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年中暖かな植物園。私はこの場所が大好きだ。
季節に関係なく芽吹く花々がとても美しい。面白い植物もたくさんある。
世界がギュッと凝縮されたようなこの場所はオンボロ寮からも比較的近い場所にあるので、暇ができるとここを散歩するようになった。
時にサバナクローの人たち、時にオクタヴィネルの人たちに居合わせるのは若干気まずくもあるのだけれど、それはそれとして、植物を見る以外にもう一つ楽しみがある。
(あ、いた。)
視線の先に、ごく薄いグレーの髪がサラリと揺れる。NRCきっての眠り姫…じゃなかった、眠り王子、シルバー先輩が、色とりどりの紫陽花が咲き乱れる区域のベンチでスヤスヤと眠っていた。
(ふふ…っ、また寝てる…)
降り注ぐ光から力を充電するかのごとく。彼の周りはいつでもキラキラとしている。
私はそっとシルバー先輩に近づいて、ベンチの前にしゃがみ込んだ。
(本当に美しい人…)
この学園にはありとあらゆるタイプの、いわゆるイケメンがそろっているわけだけれど、その中でも『美しい』と表現できるイケメンはシルバー先輩を含めて数人しかいないので、なんだかイケナイことをしている気分になる。
そんなことを考えながら、その穏やかな顔を見つめていると、フワリ、どこからともなく蝶が飛んできて先輩の髪に留まった。
(あ…)
思わずそれに手を伸ばした刹那。
先輩の瞼がゆっくりと持ち上がって、その奥から宝石みたいに輝くオーロラが現れる。
「…おまえは…」
「あっ…起こしてしまってすみません…!」
「…いや、気にしなくていい…というか俺はまた眠っていたのか…」
「みたいですね。シルバー先輩よくここで寝てますよね。植物園、暖かくて気持ちがいいですもん、仕方ないですよ。」
「俺はどこでも眠ってしまって…」
「そうなんですか?そういう病気ですかね…?」
「病ではないようなんだが…よくわからないんだ。」
眠気眼のシルバー先輩は、どこか危うくて放っておけない。今すぐにでもまた眠ってしまいそう。
「先輩、いくら暖かいといっても、こんなところでうたた寝していたら風邪を引きますよ?」
「そう、だな…。」
「ってまた眠くなってません?!あの、何か対策みたいなものはないんですか?私でできることならお手伝いしますが!」
「対策はない…治らないんだ…。」
「不治の病…?!で、でも、ほら、いつもディアソムニア寮の方々といるときは起きていらっしゃいますよね?人がいたら眠らないとかそういう…一時的な対策とかもないんですか?」
「…言われてみれば…。マレウス様や親父殿がいるときはあまり寝ていないな…。よく喋りかけられるからか…?」
「それだ!!じゃあ、私が隣にいます!いつでもお話相手になりますから!ね?」
そのくらいなら私にだってできると意気込んで前のめりになると、一瞬キョトンとしたあと、ほわりと微笑んだ先輩。その顔に見惚れるまで数秒もかからなかった。
ドキドキと大きく跳ねる心臓の音が、先輩に聞こえていないといいのだけれど。
「それは名案だな…本当は今も、課題と向き合わないといけなかったんだ。今から頼めるか?」
「はっ、はい!もちろんです!」
『紫陽花で解熱剤を作る課題があるんだが、少しコツがいるんだ…』と、訥々と説明をしながら花を摘むシルバー先輩の斜め後ろから、その様を眺める。
キラキラ。キラキラ。
光を反射する髪が眩しいだけなんだろうか。
本当は。
恋の煌めきが乱反射しているんじゃないか。なんて。乙女チックすぎるかな。
季節に関係なく芽吹く花々がとても美しい。面白い植物もたくさんある。
世界がギュッと凝縮されたようなこの場所はオンボロ寮からも比較的近い場所にあるので、暇ができるとここを散歩するようになった。
時にサバナクローの人たち、時にオクタヴィネルの人たちに居合わせるのは若干気まずくもあるのだけれど、それはそれとして、植物を見る以外にもう一つ楽しみがある。
(あ、いた。)
視線の先に、ごく薄いグレーの髪がサラリと揺れる。NRCきっての眠り姫…じゃなかった、眠り王子、シルバー先輩が、色とりどりの紫陽花が咲き乱れる区域のベンチでスヤスヤと眠っていた。
(ふふ…っ、また寝てる…)
降り注ぐ光から力を充電するかのごとく。彼の周りはいつでもキラキラとしている。
私はそっとシルバー先輩に近づいて、ベンチの前にしゃがみ込んだ。
(本当に美しい人…)
この学園にはありとあらゆるタイプの、いわゆるイケメンがそろっているわけだけれど、その中でも『美しい』と表現できるイケメンはシルバー先輩を含めて数人しかいないので、なんだかイケナイことをしている気分になる。
そんなことを考えながら、その穏やかな顔を見つめていると、フワリ、どこからともなく蝶が飛んできて先輩の髪に留まった。
(あ…)
思わずそれに手を伸ばした刹那。
先輩の瞼がゆっくりと持ち上がって、その奥から宝石みたいに輝くオーロラが現れる。
「…おまえは…」
「あっ…起こしてしまってすみません…!」
「…いや、気にしなくていい…というか俺はまた眠っていたのか…」
「みたいですね。シルバー先輩よくここで寝てますよね。植物園、暖かくて気持ちがいいですもん、仕方ないですよ。」
「俺はどこでも眠ってしまって…」
「そうなんですか?そういう病気ですかね…?」
「病ではないようなんだが…よくわからないんだ。」
眠気眼のシルバー先輩は、どこか危うくて放っておけない。今すぐにでもまた眠ってしまいそう。
「先輩、いくら暖かいといっても、こんなところでうたた寝していたら風邪を引きますよ?」
「そう、だな…。」
「ってまた眠くなってません?!あの、何か対策みたいなものはないんですか?私でできることならお手伝いしますが!」
「対策はない…治らないんだ…。」
「不治の病…?!で、でも、ほら、いつもディアソムニア寮の方々といるときは起きていらっしゃいますよね?人がいたら眠らないとかそういう…一時的な対策とかもないんですか?」
「…言われてみれば…。マレウス様や親父殿がいるときはあまり寝ていないな…。よく喋りかけられるからか…?」
「それだ!!じゃあ、私が隣にいます!いつでもお話相手になりますから!ね?」
そのくらいなら私にだってできると意気込んで前のめりになると、一瞬キョトンとしたあと、ほわりと微笑んだ先輩。その顔に見惚れるまで数秒もかからなかった。
ドキドキと大きく跳ねる心臓の音が、先輩に聞こえていないといいのだけれど。
「それは名案だな…本当は今も、課題と向き合わないといけなかったんだ。今から頼めるか?」
「はっ、はい!もちろんです!」
『紫陽花で解熱剤を作る課題があるんだが、少しコツがいるんだ…』と、訥々と説明をしながら花を摘むシルバー先輩の斜め後ろから、その様を眺める。
キラキラ。キラキラ。
光を反射する髪が眩しいだけなんだろうか。
本当は。
恋の煌めきが乱反射しているんじゃないか。なんて。乙女チックすぎるかな。