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いつからか、溜め息をつく回数が多くなったように思う。
こういった、一種の癖みたいなものは気づいてもなかなかなくならない。
肉体的に疲れたとかそういうのじゃないのに、座り込んでこっそりと息を吐く。
時に意識的に、そして時に無意識に。
「はぁ…」
「おや、お疲れですか」
「わっ!ジェイド先輩!どこから?!」
まだ空気が冷たい日もある春先だが、昼間の陽射しは私に「お休みよ」と語りかける。
そんな誘いを断れるはずもなく、ぽてっと木陰で休んでいると突然ジェイド先輩の声がして驚いた。
「少し用事がありまして。そうしたら貴女の姿が見えたものですから」
「そうだったんですね。お忙しいところ気にかけていただいてありがとうございます」
「僕が勝手にしたことです。お気になさらず。ところで今日はお一人なのですね。グリムくんはどうしたのです?」
「グリムは寮で寝てます。私は、」
「サムさんのお店からの帰り道、でしょうか」
「その通りです。言わなくてもわかりますね」
私の隣に置かれた大きな買い物袋を見たのだろう、ジェイド先輩は苦笑した。
「これほどの買い物をしたら一人で運ぶのは難しいでしょう。僭越ながらお供させていただきますよ」
「えっ!?いいですよ、そんな」
「ただの世話焼きですので」
買い物袋どころか、私も一緒に軽々と抱き上げて、ジェイド先輩はオンボロ寮への道を進む。
高いところが少し苦手な私は思わず先輩の首に縋り付いて目を瞑るしか道はなかった。
「そうしてもらえると助かります。そのようにいつでも頼っていただければ」
「っ、そんなの、だめ、ですよ。ジェイド先輩がいないと、何もできなくなっちゃう」
「むしろそうなってほしいと言ったら?」
「へ?」
「…いえ。そうですね…僕は一度手を出したものからは目が離せないのです。テラリウムしかり、キノコの栽培しかり。ですのでこれはお願いです。僕に貴女のお世話をさせてください。貴女が疲れた時、休みたい時、貴女の心を守りましょう」
それは…それはどういうこと?
私は先輩に甘えていいのだろうか。
行き着いた先のオンボロ寮。キッと扉を開けられて、中へ入るように促される。
そんなことを言われたら離れがたくなって、先輩の制服の裾を掴んだ。
「あの、」
「はい。なんでしょうか」
「わがままを、言ってもいいですか」
「もちろんです」
「久しぶりに一緒にお料理をして欲しいです」
故郷の調味料がまた手に入ったので、と、そんな言い訳をする前に、シッと唇に当てられた綺麗な細い指。
「僕は少し凝り性ですので、始まったら貴女の時間をたくさんいただくことになりますが、それでもよろしいですか?」
「私は、全然。むしろ嬉しいです。でも、ジェイド先輩、用事があったんじゃ…?」
「用事、ね。ありました。ですがもう終わりましたから」
「え?」
「僕の用事は、貴女をここまでお連れすることでしたから」
ふっと微笑んでいたずらっ子のように告げられた言葉に、笑顔になる以外なかった。
疲れも溜め息も全部全部吹き飛ばして。
幸せいっぱいになるの。先輩と一緒なら。
こういった、一種の癖みたいなものは気づいてもなかなかなくならない。
肉体的に疲れたとかそういうのじゃないのに、座り込んでこっそりと息を吐く。
時に意識的に、そして時に無意識に。
「はぁ…」
「おや、お疲れですか」
「わっ!ジェイド先輩!どこから?!」
まだ空気が冷たい日もある春先だが、昼間の陽射しは私に「お休みよ」と語りかける。
そんな誘いを断れるはずもなく、ぽてっと木陰で休んでいると突然ジェイド先輩の声がして驚いた。
「少し用事がありまして。そうしたら貴女の姿が見えたものですから」
「そうだったんですね。お忙しいところ気にかけていただいてありがとうございます」
「僕が勝手にしたことです。お気になさらず。ところで今日はお一人なのですね。グリムくんはどうしたのです?」
「グリムは寮で寝てます。私は、」
「サムさんのお店からの帰り道、でしょうか」
「その通りです。言わなくてもわかりますね」
私の隣に置かれた大きな買い物袋を見たのだろう、ジェイド先輩は苦笑した。
「これほどの買い物をしたら一人で運ぶのは難しいでしょう。僭越ながらお供させていただきますよ」
「えっ!?いいですよ、そんな」
「ただの世話焼きですので」
買い物袋どころか、私も一緒に軽々と抱き上げて、ジェイド先輩はオンボロ寮への道を進む。
高いところが少し苦手な私は思わず先輩の首に縋り付いて目を瞑るしか道はなかった。
「そうしてもらえると助かります。そのようにいつでも頼っていただければ」
「っ、そんなの、だめ、ですよ。ジェイド先輩がいないと、何もできなくなっちゃう」
「むしろそうなってほしいと言ったら?」
「へ?」
「…いえ。そうですね…僕は一度手を出したものからは目が離せないのです。テラリウムしかり、キノコの栽培しかり。ですのでこれはお願いです。僕に貴女のお世話をさせてください。貴女が疲れた時、休みたい時、貴女の心を守りましょう」
それは…それはどういうこと?
私は先輩に甘えていいのだろうか。
行き着いた先のオンボロ寮。キッと扉を開けられて、中へ入るように促される。
そんなことを言われたら離れがたくなって、先輩の制服の裾を掴んだ。
「あの、」
「はい。なんでしょうか」
「わがままを、言ってもいいですか」
「もちろんです」
「久しぶりに一緒にお料理をして欲しいです」
故郷の調味料がまた手に入ったので、と、そんな言い訳をする前に、シッと唇に当てられた綺麗な細い指。
「僕は少し凝り性ですので、始まったら貴女の時間をたくさんいただくことになりますが、それでもよろしいですか?」
「私は、全然。むしろ嬉しいです。でも、ジェイド先輩、用事があったんじゃ…?」
「用事、ね。ありました。ですがもう終わりましたから」
「え?」
「僕の用事は、貴女をここまでお連れすることでしたから」
ふっと微笑んでいたずらっ子のように告げられた言葉に、笑顔になる以外なかった。
疲れも溜め息も全部全部吹き飛ばして。
幸せいっぱいになるの。先輩と一緒なら。