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その隙間を滑り落ちていくのは一体なんだろう。
音もなく減ってゆくこれは、なに?
さらさら、さらさら
きらきら、きらきら
思考の合間を縫って、落ちて、そうして。
ふ、とそのきらきらが消えたと思えば、私の目には暗闇が映った。
脳裏の残像を辿って思い返すと、なんとなしに砂時計が浮かび上がった。
小さな頃、どこかのお土産コーナーで買ってもらった砂時計。
キラキラが落ちていくのが綺麗でずっと見つめていたっけ。
砂が落ちていくとともに減っていく時間。
ああ…もしかすると。
私の時間も残り少ないのかな、なんて不安になる夜に限って、私の隣にはジェイド先輩はいない。
きっとこの『不安の種』を蒔く悪魔は、ジェイド先輩が苦手なのね。
だから先輩がいるときはこんな気持ちにならないんだ。
くしゃりと歪んだ表情は頬に一筋の涙を伝わせた。
「早く会いたいな…」
もう深く眠ることは叶わないけれど。瞼を閉じてもそこにあるのは暗闇だけれど。
それでも私は、明日の朝を想って枕に顔を埋めた。
数分か数時間か定かではない。
瞼を掠めたのはカーテンから差し込んだ朝陽に、意識が覚醒した。
毎日の癖で手がグリムのお腹を探す。
私が起こさないと。一緒に遅刻しちゃうから。
しかし、私に触れたのはグリムの柔らかい毛並みではなくて、私よりもだいぶ大きな手だった。
「…あれ?」
「お目覚めですか?」
「、ぇ」
「おはようございます。昨日はあまり眠れなかったようですね…お伺いできず申し訳ありませんでした。」
「…おはよ…ござ…?先輩、どうして、」
「少しでも早く貴女を抱きしめたくて、と言ったら?」
「…!」
そのセリフに対して抱いた感情は、いつものような恥ずかしいというものではなくて、安心、だった。
伸ばされた腕にふわりと身体を預ければ、優しく抱きとめられて、ほぅ、と息を吐く。
「せんぱいは、私のことならなんでもお見通しなんですね…?」
「ええ、もちろん。貴女が僕に会いたいと思ってくれていることくらい、お見通しです」
「…この当たり前がいつかなくなってしまいそうに思えて、それで、」
「大丈夫ですよ。もしも砂が落ち切ってしまったら、また僕がそれを逆さにして、貴女の時を動かしますから」
「ほんとに?」
「ええ。だからこれからもう一度、僕に呼吸を任せてくれますか?」
その唇には悪戯な微笑み。
先輩の心音を聞きながら、私は優しい闇に誘われた。
音もなく減ってゆくこれは、なに?
さらさら、さらさら
きらきら、きらきら
思考の合間を縫って、落ちて、そうして。
ふ、とそのきらきらが消えたと思えば、私の目には暗闇が映った。
脳裏の残像を辿って思い返すと、なんとなしに砂時計が浮かび上がった。
小さな頃、どこかのお土産コーナーで買ってもらった砂時計。
キラキラが落ちていくのが綺麗でずっと見つめていたっけ。
砂が落ちていくとともに減っていく時間。
ああ…もしかすると。
私の時間も残り少ないのかな、なんて不安になる夜に限って、私の隣にはジェイド先輩はいない。
きっとこの『不安の種』を蒔く悪魔は、ジェイド先輩が苦手なのね。
だから先輩がいるときはこんな気持ちにならないんだ。
くしゃりと歪んだ表情は頬に一筋の涙を伝わせた。
「早く会いたいな…」
もう深く眠ることは叶わないけれど。瞼を閉じてもそこにあるのは暗闇だけれど。
それでも私は、明日の朝を想って枕に顔を埋めた。
数分か数時間か定かではない。
瞼を掠めたのはカーテンから差し込んだ朝陽に、意識が覚醒した。
毎日の癖で手がグリムのお腹を探す。
私が起こさないと。一緒に遅刻しちゃうから。
しかし、私に触れたのはグリムの柔らかい毛並みではなくて、私よりもだいぶ大きな手だった。
「…あれ?」
「お目覚めですか?」
「、ぇ」
「おはようございます。昨日はあまり眠れなかったようですね…お伺いできず申し訳ありませんでした。」
「…おはよ…ござ…?先輩、どうして、」
「少しでも早く貴女を抱きしめたくて、と言ったら?」
「…!」
そのセリフに対して抱いた感情は、いつものような恥ずかしいというものではなくて、安心、だった。
伸ばされた腕にふわりと身体を預ければ、優しく抱きとめられて、ほぅ、と息を吐く。
「せんぱいは、私のことならなんでもお見通しなんですね…?」
「ええ、もちろん。貴女が僕に会いたいと思ってくれていることくらい、お見通しです」
「…この当たり前がいつかなくなってしまいそうに思えて、それで、」
「大丈夫ですよ。もしも砂が落ち切ってしまったら、また僕がそれを逆さにして、貴女の時を動かしますから」
「ほんとに?」
「ええ。だからこれからもう一度、僕に呼吸を任せてくれますか?」
その唇には悪戯な微笑み。
先輩の心音を聞きながら、私は優しい闇に誘われた。