【完結】監督生が二人いる?!
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「あっ!オレ閃いた」
「なんですフロイド」
「小々エビちゃん」
「「え?」」
「だぁ〜から、こっちの小エビちゃんは小エビちゃんでしょ〜?もう一人の小エビちゃんは、小エビちゃんよりちっちゃいから、小々エビちゃん」
「あぁ!なるほど!そしたら私が小エビちゃんで…」
「私は小々エビちゃんですかぁ!可愛い!」
決まった決まった、とハイタッチをしあう三人を眺めて、アズールとジェイドは苦笑した。
そうして和やかな食事が一区切りした頃、暖かい紅茶を飲みつつ、やっとの事で本題に入った。
なお、グリムにもすでに事の顛末は説明済みであるのだが、なんとユウの横よりもゆうの膝の上で眠り始める始末だ。
ちょっと切ない、とユウは思った。
「な〜に。オレがいないところでそんな楽しいことしちゃってたわけ〜?」
「楽しくなんかないですよ!割と本気で心配も困りもしたんですよ!」
「小エビちゃんおちついてぇ」
「ジェイドはゆうさんにべったりで山だキノコだとうるさいですし、ゆうさんは僕のことフルネームで呼びますし…はぁ」
「あ?それ別に困ることじゃなくね?前者はいつものことだしぃ、後者はどーでもいい」
「フロイドは僕にケンカを売っているんですか?」
五人も揃えば、話もすぐに本題から逸れていくというもので、ワァワァと会話に花が咲く。
気づけば、もう夜の九時を回っている。ユウは壁の時計を見て、それからアッと声をあげた。
「ちょ、ちょっといいですか!?あの、みんな…オンボロ寮に泊まるんですか?」
「はい」
「もちろんです」
「え?泊まるけど」
「私はここ以外、行くところないしなぁ」
「…です、よねぇ…」
がっくりと項垂れて、困った〜と頭を抱えたユウは、一言言った。
「部屋が、足りません」
「あ、そっか。三部屋しかないんだっけ」
「今日こそ、私とゆうちゃんは私の部屋で寝るとして…アズール先輩が一つ、ジェイド先輩とフロイド先輩が一緒…でいいんですか?」
「なにが楽しくてオレがジェイドと寝ないといけねぇの!こんな長身が一緒に眠れるわけないでしょ小エビちゃん!考えて?!」
「僕も願い下げですね。寝るならゆうさんとがいいです」
「はい?!どさくさに紛れて何言ってんですかジェイド先輩は!!」
「何って、ユウさんだって昨日はアズールと寝たでしょう。人のことを咎めることができますか」
「っ…!あれは不可抗力じゃないですかっ!」
「待って!でもほら、今日戻れるかもしれないし、私」
「「「「え?」」」」
思いもよらなかった言葉に、皆の目が一斉にゆうに向く。
ふわふわとしているように見えたゆうであったが、さすがはあちらでジェイドと付き合っているだけあって、実は観察力と洞察力は人一倍であったことが、ここにきて知らされる。
「私、ここにきてからずっと考えていたんだけど、昨日こっちにきた時刻、夜中の0時きっかりなの」
「え?そうだったの?」
「うん、間違いないよ。オンボロ寮の時計、0時に鳴らない?」
「ううん、私のとこのは鳴らないよ」
「あれぇ?ほんと??じゃあパラレルワールドって言っても、異なるところはやっぱりあるのかな」
「そうかもね…なんだかんだ、私とゆうちゃんっていう存在が、すでに違っているわけだから…」
「それもそうか!あ、えっと、それで、だから何が言いたいかというと」
「0時というのが、キーになっているかもしれない、ということですね?」
「そうですジェイド先輩!」
顎に手を当てながら、ジェイドが「それは一理ありますね」とつぶやくように言った。
「僕はゆうさんが帰ってしまわれたら寂しいですが…」
「そう言ってもらえて嬉しいですが、正直、あっちのジェイド先輩も心配ですし…」
「そうですか…仕方ありませんね」
「はい。でも、もしかしたらまた来れるかもしれないし、そもそも私の読みが間違ってるかもしれないので!そんなに気を落とさないでください」
「ゆうさんは優しいですね。ありがとうございます。期待しておきますね」
そうと決まれば、キーとなる「0時」までに色々と準備を整えなくてはと、一同気合十分。
飲み食いしたものの片付けやお風呂など、できることをしながらその時を待った。
その時の女子組の会話を少しだけ覗いてみれば、
「ねぇねぇユウちゃん」
「なぁに」
「アズール・アーシェングロットとお風呂はいったことある?」
「な、えっ?!い、いや、それは」
「いいじゃん教えてよ〜。こっちのアズール先輩にお土産話として持って帰るだけだから」
「ぇ…そな、…ッ、じゃ、じゃあ先に、ゆうちゃんの方はどうなの!?」
「え?私?私はいつもジェイド先輩に髪の毛洗ってもらってるよ」
「?!」
「ジェイド先輩ね、なんでもしてくれるんだ。普段からやり慣れてるんだって。お世話焼くのが好きだって言うからいつの間にかいつもやってもらうようになっちゃった」
と言うことであった。
パラレルワールド、あな恐ろしや。基本性質はほとんど変わらないといえど、やはり関わる人間が違えば、異なるところもあるようだ。
さて。時は過ぎてそろそろ0時になろうという頃。
皆は固唾を飲んで監督生の個人部屋の鏡を見守っていた。
「小々エビちゃん、こんなちっさい鏡どうやって抜けてきたの〜」
「それはですね、こう、ズルって、ズルって入ってきました」
「あは、その表現おもしれぇ!」
「フロイド先輩、知ってますか?怪談っていうものがありまして…怖い話といえば聞こえは良いんですが、心底ゾッとするやつなんですけど…」
「いやぁ!!怪談はだめ!ダメだよゆうちゃん!!」
固唾をのむ、と言いながら、結構うるさかった。
がしかし、それもアズールの一声で静まり返る。
「みなさんお静かに。そろそろ0時になりますよ」
「あっ、すみません…」
「良いじゃんちょっとくらい!アズール・アーシェングロットはうるさいなぁ」
「ゆうさん、貴女僕になんの恨みがあるんですか」
「何もないですよ〜、だ…あっ!?」
その声に反応してパッと鏡に集中する視線にも臆することなく、鏡の表面が、ゆら、と波打った。
「これ…昨日と同じ…ゆうちゃん!」
「私すごい!」
「すげぇ、ビンゴじゃん小々エビちゃん〜」
「残念ですが、お元気で」
「はい!ジェイド先輩も、お元気で!」
「貴女みたいにうるさい人でも、いなくなると寂しくなりますね」
「アズール・アーシェングロット、ユウちゃんと末長く仲良くね」
「言われなくてもそうしますよ」
軽く挨拶を済ませて、鏡に手を伸ばせば、ぽちゃんとゆうの小さな指がそこに吸い込まれた。
いけると確信したゆうは、もう一度振り返って、ユウにニコリと微笑んだ。
「お世話になりました!」
「とんでもないよ。それじゃあ、またね、ゆうちゃん。どこかで会えたら嬉しいな、って言ったら、おこがましいかな」
「ううん、私も、そう思ってる。ユウちゃん、一日だけだったけど、楽しかったよ!同じ境遇の子がいるって、勇気が湧いたよ。ありがとう!」
「うん、出会えてよかった。きてくれてありがとう」
ゆうの身体がスルリと吸い込まれていく。
それは全てを通しても一分と経たなかった。
トプンと音がしたと思えば、その鏡は元のガラスに戻ってしまう。
「っは…」
「ユウ、大丈夫ですか」
「あ、すみません…なんだか嘘みたい、息止まってました…はは」
「あーあ、小々エビちゃん、面白かったのにな〜またきてくれると良いね、ジェイド」
「本当に…あっけなかったですね…。ユウさんとチェンジできれば良かったのに」
「ジェイド先輩、なんだか前よりずっと私に対して塩対応になりましたよね…」
「そうですか?気のせいですよ。」
たった一日の魔法は、こうして幕を閉じたのだった。
「なんですフロイド」
「小々エビちゃん」
「「え?」」
「だぁ〜から、こっちの小エビちゃんは小エビちゃんでしょ〜?もう一人の小エビちゃんは、小エビちゃんよりちっちゃいから、小々エビちゃん」
「あぁ!なるほど!そしたら私が小エビちゃんで…」
「私は小々エビちゃんですかぁ!可愛い!」
決まった決まった、とハイタッチをしあう三人を眺めて、アズールとジェイドは苦笑した。
そうして和やかな食事が一区切りした頃、暖かい紅茶を飲みつつ、やっとの事で本題に入った。
なお、グリムにもすでに事の顛末は説明済みであるのだが、なんとユウの横よりもゆうの膝の上で眠り始める始末だ。
ちょっと切ない、とユウは思った。
「な〜に。オレがいないところでそんな楽しいことしちゃってたわけ〜?」
「楽しくなんかないですよ!割と本気で心配も困りもしたんですよ!」
「小エビちゃんおちついてぇ」
「ジェイドはゆうさんにべったりで山だキノコだとうるさいですし、ゆうさんは僕のことフルネームで呼びますし…はぁ」
「あ?それ別に困ることじゃなくね?前者はいつものことだしぃ、後者はどーでもいい」
「フロイドは僕にケンカを売っているんですか?」
五人も揃えば、話もすぐに本題から逸れていくというもので、ワァワァと会話に花が咲く。
気づけば、もう夜の九時を回っている。ユウは壁の時計を見て、それからアッと声をあげた。
「ちょ、ちょっといいですか!?あの、みんな…オンボロ寮に泊まるんですか?」
「はい」
「もちろんです」
「え?泊まるけど」
「私はここ以外、行くところないしなぁ」
「…です、よねぇ…」
がっくりと項垂れて、困った〜と頭を抱えたユウは、一言言った。
「部屋が、足りません」
「あ、そっか。三部屋しかないんだっけ」
「今日こそ、私とゆうちゃんは私の部屋で寝るとして…アズール先輩が一つ、ジェイド先輩とフロイド先輩が一緒…でいいんですか?」
「なにが楽しくてオレがジェイドと寝ないといけねぇの!こんな長身が一緒に眠れるわけないでしょ小エビちゃん!考えて?!」
「僕も願い下げですね。寝るならゆうさんとがいいです」
「はい?!どさくさに紛れて何言ってんですかジェイド先輩は!!」
「何って、ユウさんだって昨日はアズールと寝たでしょう。人のことを咎めることができますか」
「っ…!あれは不可抗力じゃないですかっ!」
「待って!でもほら、今日戻れるかもしれないし、私」
「「「「え?」」」」
思いもよらなかった言葉に、皆の目が一斉にゆうに向く。
ふわふわとしているように見えたゆうであったが、さすがはあちらでジェイドと付き合っているだけあって、実は観察力と洞察力は人一倍であったことが、ここにきて知らされる。
「私、ここにきてからずっと考えていたんだけど、昨日こっちにきた時刻、夜中の0時きっかりなの」
「え?そうだったの?」
「うん、間違いないよ。オンボロ寮の時計、0時に鳴らない?」
「ううん、私のとこのは鳴らないよ」
「あれぇ?ほんと??じゃあパラレルワールドって言っても、異なるところはやっぱりあるのかな」
「そうかもね…なんだかんだ、私とゆうちゃんっていう存在が、すでに違っているわけだから…」
「それもそうか!あ、えっと、それで、だから何が言いたいかというと」
「0時というのが、キーになっているかもしれない、ということですね?」
「そうですジェイド先輩!」
顎に手を当てながら、ジェイドが「それは一理ありますね」とつぶやくように言った。
「僕はゆうさんが帰ってしまわれたら寂しいですが…」
「そう言ってもらえて嬉しいですが、正直、あっちのジェイド先輩も心配ですし…」
「そうですか…仕方ありませんね」
「はい。でも、もしかしたらまた来れるかもしれないし、そもそも私の読みが間違ってるかもしれないので!そんなに気を落とさないでください」
「ゆうさんは優しいですね。ありがとうございます。期待しておきますね」
そうと決まれば、キーとなる「0時」までに色々と準備を整えなくてはと、一同気合十分。
飲み食いしたものの片付けやお風呂など、できることをしながらその時を待った。
その時の女子組の会話を少しだけ覗いてみれば、
「ねぇねぇユウちゃん」
「なぁに」
「アズール・アーシェングロットとお風呂はいったことある?」
「な、えっ?!い、いや、それは」
「いいじゃん教えてよ〜。こっちのアズール先輩にお土産話として持って帰るだけだから」
「ぇ…そな、…ッ、じゃ、じゃあ先に、ゆうちゃんの方はどうなの!?」
「え?私?私はいつもジェイド先輩に髪の毛洗ってもらってるよ」
「?!」
「ジェイド先輩ね、なんでもしてくれるんだ。普段からやり慣れてるんだって。お世話焼くのが好きだって言うからいつの間にかいつもやってもらうようになっちゃった」
と言うことであった。
パラレルワールド、あな恐ろしや。基本性質はほとんど変わらないといえど、やはり関わる人間が違えば、異なるところもあるようだ。
さて。時は過ぎてそろそろ0時になろうという頃。
皆は固唾を飲んで監督生の個人部屋の鏡を見守っていた。
「小々エビちゃん、こんなちっさい鏡どうやって抜けてきたの〜」
「それはですね、こう、ズルって、ズルって入ってきました」
「あは、その表現おもしれぇ!」
「フロイド先輩、知ってますか?怪談っていうものがありまして…怖い話といえば聞こえは良いんですが、心底ゾッとするやつなんですけど…」
「いやぁ!!怪談はだめ!ダメだよゆうちゃん!!」
固唾をのむ、と言いながら、結構うるさかった。
がしかし、それもアズールの一声で静まり返る。
「みなさんお静かに。そろそろ0時になりますよ」
「あっ、すみません…」
「良いじゃんちょっとくらい!アズール・アーシェングロットはうるさいなぁ」
「ゆうさん、貴女僕になんの恨みがあるんですか」
「何もないですよ〜、だ…あっ!?」
その声に反応してパッと鏡に集中する視線にも臆することなく、鏡の表面が、ゆら、と波打った。
「これ…昨日と同じ…ゆうちゃん!」
「私すごい!」
「すげぇ、ビンゴじゃん小々エビちゃん〜」
「残念ですが、お元気で」
「はい!ジェイド先輩も、お元気で!」
「貴女みたいにうるさい人でも、いなくなると寂しくなりますね」
「アズール・アーシェングロット、ユウちゃんと末長く仲良くね」
「言われなくてもそうしますよ」
軽く挨拶を済ませて、鏡に手を伸ばせば、ぽちゃんとゆうの小さな指がそこに吸い込まれた。
いけると確信したゆうは、もう一度振り返って、ユウにニコリと微笑んだ。
「お世話になりました!」
「とんでもないよ。それじゃあ、またね、ゆうちゃん。どこかで会えたら嬉しいな、って言ったら、おこがましいかな」
「ううん、私も、そう思ってる。ユウちゃん、一日だけだったけど、楽しかったよ!同じ境遇の子がいるって、勇気が湧いたよ。ありがとう!」
「うん、出会えてよかった。きてくれてありがとう」
ゆうの身体がスルリと吸い込まれていく。
それは全てを通しても一分と経たなかった。
トプンと音がしたと思えば、その鏡は元のガラスに戻ってしまう。
「っは…」
「ユウ、大丈夫ですか」
「あ、すみません…なんだか嘘みたい、息止まってました…はは」
「あーあ、小々エビちゃん、面白かったのにな〜またきてくれると良いね、ジェイド」
「本当に…あっけなかったですね…。ユウさんとチェンジできれば良かったのに」
「ジェイド先輩、なんだか前よりずっと私に対して塩対応になりましたよね…」
「そうですか?気のせいですよ。」
たった一日の魔法は、こうして幕を閉じたのだった。