ワードパレット
名前変換設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あけまして、おめでとう、ですか。」
「そうです。それで、新しい年が明けたことを祝うんですよ。」
閉店後のモストロ・ラウンジで、アズール先輩のお仕事が終わるのを待ちながら暫しの歓談。この地のホリデーのことを色々とお伺いした代わりに、私の国の文化を話して聞かせる。
「多分こちらでは、ホリデーを盛大にとりおこなう分、ニューイヤーはあまり形式ばってませんよね?」
「そうですね。特に何をするわけでもないです。ま、カウントダウンくらいはしていますけど…それはどこでも同じでしょう。」
「ふふっ、そういうのは同じですね。でも年越しそばとかお雑煮とか除夜の鐘とか…それから初詣!この辺りは私の故郷独自っぽいです。あ、初日の出とかはこちらでも大事にされてそう!」
「そうやって聞くと、なかなか興味深い食べ物が多いのですね、貴女の元いた世界は。」
さすがの支配人は、やはりそっちのほうが気になるご様子。ニューイヤー特別メニューなんて儲かりますかね…と、お仕事の手を止めて考え始めてしまった。
アズール先輩の力になれていることが嬉しくてメモ帳に色々と書き連ねる。
「食べ物の話をすると、他にお節料理っていうのがあって。」
「オセチリョウリ?」
「そうです。話せば長いのですが、もともと五節句っていう縁起のいい日にはそれにちなんだ料理を振る舞うのが祖国の文化なんですよね。そのなかでも重要だったニューイヤー…お正月の料理は特別に御節供 って呼ばれて広まったんですよ。重箱っていう、こんな、黒い真四角のお弁当箱に縁起物や願いを込めた食べ物をつめて食べるんです。」
「ほぅ?験担ぎですか。」
「はい!例えば…えびは、姿が丸く曲がっているから、腰が曲がるまで長生きできるように…それから赤いから魔除けとか。昆布なんかはよろこんぶ、なんて、喜ぶにかけたり、栗きんとんは、金銀儲かるとか!」
「なるほど。」
「あっでもやっぱり昔から受け継がれているだけあって、子孫とか子宝とか願うものが多いかもしれません!験担ぎでメニュー出すのはありかもですね!あと大人は特別感出して盃でお酒を飲んだり、」
「…貴女は」
「へ?」
いつのまにか文字でいっぱいになったメモ帳の端の方に、なんの役に立つのかわからない落書きをしていた私は、先輩がメモではなく私を見つめていることに気がつかなかった。
呼びかけられてそちらを向けば、真剣な瞳に捕われる。
「子宝に恵まれたいですか。」
「え?」
「僕は事業を成功させるために努力を惜しみませんし、成功を信じて疑いませんから、跡取りはほしいです。」
「…あと、とり、と、いうと…おとこのこ、ですか?」
「女性でも男性でも。」
そう言って、私の手に手を重ねた先輩の頬は朱色に染まっていて。それを見て、何を伝えられているのか悟った私も、つられて顔から火を吹き出した。
「えっ、と、わ、私、」
「…」
「わたし、は、アズール先輩、の、子なら、」
「はい。」
「先輩との、未来があるなら、女の子でも、男の子でも、」
絞り出した声は何とも小さなものだったけれど、結局のところ先輩の咥内に呑み込まれてしまったのだから構わなかったかもしれない。
一年の終わりがみえてくると、つい、今年を振り返りたくなるけれど、先輩とならいつでも先の未来に想いを馳せられる。
これからも、アズール先輩と色んな初めてを経験して、たまに喧嘩しても仲直りして、それで、朝のおはようから夜のおやすみまでを積み重ねて、たくさんのイベントを共に。
この年が暮れても明けても。
ずっと一緒にいましょうね。
大好き。
「そうです。それで、新しい年が明けたことを祝うんですよ。」
閉店後のモストロ・ラウンジで、アズール先輩のお仕事が終わるのを待ちながら暫しの歓談。この地のホリデーのことを色々とお伺いした代わりに、私の国の文化を話して聞かせる。
「多分こちらでは、ホリデーを盛大にとりおこなう分、ニューイヤーはあまり形式ばってませんよね?」
「そうですね。特に何をするわけでもないです。ま、カウントダウンくらいはしていますけど…それはどこでも同じでしょう。」
「ふふっ、そういうのは同じですね。でも年越しそばとかお雑煮とか除夜の鐘とか…それから初詣!この辺りは私の故郷独自っぽいです。あ、初日の出とかはこちらでも大事にされてそう!」
「そうやって聞くと、なかなか興味深い食べ物が多いのですね、貴女の元いた世界は。」
さすがの支配人は、やはりそっちのほうが気になるご様子。ニューイヤー特別メニューなんて儲かりますかね…と、お仕事の手を止めて考え始めてしまった。
アズール先輩の力になれていることが嬉しくてメモ帳に色々と書き連ねる。
「食べ物の話をすると、他にお節料理っていうのがあって。」
「オセチリョウリ?」
「そうです。話せば長いのですが、もともと五節句っていう縁起のいい日にはそれにちなんだ料理を振る舞うのが祖国の文化なんですよね。そのなかでも重要だったニューイヤー…お正月の料理は特別に
「ほぅ?験担ぎですか。」
「はい!例えば…えびは、姿が丸く曲がっているから、腰が曲がるまで長生きできるように…それから赤いから魔除けとか。昆布なんかはよろこんぶ、なんて、喜ぶにかけたり、栗きんとんは、金銀儲かるとか!」
「なるほど。」
「あっでもやっぱり昔から受け継がれているだけあって、子孫とか子宝とか願うものが多いかもしれません!験担ぎでメニュー出すのはありかもですね!あと大人は特別感出して盃でお酒を飲んだり、」
「…貴女は」
「へ?」
いつのまにか文字でいっぱいになったメモ帳の端の方に、なんの役に立つのかわからない落書きをしていた私は、先輩がメモではなく私を見つめていることに気がつかなかった。
呼びかけられてそちらを向けば、真剣な瞳に捕われる。
「子宝に恵まれたいですか。」
「え?」
「僕は事業を成功させるために努力を惜しみませんし、成功を信じて疑いませんから、跡取りはほしいです。」
「…あと、とり、と、いうと…おとこのこ、ですか?」
「女性でも男性でも。」
そう言って、私の手に手を重ねた先輩の頬は朱色に染まっていて。それを見て、何を伝えられているのか悟った私も、つられて顔から火を吹き出した。
「えっ、と、わ、私、」
「…」
「わたし、は、アズール先輩、の、子なら、」
「はい。」
「先輩との、未来があるなら、女の子でも、男の子でも、」
絞り出した声は何とも小さなものだったけれど、結局のところ先輩の咥内に呑み込まれてしまったのだから構わなかったかもしれない。
一年の終わりがみえてくると、つい、今年を振り返りたくなるけれど、先輩とならいつでも先の未来に想いを馳せられる。
これからも、アズール先輩と色んな初めてを経験して、たまに喧嘩しても仲直りして、それで、朝のおはようから夜のおやすみまでを積み重ねて、たくさんのイベントを共に。
この年が暮れても明けても。
ずっと一緒にいましょうね。
大好き。