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ちゃぷんと水が揺れる音だけが谺 する。
このバスルームはとても静かだ。さっきまであんなに情熱的に抱き合っていたのに、今ではその面影もすっかりない。
私が湯船に浸かる派だと知っているアズール先輩は、本当はシャワーで済ませたいところだろうに、バスタイムに付き合ってくれる。その優しさが擽ったくて、彼女だけの特権なんだろうなと嬉しくて、毎度のことながらお言葉に甘えてしまう。
この狭いバスタブの中でどうおさまるのが正解なのかは最初こそわからなかったけれど、何度かこういう場を設ける度に探ってきた結果、背中を預けて脚の間にハマるのがよいらしいと結論付けて、最近ではそこにすとんと腰を落とすスタイルが続いている。
「お湯、熱くないですか?」
「ええ、問題ありません」
「そですか…」
「……」
バスルームにいるときのアズール先輩は口数が少ない。
どこに手をやればいいのかも未だに迷うようなので、いつからかふよふよしているその手を取って指を絡めて遊ぶようになった。
先輩の手を自分の思うように、開けて、閉じて、合わせて、握って。
なんだかんだ、やっぱり男の人の手は大きいな、なんて思いながら、今日も今日とてふにゅふにゅする。
思うままに指を絡めたり握ったりしていると、突然ぎゅ、と掴まれて、咄嗟に振り返った私はギョッとした。
「なっ、えっ、」
「っ…それ、やめてください…」
なんとも言えない不思議な表情で、頬を染めて。指を弄っていただけなのに。まさかそんなアズール先輩がいるなんて全然知らなかった。
水を滴らせる先輩はまるで絵画のよう。
色白な肌に灰色の髪、その間から覗く薄いブルーの瞳のなんたる美しさ。
それを明るい場所で、間近で見ていることが、行為の最中よりも恥ずかしくなってきて、ぽぽぽと私まで頬が熱くなる。
「…そんなに、見つめられると、困ります」
「だ、だっ、て」
「それと、指は、案外…その、感じるのでっ…離してくださいっ…」
「えっ、」
ごめんなさい!?と手を離したのに、アズール先輩は私の手首を逆に掴んで自分の方に引き寄せた。バランスを崩した私は先輩の肩あたりに倒れこみ、さらに素肌と素肌がピッタリとくっつく。浮力があるといっても、重いだろうと身体を捩ろうとしても逃してもらえるはずもない。
絶妙な姿勢で抱き合う形のまま、数秒。蛇口から漏れた水滴の、ぽちゃん、という音が耳に届いた。
顔は見えないけれど、重なった身体に互いの心音がドクドクと響いているから、きっと二人の頬は同じくらいに真っ赤なのだろう。
するとふと、先輩の手が私の腰を滑ったと思ったら、先程まで触っていた指が、つつ、と背筋を伝ってくる感覚に、ピクリと身体が反応してしまった。
「ンッ…!」
「っほら、貴女だって性感帯くらいあるでしょう?さっきまでシていたんだから、敏感なんですよ、お互い」
「っ、ご、めんなさいってば…!あず、る、せんぱ、わかったから、やめっ…ひゃっ!?」
背筋を上り切ったら当たり前のように親指が胸の先端を掠めたものだから、漏れそうになる喘ぎ声をアズール先輩の肌で押し殺す。
くに、くに、と潰したり弾いたり引っ掻いたり。どうしたら私が気持ちいいのか知り尽くした先輩に勝てるわけなんてなく、はぁ、と漏れた吐息に対して満足そうな声が返ってきた。
「そろそろ上がって、もう一度、ですね」
夜まだまだ、明けないよう。
月が満ちると、私たちは快楽に堕ちる。
いや、もしかしたら。
私たちが堕ちたから、月が満ちるのかもしれない、なんて。
このバスルームはとても静かだ。さっきまであんなに情熱的に抱き合っていたのに、今ではその面影もすっかりない。
私が湯船に浸かる派だと知っているアズール先輩は、本当はシャワーで済ませたいところだろうに、バスタイムに付き合ってくれる。その優しさが擽ったくて、彼女だけの特権なんだろうなと嬉しくて、毎度のことながらお言葉に甘えてしまう。
この狭いバスタブの中でどうおさまるのが正解なのかは最初こそわからなかったけれど、何度かこういう場を設ける度に探ってきた結果、背中を預けて脚の間にハマるのがよいらしいと結論付けて、最近ではそこにすとんと腰を落とすスタイルが続いている。
「お湯、熱くないですか?」
「ええ、問題ありません」
「そですか…」
「……」
バスルームにいるときのアズール先輩は口数が少ない。
どこに手をやればいいのかも未だに迷うようなので、いつからかふよふよしているその手を取って指を絡めて遊ぶようになった。
先輩の手を自分の思うように、開けて、閉じて、合わせて、握って。
なんだかんだ、やっぱり男の人の手は大きいな、なんて思いながら、今日も今日とてふにゅふにゅする。
思うままに指を絡めたり握ったりしていると、突然ぎゅ、と掴まれて、咄嗟に振り返った私はギョッとした。
「なっ、えっ、」
「っ…それ、やめてください…」
なんとも言えない不思議な表情で、頬を染めて。指を弄っていただけなのに。まさかそんなアズール先輩がいるなんて全然知らなかった。
水を滴らせる先輩はまるで絵画のよう。
色白な肌に灰色の髪、その間から覗く薄いブルーの瞳のなんたる美しさ。
それを明るい場所で、間近で見ていることが、行為の最中よりも恥ずかしくなってきて、ぽぽぽと私まで頬が熱くなる。
「…そんなに、見つめられると、困ります」
「だ、だっ、て」
「それと、指は、案外…その、感じるのでっ…離してくださいっ…」
「えっ、」
ごめんなさい!?と手を離したのに、アズール先輩は私の手首を逆に掴んで自分の方に引き寄せた。バランスを崩した私は先輩の肩あたりに倒れこみ、さらに素肌と素肌がピッタリとくっつく。浮力があるといっても、重いだろうと身体を捩ろうとしても逃してもらえるはずもない。
絶妙な姿勢で抱き合う形のまま、数秒。蛇口から漏れた水滴の、ぽちゃん、という音が耳に届いた。
顔は見えないけれど、重なった身体に互いの心音がドクドクと響いているから、きっと二人の頬は同じくらいに真っ赤なのだろう。
するとふと、先輩の手が私の腰を滑ったと思ったら、先程まで触っていた指が、つつ、と背筋を伝ってくる感覚に、ピクリと身体が反応してしまった。
「ンッ…!」
「っほら、貴女だって性感帯くらいあるでしょう?さっきまでシていたんだから、敏感なんですよ、お互い」
「っ、ご、めんなさいってば…!あず、る、せんぱ、わかったから、やめっ…ひゃっ!?」
背筋を上り切ったら当たり前のように親指が胸の先端を掠めたものだから、漏れそうになる喘ぎ声をアズール先輩の肌で押し殺す。
くに、くに、と潰したり弾いたり引っ掻いたり。どうしたら私が気持ちいいのか知り尽くした先輩に勝てるわけなんてなく、はぁ、と漏れた吐息に対して満足そうな声が返ってきた。
「そろそろ上がって、もう一度、ですね」
夜まだまだ、明けないよう。
月が満ちると、私たちは快楽に堕ちる。
いや、もしかしたら。
私たちが堕ちたから、月が満ちるのかもしれない、なんて。