【完結】監督生が二人いる?!
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着いた先のオクタヴィネル寮は、さすが深夜の深海。とても静かで心地が良い。
こんな状況じゃなければ、もっと楽しめたのにな、とユウは思う。
とりあえずと通されたカウンター席に腰をかけて、レモンウォーターをいただく二人。
冷たい水がカラカラの喉を潤した。
「アズール先輩、起きてるんですか?」
「そんな訳ないでしょう。起こすんですよ。貴女がね」
「え?私?」
「だって貴女、アズールの彼女でしょう。そのくらいできなくてどうするんですか」
「えーっ!ユウちゃん、アズール先輩と付き合ってるの!?すごーい!」
「すっ、すご?え?何もすごくなんてないよ…?」
すごいというなら、この、目の前にいるジェイドと付き合っているというゆうの方だろう。
どうやってこの食えない男と二人で過ごすのだろうと、ムズムズと好奇心が首をもたげる。
でもまだそんなに深い仲でもないのにと、ユウが悩み始めた、そんな時だった。
「誰です、こんな時間にラウンジにくるなんて」
「おや、珍しいですね、アズールがこんな時間に起きているなんて」
「なんだ、ジェイドか。お前も喉でも乾いたの か ン"!?!??!?!?」
「あ、アズール先輩、こんばんは…です」
「な、なんで、ユウがここに?!」
「これには深い事情がありまして…」
「少しお待ちください!!」
「え?!アズール先輩!?」
「私に気がつかずに行っちゃった…」
来たと思ったアズールが、踵を返してから数十分。
戻ってきたアズールは、なんと寮服をバッチリ着込んだ状態で、三者三様、驚いたり笑ったり呆れたりしたのは言うまでもない。なお、ユウのパジャマ姿のアズール先輩可愛かったな、と呟きは、本人には届かなかったようだ。
「で?この女性はどなたですか」
「アズール・アーシェングロット!!」
「僕、貴女に名乗った覚えはありませんし、フルネームを呼び捨てにされるような関係でもありませんが?」
初対面(?)にも関わらず少しばかり険悪なムードな二人を抑えつつ、もう一度簡単に先ほどと同じ話をする。
それを聞いたアズールは、顎に手をやりながら、ふむ、と難しい顔をした。
「嘘のような本当の話…というものですね、きっと」
「それ、ジェイド先輩が言ってた」
「?!…っまぁ、ツイステッドワンダーランドにしては、ありきたりだ。」
「それも聞いた」
「っ?!なんですか!貴女さっきから失礼ですよ!」
「貴女じゃないよ、ゆうだよ」
「ゆうさんは、ゆうさんの世界の僕の彼女なので酷い言い方はやめていただけますか」
「は!?ジェイドの彼女?!」
そこまで聞いて、初めて上から下までゆうをみたアズールは、もう一度、なるほど、と言った。ゆうは、ユウに借りたタイトなズボンを履いているものの、上に来ているのは着の身着のまま。つまりキノコ柄のスウェットだ。
「貴女もジェイドの犠牲者…」
「ううん。私がジェイド先輩を好きになった方が先だよ」
「…それは、また…物好きもいるものですね」
「アズール、今なんと?」
「いいえ、こちらの話です。それにしても、もうその鏡が通れないとは言え手がかりがそれしかないならば、そこを見張るしかないでしょう」
「なるほど…さすがアズール先輩ですね…!」
「賞賛していいですよ!」
キノコのこととなると、強気のジェイドは、アズールの一言に少し食ってかかったが、なんだかんだスルーを決められた。
この二人、長年一緒にいるだけのことはあるというものだ。
改めてユウの方を向いたアズールは、頭ひとつ小さなユウの髪を撫でながら言った。
「ユウは少し辛いかもしれませんが、この学園は男子校ですから、とりあえず一晩、ゆうさんと一緒にいた方がよいのでは」
「もちろんです、女の子を一人にしておくなんて!ね、ゆうちゃん、私と一緒にいよう!」
「……」
「ゆうちゃん?」
「アズール先輩って、そんな顔するんですね」
「はい?」
「デレデレじゃないですか!!ラブラブなんですね二人!!」
「「っ!?」」
あっ、ワッ、と声にならない声を発しながら、二人はあわあわと距離を取り、そんなことは、とかなんとか取り繕う。
その姿があまりにも似た者同士という雰囲気で、ジェイドとゆうは思わず目を合わせて笑い出してしまった。
そんなジェイドだったが、少しだけ、別世界の自分が羨ましいと思う。
いつも、寄り添うようにしてゆるりと時間を共にするアズールとユウ。
アズールが嬉しそうなのは気分がいいと感じる一方で、山に一人で登っている時間にチクリと心が痛むことがあったのは、見てみないふりをしていたから。
「きっと、ゆうさんの世界の僕は幸せですね」
「…」
「?なんですか?」
「ジェイド先輩。明日、一緒に山、登りませんか?」
「!」
「私の世界のジェイド先輩も、一緒に山に登ると、とっても嬉しそうだから。せっかくなら」
「ぜひ!お願いします!」
ふっと、息を吐くと同時に漏れた少しばかりの本音。
それを拾ってもらえた感動で前のめりになるジェイドがなんだか可愛くて「本質的にはどっちもジェイド先輩なんだな」なんて思ったゆうはくすぐったくて、「こちらこそ、よろしくお願いします。突然来たちっちゃいのに構っていただいてありがとうございます。」と握手を求めたのだった。
「あ、あ、それなら、あの、私も、山に」
「気を遣っていただきまして、ありがとうございます。」
「あ、えっと、」
「ですがあなたに遣っていただく気などありませんので、結構です。」
「く…!!ジェイド先輩、私には辛辣ですよね?!」
「今更そんなこと言われても、優しくしろという方が無理でしょう?」
「ま、まぁ、そうですけど…!!」
「それで、僕、ゆうさんとはもう少し深いお話をさせていただきたく…!」
「えー!嬉しいです〜!じゃあオンボロ寮に一緒に行きましょ〜」
「もちろんです、送っていきましょう」
呆然とその二人の背中を見送りながら、アズールとユウの目は点だ。
「何この状況!」
「ジェイドの何かが壊れた」
「えっ、あっ、二人とも待って!!オンボロ寮は一応私の…って聞いてない!!アズール先輩、あの、ありがとうございました、夜遅くに失礼しました。おやすみなさい…!」
「?!ちょ、待ってください、こうなったら僕もいきます!」
遅れてユウが走っていく。
その少し後ろを、アズールが追いかけた。
こうして突然奇妙な出来事に巻き込まれた夜はさらに深く更けていく。
次の日の朝、オクタヴィネルに一人残されたフロイドが驚くまで、あと6時間。
こんな状況じゃなければ、もっと楽しめたのにな、とユウは思う。
とりあえずと通されたカウンター席に腰をかけて、レモンウォーターをいただく二人。
冷たい水がカラカラの喉を潤した。
「アズール先輩、起きてるんですか?」
「そんな訳ないでしょう。起こすんですよ。貴女がね」
「え?私?」
「だって貴女、アズールの彼女でしょう。そのくらいできなくてどうするんですか」
「えーっ!ユウちゃん、アズール先輩と付き合ってるの!?すごーい!」
「すっ、すご?え?何もすごくなんてないよ…?」
すごいというなら、この、目の前にいるジェイドと付き合っているというゆうの方だろう。
どうやってこの食えない男と二人で過ごすのだろうと、ムズムズと好奇心が首をもたげる。
でもまだそんなに深い仲でもないのにと、ユウが悩み始めた、そんな時だった。
「誰です、こんな時間にラウンジにくるなんて」
「おや、珍しいですね、アズールがこんな時間に起きているなんて」
「なんだ、ジェイドか。お前も喉でも乾いたの か ン"!?!??!?!?」
「あ、アズール先輩、こんばんは…です」
「な、なんで、ユウがここに?!」
「これには深い事情がありまして…」
「少しお待ちください!!」
「え?!アズール先輩!?」
「私に気がつかずに行っちゃった…」
来たと思ったアズールが、踵を返してから数十分。
戻ってきたアズールは、なんと寮服をバッチリ着込んだ状態で、三者三様、驚いたり笑ったり呆れたりしたのは言うまでもない。なお、ユウのパジャマ姿のアズール先輩可愛かったな、と呟きは、本人には届かなかったようだ。
「で?この女性はどなたですか」
「アズール・アーシェングロット!!」
「僕、貴女に名乗った覚えはありませんし、フルネームを呼び捨てにされるような関係でもありませんが?」
初対面(?)にも関わらず少しばかり険悪なムードな二人を抑えつつ、もう一度簡単に先ほどと同じ話をする。
それを聞いたアズールは、顎に手をやりながら、ふむ、と難しい顔をした。
「嘘のような本当の話…というものですね、きっと」
「それ、ジェイド先輩が言ってた」
「?!…っまぁ、ツイステッドワンダーランドにしては、ありきたりだ。」
「それも聞いた」
「っ?!なんですか!貴女さっきから失礼ですよ!」
「貴女じゃないよ、ゆうだよ」
「ゆうさんは、ゆうさんの世界の僕の彼女なので酷い言い方はやめていただけますか」
「は!?ジェイドの彼女?!」
そこまで聞いて、初めて上から下までゆうをみたアズールは、もう一度、なるほど、と言った。ゆうは、ユウに借りたタイトなズボンを履いているものの、上に来ているのは着の身着のまま。つまりキノコ柄のスウェットだ。
「貴女もジェイドの犠牲者…」
「ううん。私がジェイド先輩を好きになった方が先だよ」
「…それは、また…物好きもいるものですね」
「アズール、今なんと?」
「いいえ、こちらの話です。それにしても、もうその鏡が通れないとは言え手がかりがそれしかないならば、そこを見張るしかないでしょう」
「なるほど…さすがアズール先輩ですね…!」
「賞賛していいですよ!」
キノコのこととなると、強気のジェイドは、アズールの一言に少し食ってかかったが、なんだかんだスルーを決められた。
この二人、長年一緒にいるだけのことはあるというものだ。
改めてユウの方を向いたアズールは、頭ひとつ小さなユウの髪を撫でながら言った。
「ユウは少し辛いかもしれませんが、この学園は男子校ですから、とりあえず一晩、ゆうさんと一緒にいた方がよいのでは」
「もちろんです、女の子を一人にしておくなんて!ね、ゆうちゃん、私と一緒にいよう!」
「……」
「ゆうちゃん?」
「アズール先輩って、そんな顔するんですね」
「はい?」
「デレデレじゃないですか!!ラブラブなんですね二人!!」
「「っ!?」」
あっ、ワッ、と声にならない声を発しながら、二人はあわあわと距離を取り、そんなことは、とかなんとか取り繕う。
その姿があまりにも似た者同士という雰囲気で、ジェイドとゆうは思わず目を合わせて笑い出してしまった。
そんなジェイドだったが、少しだけ、別世界の自分が羨ましいと思う。
いつも、寄り添うようにしてゆるりと時間を共にするアズールとユウ。
アズールが嬉しそうなのは気分がいいと感じる一方で、山に一人で登っている時間にチクリと心が痛むことがあったのは、見てみないふりをしていたから。
「きっと、ゆうさんの世界の僕は幸せですね」
「…」
「?なんですか?」
「ジェイド先輩。明日、一緒に山、登りませんか?」
「!」
「私の世界のジェイド先輩も、一緒に山に登ると、とっても嬉しそうだから。せっかくなら」
「ぜひ!お願いします!」
ふっと、息を吐くと同時に漏れた少しばかりの本音。
それを拾ってもらえた感動で前のめりになるジェイドがなんだか可愛くて「本質的にはどっちもジェイド先輩なんだな」なんて思ったゆうはくすぐったくて、「こちらこそ、よろしくお願いします。突然来たちっちゃいのに構っていただいてありがとうございます。」と握手を求めたのだった。
「あ、あ、それなら、あの、私も、山に」
「気を遣っていただきまして、ありがとうございます。」
「あ、えっと、」
「ですがあなたに遣っていただく気などありませんので、結構です。」
「く…!!ジェイド先輩、私には辛辣ですよね?!」
「今更そんなこと言われても、優しくしろという方が無理でしょう?」
「ま、まぁ、そうですけど…!!」
「それで、僕、ゆうさんとはもう少し深いお話をさせていただきたく…!」
「えー!嬉しいです〜!じゃあオンボロ寮に一緒に行きましょ〜」
「もちろんです、送っていきましょう」
呆然とその二人の背中を見送りながら、アズールとユウの目は点だ。
「何この状況!」
「ジェイドの何かが壊れた」
「えっ、あっ、二人とも待って!!オンボロ寮は一応私の…って聞いてない!!アズール先輩、あの、ありがとうございました、夜遅くに失礼しました。おやすみなさい…!」
「?!ちょ、待ってください、こうなったら僕もいきます!」
遅れてユウが走っていく。
その少し後ろを、アズールが追いかけた。
こうして突然奇妙な出来事に巻き込まれた夜はさらに深く更けていく。
次の日の朝、オクタヴィネルに一人残されたフロイドが驚くまで、あと6時間。