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何日か前からやたらと日付を確認してくるから、もしやと思ってフロイド先輩に尋ねたら、なんと来る二月二十四日はアズール先輩の誕生日だという。
何でハッキリ言ってくれないの?!
と驚いたけど、あのアズール先輩のことだから気づいて欲しかったんだろうなと結局笑ってしまった。
フロイド先輩とジェイド先輩のお誕生日のときのように、当日は寮で盛大なパーティーが催されるのだろう。
そうとなれば早めにお祝いした方がいいかなと、ふらり入った図書室で何が欲しいかなぁと物思いに浸る。
【アズール先輩のプレゼントは?】
食べ物…カフェ経営者に対抗できない。却下
コイン…自国のものは持ってない。却下
洋服類…好き嫌いがわからない。却下
万年筆…マジカルペンで間に合う。却下
思いつく限りのプレゼントをつらつらとノートに書き綴る。
こうしてみると、先輩に必要なものや欲しいものなんてないんじゃないかという気がした。
「うーん…考えても決まらなそう。フロイド先輩やジェイド先輩と被ってもやだしなぁ」
「何をそんなに難しい顔で考えているんですか?」
「えー…それは先輩のプレゼ…っ!?」
いつも肩に乗ったグリムと会話しているせいでナチュラルに答えてしまったが、今、グリムは魔法が必要な教科の補習で個別に呼び出されている。
つまりここにはいないのだ。とすると声の主は誰だ?
ゆっくりと振り向けば、当たり前のようにアズール先輩がノートを覗き込んでいて、ここが図書室であることを忘れて叫びそうになった。
「おや?僕にプレゼント?なぜです?」
「っ〜!!」
『先輩の誕生日に気づいた私』に気づいているはずなのに、どうしても私の口から言わせたいらしい。
ニコニコといい笑顔に負けて、観念。
「先輩、二十四日が誕生日なんでしょう?」
「知っていたんですか!」
「白々しいですね!もっと早く教えてくれたらよかったのに!」
「誕生日を自分から伝えるなんて子供じゃあるまいし。強請るみたいで嫌じゃないですか」
「一応私、彼女ですよ?何か用意したいに決まってます。当日はリーチ兄弟のように寮でお祝いでしょう?私は行けないので、先にお祝いさせてくださいね」
「?なぜ?貴女も来てくださればいい」
「他寮のお祝いに口出しできませんよ…」
やんわりと遠慮しますと断ると、何やら思案顔。別に当日に何もお祝いしないと言ってるわけじゃないのに。そんなにみんなでお祝いしたいのかな?
「わかりました。では、僕、欲しいものがあるんです」
「え?」
「それをくださいませんか。貴女からしかもらえないものなんです」
「…私にしか?なんです?先輩が喜ぶものをあげたいので、それは助かります」
教えてください、と頼めば、先輩は勝ち誇るように言った。
「貴女からのバースデーソング」
「は?」
「貴女の国のもので構いません。僕を祝うために、僕に会いに、歌いに来てください」
「えっ、ちょ、」
「いいですか?約束ですよ、必ず来てくださいね」
最後の一言は、わざとらしく耳に囁いて。それから図書室を出て行った先輩に私の心は翻弄される。
貴方は人魚だけれど、私は人魚姫じゃあるまい。
歌声がほしいだなんて。
「アズール先輩にならなんだってあげたいけど…声を取られたら困っちゃうな」
そうなったら、好きですって、伝えられなくなっちゃうから。
だから、私の王子様で、私の魔法使いの先輩からはキスをもらわなくっちゃと、静寂の中で一人ひっそりと微笑んだ。
何でハッキリ言ってくれないの?!
と驚いたけど、あのアズール先輩のことだから気づいて欲しかったんだろうなと結局笑ってしまった。
フロイド先輩とジェイド先輩のお誕生日のときのように、当日は寮で盛大なパーティーが催されるのだろう。
そうとなれば早めにお祝いした方がいいかなと、ふらり入った図書室で何が欲しいかなぁと物思いに浸る。
【アズール先輩のプレゼントは?】
食べ物…カフェ経営者に対抗できない。却下
コイン…自国のものは持ってない。却下
洋服類…好き嫌いがわからない。却下
万年筆…マジカルペンで間に合う。却下
思いつく限りのプレゼントをつらつらとノートに書き綴る。
こうしてみると、先輩に必要なものや欲しいものなんてないんじゃないかという気がした。
「うーん…考えても決まらなそう。フロイド先輩やジェイド先輩と被ってもやだしなぁ」
「何をそんなに難しい顔で考えているんですか?」
「えー…それは先輩のプレゼ…っ!?」
いつも肩に乗ったグリムと会話しているせいでナチュラルに答えてしまったが、今、グリムは魔法が必要な教科の補習で個別に呼び出されている。
つまりここにはいないのだ。とすると声の主は誰だ?
ゆっくりと振り向けば、当たり前のようにアズール先輩がノートを覗き込んでいて、ここが図書室であることを忘れて叫びそうになった。
「おや?僕にプレゼント?なぜです?」
「っ〜!!」
『先輩の誕生日に気づいた私』に気づいているはずなのに、どうしても私の口から言わせたいらしい。
ニコニコといい笑顔に負けて、観念。
「先輩、二十四日が誕生日なんでしょう?」
「知っていたんですか!」
「白々しいですね!もっと早く教えてくれたらよかったのに!」
「誕生日を自分から伝えるなんて子供じゃあるまいし。強請るみたいで嫌じゃないですか」
「一応私、彼女ですよ?何か用意したいに決まってます。当日はリーチ兄弟のように寮でお祝いでしょう?私は行けないので、先にお祝いさせてくださいね」
「?なぜ?貴女も来てくださればいい」
「他寮のお祝いに口出しできませんよ…」
やんわりと遠慮しますと断ると、何やら思案顔。別に当日に何もお祝いしないと言ってるわけじゃないのに。そんなにみんなでお祝いしたいのかな?
「わかりました。では、僕、欲しいものがあるんです」
「え?」
「それをくださいませんか。貴女からしかもらえないものなんです」
「…私にしか?なんです?先輩が喜ぶものをあげたいので、それは助かります」
教えてください、と頼めば、先輩は勝ち誇るように言った。
「貴女からのバースデーソング」
「は?」
「貴女の国のもので構いません。僕を祝うために、僕に会いに、歌いに来てください」
「えっ、ちょ、」
「いいですか?約束ですよ、必ず来てくださいね」
最後の一言は、わざとらしく耳に囁いて。それから図書室を出て行った先輩に私の心は翻弄される。
貴方は人魚だけれど、私は人魚姫じゃあるまい。
歌声がほしいだなんて。
「アズール先輩にならなんだってあげたいけど…声を取られたら困っちゃうな」
そうなったら、好きですって、伝えられなくなっちゃうから。
だから、私の王子様で、私の魔法使いの先輩からはキスをもらわなくっちゃと、静寂の中で一人ひっそりと微笑んだ。