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秋も深まるこの季節。
もう遅いかな、なんて思いながらも、私はジェイド先輩に紅葉狩りを提案した。
いつもはキノコ探しに必死なジェイド先輩も『山を愛する会としては、是非ともやってみたいところです』と快く了承してくれたので、本日、二人で山に入る。
もう散ってしまっているものもあれど、一面の緑が真っ赤に変わっている山の様子は、まさに絶景だ。
「紅葉狩り 、と言うから、一体何をするのかと思えば。この景色を眺めて楽しむことそのものを指すのですね。」
「はい!こちらではあまりこのような言い方はしないんでしょうか…?」
「紅葉 する木もありますしカエデも存在しますが、『狩る』という言い方は初めて聞きました。」
「言われてみれば確かに。もともといたところの言葉ではありますけど、勘違いしている人も多かったかもしれません。」
クスクス笑いながら、落ち葉を踏む。
カサリカサリと音が耳に届くと、もうすぐ一年も終わってしまうんだと、少しだけ、しんみり。
「どうして感傷的な気分になるんでしょうね、秋も、冬も。」
「そうですね…。やはり、音が。」
「音?」
「水中ではあまり感じることがないのですが、陸では、音が減るイメージがありますね。」
「確かにそれはそうですね…。なんでだろう。寮に戻ったら調べてみなくちゃ。」
「ふふ、好奇心旺盛で良いことです。」
楽しそうに笑うジェイド先輩の、シーグリーンの向こう側に、真っ赤な葉っぱと、それから真っ青な空が見えた。
ジェイド先輩と過ごす日々は全部宝物みたいにキラキラしていて、大切にしまっておきたい。
なのにどうして思い出は、頭からポロポロとこぼれ落ちていってしまうんだろう。
この一瞬だって、何もかも鮮明に残しておけたらいいのに。
ああ、やっぱりしんみりしてしまう。
「僕は貴女に出会ってからいろいろなことを学びました。草花のこと、神話、秋の空が深く澄み渡っていること、それから、夏の雲はソフトクリームみたいだと言っていたことも。」
「!?そっ、それは、忘れてくれても、いいんですよ!」
「いいえ、忘れません。貴女との思い出は全てが尊い。」
いつか消えてしまうかもしれない記憶を、『忘れない』と言い切ってくれるジェイド先輩が愛おしい。
溢れ出そうな思いを胸に秘めて、ぎゅっと先輩の腰に抱きついた。
「おやおや、どうしました?」
「っ、なんでも、ない、です。」
「そうですか?ですが僕も、貴女を抱き締めたいと思っていましたので、ちょうどよかった。」
「!」
『そろそろ帰る時間ですよ』なんて、口に出すことはできなかった。
落ち葉が舞い散る音を聞きながら、まだこのひと時に閉じ込められていたい。
もう遅いかな、なんて思いながらも、私はジェイド先輩に紅葉狩りを提案した。
いつもはキノコ探しに必死なジェイド先輩も『山を愛する会としては、是非ともやってみたいところです』と快く了承してくれたので、本日、二人で山に入る。
もう散ってしまっているものもあれど、一面の緑が真っ赤に変わっている山の様子は、まさに絶景だ。
「
「はい!こちらではあまりこのような言い方はしないんでしょうか…?」
「
「言われてみれば確かに。もともといたところの言葉ではありますけど、勘違いしている人も多かったかもしれません。」
クスクス笑いながら、落ち葉を踏む。
カサリカサリと音が耳に届くと、もうすぐ一年も終わってしまうんだと、少しだけ、しんみり。
「どうして感傷的な気分になるんでしょうね、秋も、冬も。」
「そうですね…。やはり、音が。」
「音?」
「水中ではあまり感じることがないのですが、陸では、音が減るイメージがありますね。」
「確かにそれはそうですね…。なんでだろう。寮に戻ったら調べてみなくちゃ。」
「ふふ、好奇心旺盛で良いことです。」
楽しそうに笑うジェイド先輩の、シーグリーンの向こう側に、真っ赤な葉っぱと、それから真っ青な空が見えた。
ジェイド先輩と過ごす日々は全部宝物みたいにキラキラしていて、大切にしまっておきたい。
なのにどうして思い出は、頭からポロポロとこぼれ落ちていってしまうんだろう。
この一瞬だって、何もかも鮮明に残しておけたらいいのに。
ああ、やっぱりしんみりしてしまう。
「僕は貴女に出会ってからいろいろなことを学びました。草花のこと、神話、秋の空が深く澄み渡っていること、それから、夏の雲はソフトクリームみたいだと言っていたことも。」
「!?そっ、それは、忘れてくれても、いいんですよ!」
「いいえ、忘れません。貴女との思い出は全てが尊い。」
いつか消えてしまうかもしれない記憶を、『忘れない』と言い切ってくれるジェイド先輩が愛おしい。
溢れ出そうな思いを胸に秘めて、ぎゅっと先輩の腰に抱きついた。
「おやおや、どうしました?」
「っ、なんでも、ない、です。」
「そうですか?ですが僕も、貴女を抱き締めたいと思っていましたので、ちょうどよかった。」
「!」
『そろそろ帰る時間ですよ』なんて、口に出すことはできなかった。
落ち葉が舞い散る音を聞きながら、まだこのひと時に閉じ込められていたい。