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「それじゃあおやすみなさい」
「はい、また明日」
モストロ・ラウンジでたまの機会にアルバイトさせてもらうとき、帰り道はアズール先輩が必ずオンボロ寮まで付き添ってくれる。
始めこそ大丈夫ですからと断ってみたけれど、先輩が頑なに譲らないので最近では素直に送ってもらうようになった。
でもこうして別れ際に寂しくなるのは長い時間一緒にいるからこそなので、そろそろ厚意に甘えてばかりではいけないなとも思う。
振っていた手を下ろして自分の足元を見つめると、突然不安に襲われた。
「アズール先輩、行かないで…なんて、ね」
アズール先輩は今日も私に話しかけてくれた。私を見てくれた。だから大丈夫。私はこの世界に存在してる。今は。大丈夫。
「…先輩は、他人に自分の存在証明を任せるなんておかしな話と思いますか?」
ポツリと、言葉を落とすと、その声は暗闇が飲み込んでしまった。
でもじゃあ他人がいなかったら人は自分をどう証明するのだろう?先輩は、先輩が先輩である所以をあなたはどこにもっていますか?
私はこの世界にきて存在が曖昧になりました。私は一体、どうして私なんでしょう?もしかしたら異世界から来たと言うことも事実ではなくて思い込みかもしれないし幻想かもしれない。
「貴女ね、」
「!」
パッと視線を上げると、そこにはアズール先輩が立っていた。なぜ?今、背中を向けて帰って行ったはず。
「人のことを呼び止めたいなら、もう少しきちんと呼びかけて下さい」
発された台詞の内容こそ指示形ではあるけれど、その声色はひどく優しいものだった。
「気づいてよかった」
「せ、んぱい、帰ったんじゃ、」
「星たちが教えてくれました。君の大切な人が寂しがっている、とね」
かけられた言葉がキザ過ぎて、意味を理解するのに少し時間がかかってしまったけれど、それはつまり。
手を伸ばしたら、確かな力で絡め取られて、ゆっくりと引き寄せられて。そうすれば先輩の腕の中。
「朝まで、一緒に、いてほしいです」
「ええもちろん。今日は僕も貴女を抱きしめて眠りたい気分でしたから」
そんなつもりはなかっただろうなとわかっているけど、私がここに存在できるのは、先輩が繋ぎ止めてくれるからなの。今日も今日とて、やっぱりその優しさに甘えさせてもらっていいですか?
「ありがとうございます…だいすきです」
「素直でよろしい」
私がここにいるって、先輩が、証明してね。
「はい、また明日」
モストロ・ラウンジでたまの機会にアルバイトさせてもらうとき、帰り道はアズール先輩が必ずオンボロ寮まで付き添ってくれる。
始めこそ大丈夫ですからと断ってみたけれど、先輩が頑なに譲らないので最近では素直に送ってもらうようになった。
でもこうして別れ際に寂しくなるのは長い時間一緒にいるからこそなので、そろそろ厚意に甘えてばかりではいけないなとも思う。
振っていた手を下ろして自分の足元を見つめると、突然不安に襲われた。
「アズール先輩、行かないで…なんて、ね」
アズール先輩は今日も私に話しかけてくれた。私を見てくれた。だから大丈夫。私はこの世界に存在してる。今は。大丈夫。
「…先輩は、他人に自分の存在証明を任せるなんておかしな話と思いますか?」
ポツリと、言葉を落とすと、その声は暗闇が飲み込んでしまった。
でもじゃあ他人がいなかったら人は自分をどう証明するのだろう?先輩は、先輩が先輩である所以をあなたはどこにもっていますか?
私はこの世界にきて存在が曖昧になりました。私は一体、どうして私なんでしょう?もしかしたら異世界から来たと言うことも事実ではなくて思い込みかもしれないし幻想かもしれない。
「貴女ね、」
「!」
パッと視線を上げると、そこにはアズール先輩が立っていた。なぜ?今、背中を向けて帰って行ったはず。
「人のことを呼び止めたいなら、もう少しきちんと呼びかけて下さい」
発された台詞の内容こそ指示形ではあるけれど、その声色はひどく優しいものだった。
「気づいてよかった」
「せ、んぱい、帰ったんじゃ、」
「星たちが教えてくれました。君の大切な人が寂しがっている、とね」
かけられた言葉がキザ過ぎて、意味を理解するのに少し時間がかかってしまったけれど、それはつまり。
手を伸ばしたら、確かな力で絡め取られて、ゆっくりと引き寄せられて。そうすれば先輩の腕の中。
「朝まで、一緒に、いてほしいです」
「ええもちろん。今日は僕も貴女を抱きしめて眠りたい気分でしたから」
そんなつもりはなかっただろうなとわかっているけど、私がここに存在できるのは、先輩が繋ぎ止めてくれるからなの。今日も今日とて、やっぱりその優しさに甘えさせてもらっていいですか?
「ありがとうございます…だいすきです」
「素直でよろしい」
私がここにいるって、先輩が、証明してね。