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夢で会いましょう、なんて、美しい別れかもしれないけれど。それは時に残酷な言葉だ。
真っ赤な夕陽、と言う俗的な表現はこの場に似合わない。言うなれば春の落ち葉。
「先輩とこんなに長い間離れるのは初めてですね」
「必ず戻ってきます」
「当たり前です。今生の別れじゃないんですから」
「そうですけど…僕がいない間に貴女がどうにかなるのではとヒヤヒヤくらいします」
「四年生になるとほとんど寮にいないって…わかっていたけれど、寂しいものですね…」
美しい灰色の髪を赤に染めて、アズール先輩は海の向こうに沈みゆく陽を見つめていた。
その横顔はいつになく大人びていて。
「いつかと言わず今すぐにでも…連れ去って欲しいです」
「…」
「なんて…ふふっ!先輩が戻ってくる日、心待ちにしてます。研修頑張って下さいね!」
一年、会えない日の方が多いだろうこの一年で、変わりゆくものは大きいはずだ。
迎えにきてほしい。私のことを。お願い。忘れないで。…そんなこと口には絶対出さないけど、きっと先輩は気づいているかな。さらりと髪を揺らす海風に、目を細めた刹那。
「連れ去りたいのはこちらとて同じです」
「へ、」
「ですが、貴女を連れ去るにはまだ僕は力が足りません」
アズール先輩の言葉にそちらを向けば、思いの外近い距離に先輩がいて、トクリ、胸が鳴った。
「幸せにしたいんです。貴女だけは」
「、それ、は」
「…なんと取っていただいても、構いませんが」
この先のセリフは、全てが終わったら伝えますので、そのつもりで。
先輩はそう言って、優しく私を引き寄せた。
波が奏でるメロディーは、夜の帳が下りても止まない。
真っ赤な夕陽、と言う俗的な表現はこの場に似合わない。言うなれば春の落ち葉。
「先輩とこんなに長い間離れるのは初めてですね」
「必ず戻ってきます」
「当たり前です。今生の別れじゃないんですから」
「そうですけど…僕がいない間に貴女がどうにかなるのではとヒヤヒヤくらいします」
「四年生になるとほとんど寮にいないって…わかっていたけれど、寂しいものですね…」
美しい灰色の髪を赤に染めて、アズール先輩は海の向こうに沈みゆく陽を見つめていた。
その横顔はいつになく大人びていて。
「いつかと言わず今すぐにでも…連れ去って欲しいです」
「…」
「なんて…ふふっ!先輩が戻ってくる日、心待ちにしてます。研修頑張って下さいね!」
一年、会えない日の方が多いだろうこの一年で、変わりゆくものは大きいはずだ。
迎えにきてほしい。私のことを。お願い。忘れないで。…そんなこと口には絶対出さないけど、きっと先輩は気づいているかな。さらりと髪を揺らす海風に、目を細めた刹那。
「連れ去りたいのはこちらとて同じです」
「へ、」
「ですが、貴女を連れ去るにはまだ僕は力が足りません」
アズール先輩の言葉にそちらを向けば、思いの外近い距離に先輩がいて、トクリ、胸が鳴った。
「幸せにしたいんです。貴女だけは」
「、それ、は」
「…なんと取っていただいても、構いませんが」
この先のセリフは、全てが終わったら伝えますので、そのつもりで。
先輩はそう言って、優しく私を引き寄せた。
波が奏でるメロディーは、夜の帳が下りても止まない。