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チラチラと揺れるランプが照らすのは直径わずか数十センチの円の中だけ。それはまるでスポットライトのよう。
そうか、ここは舞台の上かも。
それなら私も、ヒロインになれるのかな。この灯りから一歩はみ出たら、全部全部、夜に溶かして忘れてもいいから。
「アズール先輩、私ね、キャパオーバーしちゃったんです」
「へぇ?それで、どうなりましたか?」
「全部一人で背負いこむからこんなことになるんだぞって怒られました。あっ、笑って、ですよ。みんな優しいから」
「…続けて」
「それで、少し減らそうと思ったんです。予定を。でもこういうのって減らせないじゃないですか。やらないといけないことってどんどん増えるものだし、下ろしたくても下ろせない荷物ってたくさんあるし」
「そうですね」
「でしょう?だから無理してでもやるしかないって、やってたらこんな時間になっちゃって。でもまだあるんです。なのにね、手をつけようとするとボーッとしちゃう。本当に無意識に。これじゃいけないって思って、少し気を紛らわそうと散歩に出ようとしたら、先輩がいて。だから、驚きました」
なるべく明るく話そうとしたらジェスチャーが大袈裟になってきて、なんだか恥ずかしい。喜劇のピエロみたいだ。早く笑い飛ばしてくれないかな。貴女どうしちゃったんですか?って。じゃないと私。
そう考えたとき。
ぽん、と頭に何か乗り、よしよしとでもするように髪を撫でた。それが先輩の手だと気づくのに数秒を要した。一頻り撫で終わると、その手は私の頬へ移動し、無理矢理アズール先輩と向き合う形にされる。
「お疲れ様です」
「、へ」
「今日も、がんばりましたね」
「…は…」
その一言で、私の中の防波堤はいとも簡単に崩れた。ほろり。涙が頬をつたう。
「な、んで」
「努力は、誰かが認めないと報われません。僕の努力は貴女が認めてくれた。それなら貴女の努力は、僕が認めないと。だから、お疲れ様です。貴女、毎日慣れない場所でがんばっていますよ」
そんな風に優しく微笑むものだから、ああもう、暗闇の合間に落ちた灰色の影すら、色を持って輝き出しそう。
「ありがとうございます、先輩」
「それはこちらのセリフです。遅くなってしまいましたが、礼を言います」
やっぱり、ここは舞台の上で、私たちはスポットライトに照らされているのかもしれない。貴方が私を認めてくれるなら、ほかに何もいらない。
そうか、ここは舞台の上かも。
それなら私も、ヒロインになれるのかな。この灯りから一歩はみ出たら、全部全部、夜に溶かして忘れてもいいから。
「アズール先輩、私ね、キャパオーバーしちゃったんです」
「へぇ?それで、どうなりましたか?」
「全部一人で背負いこむからこんなことになるんだぞって怒られました。あっ、笑って、ですよ。みんな優しいから」
「…続けて」
「それで、少し減らそうと思ったんです。予定を。でもこういうのって減らせないじゃないですか。やらないといけないことってどんどん増えるものだし、下ろしたくても下ろせない荷物ってたくさんあるし」
「そうですね」
「でしょう?だから無理してでもやるしかないって、やってたらこんな時間になっちゃって。でもまだあるんです。なのにね、手をつけようとするとボーッとしちゃう。本当に無意識に。これじゃいけないって思って、少し気を紛らわそうと散歩に出ようとしたら、先輩がいて。だから、驚きました」
なるべく明るく話そうとしたらジェスチャーが大袈裟になってきて、なんだか恥ずかしい。喜劇のピエロみたいだ。早く笑い飛ばしてくれないかな。貴女どうしちゃったんですか?って。じゃないと私。
そう考えたとき。
ぽん、と頭に何か乗り、よしよしとでもするように髪を撫でた。それが先輩の手だと気づくのに数秒を要した。一頻り撫で終わると、その手は私の頬へ移動し、無理矢理アズール先輩と向き合う形にされる。
「お疲れ様です」
「、へ」
「今日も、がんばりましたね」
「…は…」
その一言で、私の中の防波堤はいとも簡単に崩れた。ほろり。涙が頬をつたう。
「な、んで」
「努力は、誰かが認めないと報われません。僕の努力は貴女が認めてくれた。それなら貴女の努力は、僕が認めないと。だから、お疲れ様です。貴女、毎日慣れない場所でがんばっていますよ」
そんな風に優しく微笑むものだから、ああもう、暗闇の合間に落ちた灰色の影すら、色を持って輝き出しそう。
「ありがとうございます、先輩」
「それはこちらのセリフです。遅くなってしまいましたが、礼を言います」
やっぱり、ここは舞台の上で、私たちはスポットライトに照らされているのかもしれない。貴方が私を認めてくれるなら、ほかに何もいらない。