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モストロ・ラウンジが開店する前に、課題に必要な本を借りておこうと図書館に寄った本日。タイミングよく彼女の背中を見つけたので背中から覗き込めば、熱心にテキストを書き写している。
珍しく集中して取り組んでいるんだなと思い、声をかけずに踵を返した刹那。聞こえてきたセリフにここがどこだかも忘れて素っ頓狂な声をあげてしまう。
「アズール先輩はうお座だから、ロマンチスト、と…あ、でも日付的にはみずがめ座にも近いから、感情表現も豊かで一方通行の会話になりやすい、っていうのも当てはまるかなぁ」
「はぁ?!」
「わっ!…えっな、なんで本人が!?」
「貴女、突然人の名前を声に出してっ!挙げ句決めつけとはなんなんですか!」
「なっ…!だって先輩がいるなんて知らなかっ」
知らず知らず大きくなる声に被って、ゴホン、と大きな咳払いが一つ。ハッと入り口近くのカウンターを見れば、教師がこちらを睨みつけていた。その様子に自分たちが図書館の静謐を破っていることに気づき、姿勢を正して『ンンッ』っと声を整える。
「それで?なぜ僕の名を?」
「あ、えっと…」
「…ああ、なるほど。星占いですか。女性はそういうものが好きですね」
目の前に積まれていた教科書と彼女が開いていた本、それから書き留められた言葉の数々を見比べて溜め息が出た。
「そうやって性別でひとくくりにするの、古い考えですよー?」
「おっと、それは失礼」
「そういうわけで『価値観に縛られることなく物事や人に向き合うことができます』には当てはまらないっと。やっぱりうお座ですね」
「西洋占星術のトピックを学んでいたんですか?星座別の性格などあてになりませんよ。それと学問とは話が違います」
「でもほら、興味は追及していかないと。どこにどう広がるかわからないものでしょう?」
いかにもなことを言いながら、いそいそと微妙な位置をペンケースで隠す。そのおかしな行動に、逆にそこに目がいってしまって見えたそれ。
【魚座の彼との相性占い】
【彼:魚座 この先の恋の行方は】
その文字を目にして得体の知れない感情が湧き上がる。多分これは喜びとか嬉しさとか恥ずかしさとか、そういうものが混ざったものだ。僕とのことを考えていたのかと、安心もしたかもしれない。
バレていないと思い込んでいるのだろう、彼女はササっとページを捲ろうとしたので、その手を掴んで止めた。ノートはハラリと指の隙間を落ちて、真っ白な新しいページが開かれる。
「へ、」
「では、言われた通りだとして」
もう片方の手を頬に添えてツ、とこちらを向かせれば、二人の距離の近さにピクッと反応するところが愛おしい。
「ロマンチストで感情表現豊かな僕は、貴女に対してどう接するのが正解なのでしょうね?」
すでに周囲に人がいないことは確認済み。
教師は書庫に。学生は一人も見当たらない。
とすれば、この話の結末は見えたでしょう?
「っ、」
「ここで、やめますか?」
「そんなっ…!」
「ふっ…うそですよ」
唇には優しくキスを。
ノートには、魔法でワンフレーズ書かせてもらった。
ああやはり、これではロマンチストと言われても仕方がないかもしれないな。
I think I like you more than you think.
(貴女が思うより、僕は貴女のことを大切に思っていますよ)
珍しく集中して取り組んでいるんだなと思い、声をかけずに踵を返した刹那。聞こえてきたセリフにここがどこだかも忘れて素っ頓狂な声をあげてしまう。
「アズール先輩はうお座だから、ロマンチスト、と…あ、でも日付的にはみずがめ座にも近いから、感情表現も豊かで一方通行の会話になりやすい、っていうのも当てはまるかなぁ」
「はぁ?!」
「わっ!…えっな、なんで本人が!?」
「貴女、突然人の名前を声に出してっ!挙げ句決めつけとはなんなんですか!」
「なっ…!だって先輩がいるなんて知らなかっ」
知らず知らず大きくなる声に被って、ゴホン、と大きな咳払いが一つ。ハッと入り口近くのカウンターを見れば、教師がこちらを睨みつけていた。その様子に自分たちが図書館の静謐を破っていることに気づき、姿勢を正して『ンンッ』っと声を整える。
「それで?なぜ僕の名を?」
「あ、えっと…」
「…ああ、なるほど。星占いですか。女性はそういうものが好きですね」
目の前に積まれていた教科書と彼女が開いていた本、それから書き留められた言葉の数々を見比べて溜め息が出た。
「そうやって性別でひとくくりにするの、古い考えですよー?」
「おっと、それは失礼」
「そういうわけで『価値観に縛られることなく物事や人に向き合うことができます』には当てはまらないっと。やっぱりうお座ですね」
「西洋占星術のトピックを学んでいたんですか?星座別の性格などあてになりませんよ。それと学問とは話が違います」
「でもほら、興味は追及していかないと。どこにどう広がるかわからないものでしょう?」
いかにもなことを言いながら、いそいそと微妙な位置をペンケースで隠す。そのおかしな行動に、逆にそこに目がいってしまって見えたそれ。
【魚座の彼との相性占い】
【彼:魚座 この先の恋の行方は】
その文字を目にして得体の知れない感情が湧き上がる。多分これは喜びとか嬉しさとか恥ずかしさとか、そういうものが混ざったものだ。僕とのことを考えていたのかと、安心もしたかもしれない。
バレていないと思い込んでいるのだろう、彼女はササっとページを捲ろうとしたので、その手を掴んで止めた。ノートはハラリと指の隙間を落ちて、真っ白な新しいページが開かれる。
「へ、」
「では、言われた通りだとして」
もう片方の手を頬に添えてツ、とこちらを向かせれば、二人の距離の近さにピクッと反応するところが愛おしい。
「ロマンチストで感情表現豊かな僕は、貴女に対してどう接するのが正解なのでしょうね?」
すでに周囲に人がいないことは確認済み。
教師は書庫に。学生は一人も見当たらない。
とすれば、この話の結末は見えたでしょう?
「っ、」
「ここで、やめますか?」
「そんなっ…!」
「ふっ…うそですよ」
唇には優しくキスを。
ノートには、魔法でワンフレーズ書かせてもらった。
ああやはり、これではロマンチストと言われても仕方がないかもしれないな。
I think I like you more than you think.
(貴女が思うより、僕は貴女のことを大切に思っていますよ)