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ラウンジが休みの日は必然的に彼女に会うこともない。当然と言えば当然だし、一日くらいといえばそれだけのこと。
けれどどうしようもなく会いたくなることもあるわけで。『新しいく提供する予定のスイーツの試作を食べてもらおうかと』なんてもっともらしい理由をつけてオンボロ寮に足を運んだ。
「?おかしいですね…」
なんやかんやと準備をしていたせいで、思ったよりも陽が傾いていた地上は、どこもかしこも灯りが点り始めていたのに、オンボロ寮は真っ暗である。せめて談話室からくらい灯りが漏れていてもおかしくないだろうと違和感は拭えない。
ドアノックを叩いても返事がないのも気にかかり、失礼かとも思ったが、そのまま足を踏み入れる。
案の定談話室には誰もいなかったので持ってきた食べ物を机の上において、二階の彼女の部屋へと進んだ。差し込む日もどんどん弱くなってくる。彼女の部屋の扉は閉まっていたが、なんとなく、ここにいる気がして軽くノックを。
「すみません、お邪魔します、アズールです」
返事はない。けれど、ドアノブを回して力をかけるとそれは簡単に開いた。キィっと軽い音が鳴る。顔をのぞかせるとベッドがこんもりと膨らんでおり、どうやら彼女はそこにいるようだ。その事実に安堵すると同時に、なぜこんな時間から眠っているのかと不思議に思う。とりあえず近づいてみると、ベッドサイドランプの弱い光の元、少し青ざめた顔が目に止まった。
「体調が悪かったのか…」
彼女がよく薬を飲んでいることは知っていた。しかし、何の薬だと問うても曖昧な返事しか返ってこなかったので無理強いはしなかったが…、サイドデスクに置かれたグラスの横に薬も置かれていて、それを見たら理由がわかる。
「頭痛薬?こんなものを常用しているのか、彼女は」
用法容量を守れば良いとは言っても、頻繁に服用することが良いとは到底思えない。
ベッドに腰をかけて、少し汗ばむ額をひと撫で。次いで触れるだけのキスを落とした。
「言ってくだされば、根本原因から取り除く手立てを考えたのに。全く、変なところで強情というか、気遣いが過ぎると言うか」
「…だって、先輩、私が頼ったらもっと忙しくなってもどうにかしてくれちゃうから」
「…!すみません、起こしてしまいましたね」
「いえ、大丈夫…。だいぶ薬も効いたので」
「ああ、起きなくていいですよ。僕は貴女の顔を見にきただけなので」
「…私も、アズール先輩に会いたかった…。会えたから、きっと、元気になれます…」
へにゃ、と笑って、それでもやはりまだ全快はしていなかったのだろう。また、すぅっと瞼が閉じて、夢の中へ旅立ってしまった。
「ふっ…可愛いことを」
ベッドから立ち上がって、部屋を出る。
顔を見れて元気になったのはこちらの方とて同じ。
「寝起きに食べれる軽い食事でも作っておきましょう」
美味しい食事を僕と共に召し上がれ。
そうすればきっと、もっと良くなるでしょうから。
そうしたらまた、花も綻ぶ貴女の笑顔を、僕に見せて。
けれどどうしようもなく会いたくなることもあるわけで。『新しいく提供する予定のスイーツの試作を食べてもらおうかと』なんてもっともらしい理由をつけてオンボロ寮に足を運んだ。
「?おかしいですね…」
なんやかんやと準備をしていたせいで、思ったよりも陽が傾いていた地上は、どこもかしこも灯りが点り始めていたのに、オンボロ寮は真っ暗である。せめて談話室からくらい灯りが漏れていてもおかしくないだろうと違和感は拭えない。
ドアノックを叩いても返事がないのも気にかかり、失礼かとも思ったが、そのまま足を踏み入れる。
案の定談話室には誰もいなかったので持ってきた食べ物を机の上において、二階の彼女の部屋へと進んだ。差し込む日もどんどん弱くなってくる。彼女の部屋の扉は閉まっていたが、なんとなく、ここにいる気がして軽くノックを。
「すみません、お邪魔します、アズールです」
返事はない。けれど、ドアノブを回して力をかけるとそれは簡単に開いた。キィっと軽い音が鳴る。顔をのぞかせるとベッドがこんもりと膨らんでおり、どうやら彼女はそこにいるようだ。その事実に安堵すると同時に、なぜこんな時間から眠っているのかと不思議に思う。とりあえず近づいてみると、ベッドサイドランプの弱い光の元、少し青ざめた顔が目に止まった。
「体調が悪かったのか…」
彼女がよく薬を飲んでいることは知っていた。しかし、何の薬だと問うても曖昧な返事しか返ってこなかったので無理強いはしなかったが…、サイドデスクに置かれたグラスの横に薬も置かれていて、それを見たら理由がわかる。
「頭痛薬?こんなものを常用しているのか、彼女は」
用法容量を守れば良いとは言っても、頻繁に服用することが良いとは到底思えない。
ベッドに腰をかけて、少し汗ばむ額をひと撫で。次いで触れるだけのキスを落とした。
「言ってくだされば、根本原因から取り除く手立てを考えたのに。全く、変なところで強情というか、気遣いが過ぎると言うか」
「…だって、先輩、私が頼ったらもっと忙しくなってもどうにかしてくれちゃうから」
「…!すみません、起こしてしまいましたね」
「いえ、大丈夫…。だいぶ薬も効いたので」
「ああ、起きなくていいですよ。僕は貴女の顔を見にきただけなので」
「…私も、アズール先輩に会いたかった…。会えたから、きっと、元気になれます…」
へにゃ、と笑って、それでもやはりまだ全快はしていなかったのだろう。また、すぅっと瞼が閉じて、夢の中へ旅立ってしまった。
「ふっ…可愛いことを」
ベッドから立ち上がって、部屋を出る。
顔を見れて元気になったのはこちらの方とて同じ。
「寝起きに食べれる軽い食事でも作っておきましょう」
美味しい食事を僕と共に召し上がれ。
そうすればきっと、もっと良くなるでしょうから。
そうしたらまた、花も綻ぶ貴女の笑顔を、僕に見せて。