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「ダンスパーティー!?」
「知らなかったの?もう直ぐだけど。」
「えっ…まって?だって年間予定表にそんなこと…」
「書いてあるんだな〜これが。ここ。」
「は?これ!?嘘でしょ!?ダンスパーティーって感じの行事名じゃなくない!?」
エースに指さされたその行事は明後日に迫っていた。ドレスなんかを揃えることは愚か、ダンスの練習すらできそうにない。
私に残された道は一つだった。
「休むわ。」
「これ出るだけで単位つくのに?」
「はぁ!?うそでしょ!」
「残念ながらマジ。だから出た方がいいぜ〜?」
ぐぬぬと唸っても現状は変わらない。
休むこともできないとなれば、取れる行動は一つだけだ。
「せめて出席だけでもすれば…。つまりドレスコードに沿った服さえ手に入れば…」
「…」
「う〜…サムさんのとこにあるのかなぁ…ってかそれよりも資金…考えただけで頭痛くなるわ…」
帰ったら貯金箱ひっくり返さないと、との独り言に珍しく返事を寄越さなかったエースに違和感を覚える暇もなく、トレイン先生が入ってきて授業が開始されたのだった。
時はすぎてその日の夜。
普段はあまり鳴ることのないスマホが着信音を立てた。画面を見れば、メッセージアプリの受信表示だ。差出人は。
「エース?」
『お前、ドレス買った?』
『ドレス?』
『は?もう忘れたの?ダンパのだよ』
『ああ…あれね…今ネット通販で探してるとこ』
『やっぱサムさんのとこじゃマドル足りなかったんだ?』
『うるさーい!』
『怒るな怒るな!そんなお前にプレゼントあっから、明日オンボロ寮遊びに行ってい?』
『明日ぁ?いいけど…』
『おっけー。そんじゃおやすみ』
『はーい。おやすみー』
次の日にエースがやってきて、私に渡してきたのは真紅のドレスだった。もちろん髪がさりや靴まで一式セット。どんな風の吹き回しだと問い詰めたら、なんてことはない。デュースとの賭けに負けたんだとか。
「マブが単位落とすの、隣でみてるだけじゃな、って話になってさ。それで仕方なく。だから着て来てよ。」
「ほ、ほんとに、いいの?」
「ばーか。こういうときは素直に『ありがとー♡エース様♡』って言うだけでいーんだよっ。」
『そんじゃまた明日、迎えに来るから準備しとけよ。ダンスまでしっかりエスコートしてやるからな』
そう残してエースは去っていった。
本当に、よくわからない気遣い屋だ。
でもありがたい。いいマブをもったなと感謝を噛み締めて、私は翌日の本番を迎えることになる。
*
「うっわすご…!いつも思うけど、この学園ってなんなの…?」
「お前の世界ではあんまこういうのなかったの?」
「そうだね。パーティなんて映画の中でしかみたことない。この世界はヨーロッパスタイルなのかな…?」
「ヨーロッパァ?」
「そうそう、ほらこのビュッフェとか、オードブル?前菜?なんていうのかな…うちの寮の朝ごはんよりだいぶ豪華…」
「はは!こんなの目の前にしておはようございますぅって?オレは無理。パン一枚でよくね?普通が一番。」
「この世界の普通がよくわかんないよ…」
煌びやかな大広間にはハロウィンと同じく外来からの人もたくさん集まっている。優雅な音楽の元、皆思い思いに時を過ごしているようだ。
「あれ?この音楽は、ワルツ?」
「お、それは知ってるわけ?」
「うん。ピアノで弾いたことあるから。」
「へぇー?お前もそういうことやってたんだ。今も弾けんの?」
「ブランクがあるから流石に無理。」
「なーんだ。」
そういって綺麗な色のジュースをクイっと飲み干したエースがこちらをじっと見てくるので、眉を顰めながら何?と言い返す。
「いやー、やっぱ俺の見立ては間違ってなかったなって思ってさ。」
「はぁ?何が?」
「馬子にも衣装ってこと。似合ってんね、そのドレス。」
「な、」
「お前さ、赤色似合うよ、ハートのエースと同じの、真っ赤。」
ふ、と目を逸らしてエースの顔のほうが私のドレスよりも真っ赤なのは、私以外の誰も気づいていないんだろう。
「あの、」
「まーそーゆーわけだからさ!ワルツ知ってるなら、一曲、踊らね?」
ニカッと笑うエースの手を取ってしまえば、もしかしたら私も。
「ガラスの靴はないけど…私もお姫様になれるのかな…」
「は?何言ってんの。」
「あ、ごめん…似合いもしないことを言っちゃった。」
すると、エースはそっと私の腰をとって、踊りながら囁いた。私だけに効く魔法の言葉を。
「オレの理想の相手ってのは、一緒に泣いたり笑ったりできるやつ。んで、どんなに辛い時でも一緒にがんばれるやつ。」
「!」
「つまり、それは、誰だと思う?」
ハートのエースというだけあって、彼は心の扱いも上手いらしい。
さて二人関係は。これからどうなるのでしょうか。
「知らなかったの?もう直ぐだけど。」
「えっ…まって?だって年間予定表にそんなこと…」
「書いてあるんだな〜これが。ここ。」
「は?これ!?嘘でしょ!?ダンスパーティーって感じの行事名じゃなくない!?」
エースに指さされたその行事は明後日に迫っていた。ドレスなんかを揃えることは愚か、ダンスの練習すらできそうにない。
私に残された道は一つだった。
「休むわ。」
「これ出るだけで単位つくのに?」
「はぁ!?うそでしょ!」
「残念ながらマジ。だから出た方がいいぜ〜?」
ぐぬぬと唸っても現状は変わらない。
休むこともできないとなれば、取れる行動は一つだけだ。
「せめて出席だけでもすれば…。つまりドレスコードに沿った服さえ手に入れば…」
「…」
「う〜…サムさんのとこにあるのかなぁ…ってかそれよりも資金…考えただけで頭痛くなるわ…」
帰ったら貯金箱ひっくり返さないと、との独り言に珍しく返事を寄越さなかったエースに違和感を覚える暇もなく、トレイン先生が入ってきて授業が開始されたのだった。
時はすぎてその日の夜。
普段はあまり鳴ることのないスマホが着信音を立てた。画面を見れば、メッセージアプリの受信表示だ。差出人は。
「エース?」
『お前、ドレス買った?』
『ドレス?』
『は?もう忘れたの?ダンパのだよ』
『ああ…あれね…今ネット通販で探してるとこ』
『やっぱサムさんのとこじゃマドル足りなかったんだ?』
『うるさーい!』
『怒るな怒るな!そんなお前にプレゼントあっから、明日オンボロ寮遊びに行ってい?』
『明日ぁ?いいけど…』
『おっけー。そんじゃおやすみ』
『はーい。おやすみー』
次の日にエースがやってきて、私に渡してきたのは真紅のドレスだった。もちろん髪がさりや靴まで一式セット。どんな風の吹き回しだと問い詰めたら、なんてことはない。デュースとの賭けに負けたんだとか。
「マブが単位落とすの、隣でみてるだけじゃな、って話になってさ。それで仕方なく。だから着て来てよ。」
「ほ、ほんとに、いいの?」
「ばーか。こういうときは素直に『ありがとー♡エース様♡』って言うだけでいーんだよっ。」
『そんじゃまた明日、迎えに来るから準備しとけよ。ダンスまでしっかりエスコートしてやるからな』
そう残してエースは去っていった。
本当に、よくわからない気遣い屋だ。
でもありがたい。いいマブをもったなと感謝を噛み締めて、私は翌日の本番を迎えることになる。
*
「うっわすご…!いつも思うけど、この学園ってなんなの…?」
「お前の世界ではあんまこういうのなかったの?」
「そうだね。パーティなんて映画の中でしかみたことない。この世界はヨーロッパスタイルなのかな…?」
「ヨーロッパァ?」
「そうそう、ほらこのビュッフェとか、オードブル?前菜?なんていうのかな…うちの寮の朝ごはんよりだいぶ豪華…」
「はは!こんなの目の前にしておはようございますぅって?オレは無理。パン一枚でよくね?普通が一番。」
「この世界の普通がよくわかんないよ…」
煌びやかな大広間にはハロウィンと同じく外来からの人もたくさん集まっている。優雅な音楽の元、皆思い思いに時を過ごしているようだ。
「あれ?この音楽は、ワルツ?」
「お、それは知ってるわけ?」
「うん。ピアノで弾いたことあるから。」
「へぇー?お前もそういうことやってたんだ。今も弾けんの?」
「ブランクがあるから流石に無理。」
「なーんだ。」
そういって綺麗な色のジュースをクイっと飲み干したエースがこちらをじっと見てくるので、眉を顰めながら何?と言い返す。
「いやー、やっぱ俺の見立ては間違ってなかったなって思ってさ。」
「はぁ?何が?」
「馬子にも衣装ってこと。似合ってんね、そのドレス。」
「な、」
「お前さ、赤色似合うよ、ハートのエースと同じの、真っ赤。」
ふ、と目を逸らしてエースの顔のほうが私のドレスよりも真っ赤なのは、私以外の誰も気づいていないんだろう。
「あの、」
「まーそーゆーわけだからさ!ワルツ知ってるなら、一曲、踊らね?」
ニカッと笑うエースの手を取ってしまえば、もしかしたら私も。
「ガラスの靴はないけど…私もお姫様になれるのかな…」
「は?何言ってんの。」
「あ、ごめん…似合いもしないことを言っちゃった。」
すると、エースはそっと私の腰をとって、踊りながら囁いた。私だけに効く魔法の言葉を。
「オレの理想の相手ってのは、一緒に泣いたり笑ったりできるやつ。んで、どんなに辛い時でも一緒にがんばれるやつ。」
「!」
「つまり、それは、誰だと思う?」
ハートのエースというだけあって、彼は心の扱いも上手いらしい。
さて二人関係は。これからどうなるのでしょうか。