にしたことがたったの二度だけあル。
数十年前二出会った子供と、そのマタ何十年後かに会った気の強い女。
一人目には教会デあった。当初はまダ年端もいかない子供だったナ。
ただ、小さいカラつって侮るような俺じゃない。俺を本の中から引きずり出すクライの魔力をもつ不思議ちゃんとわかったからニハ有効活用させてもらったに決まっていて、ソイツはタブン人間と妖精のハーフだと思うんだが、本人は何も知らない状態だった。だから簡単に唆セタし、指と指で交わした血の契約により魔力もモライたい放題だった。
それなのに相手ときたら、俺のテイのいい「友達」なんて言葉に騙されて「ロスちゃんロスちゃん」と懐くもんダから、最終的にそれに流される始末。随分長い間付かず離れずつるんでた。なんだかんだ、気ままで楽シイ人間界生活を満喫してたのも嘘じゃナイ。お互い様とイウとこだ。
ケド、相手はハーフっつっても身体は人間だったシ、悪魔の俺は死なナイしで。
御察しノ通り、そレから数十年して、ソイツははぽっくり死んだ。
憑く相手がいなくなったから、俺はそのまま本の中に逆戻り。
漂う場所なんざドコだって構わネーが、本の外の世界を自由に彷徨えるのはなかなかに珍シイ体験だったんで、戻ってスグは退屈で退屈で仕方なかった。この本の中に入ってこれるヤツは稀だし、入ってきたとしても大抵スグ死んじまうから。
そうしてまた暫く何もない時が流れた。
二番目にあったヤツは、以前とは逆で本の中にやってきたニンゲンだった。
そう、ソイツは『ただのニンゲン』だった。
バラの庭園に迷い込んでフラフラフラフラしている魔力もないニンゲン。
そんなニンゲンが一人でこんなところに来るナンゾ信じられんと観察していれば、どうやらソイツの目当ては一緒に来たもう一人だとわかった。
そのもう一人ーー美少年の方は魔力が多くて、エオはここぞとばかりに食い尽くしてしまおうとしたが、昔の記憶が蘇ったカラ俺はそれを止めた。
俺らしくもない。
けどまぁ、こういうことが一度くらいあってもいいかと、ソウ思った。
「ロスがそんなこと言うなんて珍しいナ?」
「ナーニ、ただの気まぐれだ。案外面白いもんだゼ、ニンゲンってヤツはよ」
「ロスは…昔とちょっと変わっタな」
「ソウか?ま、チョット遊んでいこうゼ」
エオの言葉を軽く流して、結果的に俺はソイツの影を喰った。
その影はなんだか温かくて、取り込んだことを後悔するくらいには気持ちが悪かった。
最初はそんな状態だったが、一緒にいるうちに、妙に目が離せなくなった。
悪魔がニンゲンを助けたなんて世界に広まりゃ、俺が恥ずかしい思いをするダケでなんの特にもなりゃしねぇんだが、どうも危なっかしいソイツをほっとくこともできなかった。
影を喰わせてもらった礼だ、なんてこれまたガラにもないことを言い訳にしながら、俺の知り尽くしたこの本の中でソイツとちょっとだけ旅をした。
躊躇いがちに触れてくる差し出された手に翻弄されたのは紛れもない事実だと認めようカ。
『また、会える?』
『バーカ。悪魔とまた会いたいなんて言う奴がいるかよ。一度きりのサヨナラバイバイだッ!』
最後に交わした言葉はそんなもんだった気がする。
「…そろそろまた相棒作ってもいい頃合いカ〜?」
吐き出された独り言が耳に届いて、心の端っこに思い出されたのはいつか言われたあの言葉。
『ロスは…昔とちょっと変わっタな』
なるほど確かに。自分から相棒を探しに行こうなんて思ったことモなかったぜ。
「悪魔の中の異端、それが俺様ロス様ってナ。ヒヒ…!」
長年生きてりゃ記憶も曖昧。
影が好きで魔力が好き。
美味な魂はもっと好きだ。
だけど最近は青い空だって好きになった。
昔の俺なんざ糞食らえ。
俺は俺だ、誰ニモ文句は言わさねぇ。
今日は何かがある、そんな気がした。
一段と青い空が、空気が、揺らぐ。
【コグノスケ・テー・イプスム】
「ホゥラ、新たな相棒のお出ましカモしれねぇぜ。ちょっくらお迎えに行ってみるかナ!」
これは、俺の、俺だけの人生だ。
俺がたのしめりゃ、なんだっていい。