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「『こうしてお姫様は王子様と運命の出会いを果たしたのでした』…だって。…素敵ね」
運命。それはすなわち、人の意志に関わらず起こる巡り合わせのこと。それなら、私がこの世界に来たことだって、運命だったと言っても過言ではないだろう。でも先輩に恋したことは。
「運命っていうより必然だって思いたいなぁんて」
「おや、何が必然ですって?」
「わ!」
この広い図書館の奥まった一角で想い人に覗き込まれるなんて考えてもおらず、大げさに驚いてしまった。が、すぐにここが静かにすべき場所であることを思い出し、手で口を塞いだ。
「な、なん、で」
「いえ、何やら懸命に本を読んでいらしたので、一息つくところを待っていたのですが」
驚かせてしまいましたね、なんて笑うものだから、恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
その間にギッと椅子を引いたアズール先輩は私の隣に腰をかけ、私が開いている本を指でなぞる。
「『HappyEverAfter』」
「あ、」
「御伽噺がお好きですか?」
「…いえ、そういうわけでは。物語に限らず、本はなんでも好きですよ。でも今日は、こういう気分だったから読んでました」
「そうですか。愛だの恋だの…くだらないですよ」
今の今までその「愛だの恋だの」について考えていた自分の心を読まれたようで、いたたまれない。けれど続く言葉に、私の心は全部全部持っていかれる。
「僕と貴女が番になった…僕にはその事実だけで十分なので」
アズール先輩から、好きです、だの、愛してる、だのと言われた記憶は限りなく少ない。でもそんなのどうだって良いくらい、きっと私のことを想ってくれているんだなって、その少し染まった頬から伝わってきて、私は言葉を失った。
(そんなの、私だって…。でもこれじゃあ…………当分は、愛してるって、伝えられなくなっちゃった)
運命。それはすなわち、人の意志に関わらず起こる巡り合わせのこと。それなら、私がこの世界に来たことだって、運命だったと言っても過言ではないだろう。でも先輩に恋したことは。
「運命っていうより必然だって思いたいなぁんて」
「おや、何が必然ですって?」
「わ!」
この広い図書館の奥まった一角で想い人に覗き込まれるなんて考えてもおらず、大げさに驚いてしまった。が、すぐにここが静かにすべき場所であることを思い出し、手で口を塞いだ。
「な、なん、で」
「いえ、何やら懸命に本を読んでいらしたので、一息つくところを待っていたのですが」
驚かせてしまいましたね、なんて笑うものだから、恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
その間にギッと椅子を引いたアズール先輩は私の隣に腰をかけ、私が開いている本を指でなぞる。
「『HappyEverAfter』」
「あ、」
「御伽噺がお好きですか?」
「…いえ、そういうわけでは。物語に限らず、本はなんでも好きですよ。でも今日は、こういう気分だったから読んでました」
「そうですか。愛だの恋だの…くだらないですよ」
今の今までその「愛だの恋だの」について考えていた自分の心を読まれたようで、いたたまれない。けれど続く言葉に、私の心は全部全部持っていかれる。
「僕と貴女が番になった…僕にはその事実だけで十分なので」
アズール先輩から、好きです、だの、愛してる、だのと言われた記憶は限りなく少ない。でもそんなのどうだって良いくらい、きっと私のことを想ってくれているんだなって、その少し染まった頬から伝わってきて、私は言葉を失った。
(そんなの、私だって…。でもこれじゃあ…………当分は、愛してるって、伝えられなくなっちゃった)