【完結】監督生が二人いる?!
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「ゆう 、さん、なぜ…」
「え…、ジェイド、先輩?」
木を通り過ぎて向こう側に来てしまったのだろうか。
しかしいくら大樹だったと言っても、あれだけ長い間穴を這っていたのだ。
単に「向こう側に出た」という理解もなんだか違う気がする。
それにこの反応。
ジェイド先輩にしては、少し違和感がある。
まるでいてはいけないものを見たような、そんなーー
「どうして、ゆう さんが?鏡は割れてしまったはずでは…?」
その言葉に頭の中でカチリと何かが音を立てた。
もしかしてここは。
「私の世界じゃ、ない、んでしょうか?」
「…ゆうさん、その前に、ズボンを履きましょうか?」
「え…っ!?」
言われた言葉にハッとしたゆうが自分の下半身を見れば、ブレザーの下からパンツ一丁が覗いている。反射的に手で覆って座り込んだが、ジェイドを前にしては特になんの効果もない。
さっき木の穴を無理やり抜けた時にズボンだけ脱げてしまったらしいが、その穴に戻ればジェイドにお尻を向けてしまうのはわかりきったことで。どうしようもないと途方に暮れそうになったのも束の間。ふわりと身体が包まれて、身体が抱き上げられた。
「僕の服であれば、太腿くらいは隠れるでしょう。しばらくそれを着ていてください」
「あ、」
「もうすぐ日が暮れます。このまま森にいるわけにも行きませんから、一先ず寮へ戻りましょう」
「っ、待って!」
「はい、どうされましたか?」
「あの、貴方は、『ジェイド先輩』なんですか…?」
「…もちろん。僕は『ジェイド・リーチ』ですよ」
含まれた意味がわからなかったわけではないだろう、その『ジェイド』は、にっこりと微笑んで、ああ、と声をあげた。
くるりと振り返ると、生い茂る木々の後ろから白い耳がフラフラと揺れているのが目に入る。
「そこのうさぎさんたち」
「…ぴょ…」
「あっ、そう!うさぎさん、ありがとう!引っ張ってくれなかったらあのまま木の中に詰まっちゃうところだったよ!」
「ぴょ〜!」
お礼を言われたことを理解したのか、うさぎたちは瞳を輝かせてコクコクと頷いた。
「ゆうさんを助けてもらったお礼がしたいのですが…あなたたちは何をご所望ですか?」
「??」
小首を傾げ、互いを見合ううさぎたちは、今度は言葉が理解できなかったようだ。
『ふむ、困りましたね』とジェイドが漏らした言葉に、あっ!、とゆうが反応する。
「そういえば、さっき、飴をあげたときにすごく喜んでいました」
「ほぅ?甘いものがお好きですか?」
「??」
「もしよろしければ、オクタヴィネル寮までいらっしゃいませんか?甘いものをたくさんご用意いたしましょう」
手招きをするジェイドに、うさぎたちは不安げに瞳を揺らしたが、一人が、ピョコっと前に出てきたのをきっかけに、残りの二匹も転がるようにして…といったら失礼か。あとを追ってジェイドとピヨルの方に寄ってきた。
「ふふっ!ついて来てくれるみたいですね!」
「ええ、そうですね。ではみなさん、オクタヴィネル寮に戻りましょうか」
「はいっ…、って、その前に、あの、ジェイド先輩、私、質問が、」
「ええ、戻ってから聞きましょう。今はお疲れでしょうから、僕の腕の中でお休みください。目覚めたらきっと懐かしい顔に出会えますよ」
思わせぶりな台詞に、事実を悟ったゆうは、自分の世界に残して来た皆を思うのであった。
そうして二人と三匹がオクタヴィネル寮に着いた頃、元の世界は大荒れだったなど、想像に難くない。
*
「なぁ!ジェイドのせいだろ!?こんな…小エビちゃんどこいっちゃったんだよ!」
「…っ…僕にだって、わかりませんよっ…。やっぱり僕の部屋に囲ってしまうべきだった…」
「怖いこと言ってる場合じゃねーだろ!」
「落ち着きなさいフロイド。グリムさんはゆうさんがどこに行ったか知らないのですか?」
「今日はオレ様、マジフトの練習の日だったんだゾ。だからゆうと学園で別れて…てっきりオマエらのところに行ったんだと思って…」
いつも一緒に過ごしているグリムが一番衝撃を受けているようで、グッと下を向いてしまい涙をこらえているようだ。
この状況では致し方ないだろうと、アズールは不憫に思う。ゆうはこの世界にいるべきではない人間だ。とすれば、誰もが元の世界に帰った、と思ってしまうのも無理はない。
しかしながら、アズールとしてはその考えはどうにも腑に落ちなかった。
幾らここがツイステッドワンダーランド…魔法のある世界だとしても、ゆうの元いた世界は魔法がないのが普通の世界。とすれば、何かしらのきっかけがあって、その『帰路』が開かれることがあるべき姿のような気がしていた。
なんとなくではあるが、突然、なんの前触れもなくいなくなることは予想しにくいと。
しかしながら、ゆうが跡形もなく消えたのもまた事実。
ジェイドならGPSのようなものをつけておきそうではあったが、あの態度を見ると、そんなことはなかったらしい。
これではラウンジの仕事にも支障が出そうだと、大きな溜め息を一つ吐いたアズールは、ステッキをカツンと鳴らした。
「仕方ありません…。魔法でなんとかしましょう」
「へ?ンなことできるの?」
「ッ?!それができるならば早く言ってくださいアズール!」
「ま、待てジェイド!摑みかかるな!」
「アズールがすぐに言わないから!」
「違う!理由があります。この魔法は、彼女の残り香を辿る類のものだ。だから彼女の私物や、大切にしていたものがないとどうにも」
「大切にしてたものならあるんだゾ!」
ここに!と出してこられたのは。
「「え…?」」
「おや、これは僕がプレゼントしたキノコ柄の下着じゃないですか」
「「え!?」」
「?何かおかしなことを言いましたか?僕」
「い、いえ…別に…」
「ジェイドさ…そんな…下着なんてオンナノコにプレゼント…?しかもキノコ…?」
「どうしてです?番に贈るプレゼントでつべこべ言われる筋合いはありませんが?」
「「いつの間に!?」」
「そんなことより、早くゆうさんを探してください」
あまりの衝撃に皆が目的を忘れそうになったが、そうなのだ。
今やるべきことはジェイドのプレゼントセンスを疑うことではなく、あくまでもゆうを探すこと。
流石に他人の彼女の下着に触れるのがためらわれたアズールは、ジェイドにそれを持たせて、自身は呪文を唱える。
それと同時に、ステッキの先に着いた魔法石からふわりと水の魚が飛び出したと思えば、その魚は下着をすっぽりとその内部に取り込んで数秒。すぐにそれから離れ、テラスから外へ出て行った。
「どうやら外に向かっているようです。追いかけますよ」
「ええ、行きましょう!」
「ラジャー!」
「オレ様は万が一に備えてここで待ってるんだゾ!頼んだんだゾ!」
こうしてゆう捜索隊は、森へ向かった。
なお、魚が解析を終えて落としていった下着は、ジェイドが大切にポケットにしまったところを、グリムが目撃している。
「え…、ジェイド、先輩?」
木を通り過ぎて向こう側に来てしまったのだろうか。
しかしいくら大樹だったと言っても、あれだけ長い間穴を這っていたのだ。
単に「向こう側に出た」という理解もなんだか違う気がする。
それにこの反応。
ジェイド先輩にしては、少し違和感がある。
まるでいてはいけないものを見たような、そんなーー
「どうして、ゆう さんが?鏡は割れてしまったはずでは…?」
その言葉に頭の中でカチリと何かが音を立てた。
もしかしてここは。
「私の世界じゃ、ない、んでしょうか?」
「…ゆうさん、その前に、ズボンを履きましょうか?」
「え…っ!?」
言われた言葉にハッとしたゆうが自分の下半身を見れば、ブレザーの下からパンツ一丁が覗いている。反射的に手で覆って座り込んだが、ジェイドを前にしては特になんの効果もない。
さっき木の穴を無理やり抜けた時にズボンだけ脱げてしまったらしいが、その穴に戻ればジェイドにお尻を向けてしまうのはわかりきったことで。どうしようもないと途方に暮れそうになったのも束の間。ふわりと身体が包まれて、身体が抱き上げられた。
「僕の服であれば、太腿くらいは隠れるでしょう。しばらくそれを着ていてください」
「あ、」
「もうすぐ日が暮れます。このまま森にいるわけにも行きませんから、一先ず寮へ戻りましょう」
「っ、待って!」
「はい、どうされましたか?」
「あの、貴方は、『ジェイド先輩』なんですか…?」
「…もちろん。僕は『ジェイド・リーチ』ですよ」
含まれた意味がわからなかったわけではないだろう、その『ジェイド』は、にっこりと微笑んで、ああ、と声をあげた。
くるりと振り返ると、生い茂る木々の後ろから白い耳がフラフラと揺れているのが目に入る。
「そこのうさぎさんたち」
「…ぴょ…」
「あっ、そう!うさぎさん、ありがとう!引っ張ってくれなかったらあのまま木の中に詰まっちゃうところだったよ!」
「ぴょ〜!」
お礼を言われたことを理解したのか、うさぎたちは瞳を輝かせてコクコクと頷いた。
「ゆうさんを助けてもらったお礼がしたいのですが…あなたたちは何をご所望ですか?」
「??」
小首を傾げ、互いを見合ううさぎたちは、今度は言葉が理解できなかったようだ。
『ふむ、困りましたね』とジェイドが漏らした言葉に、あっ!、とゆうが反応する。
「そういえば、さっき、飴をあげたときにすごく喜んでいました」
「ほぅ?甘いものがお好きですか?」
「??」
「もしよろしければ、オクタヴィネル寮までいらっしゃいませんか?甘いものをたくさんご用意いたしましょう」
手招きをするジェイドに、うさぎたちは不安げに瞳を揺らしたが、一人が、ピョコっと前に出てきたのをきっかけに、残りの二匹も転がるようにして…といったら失礼か。あとを追ってジェイドとピヨルの方に寄ってきた。
「ふふっ!ついて来てくれるみたいですね!」
「ええ、そうですね。ではみなさん、オクタヴィネル寮に戻りましょうか」
「はいっ…、って、その前に、あの、ジェイド先輩、私、質問が、」
「ええ、戻ってから聞きましょう。今はお疲れでしょうから、僕の腕の中でお休みください。目覚めたらきっと懐かしい顔に出会えますよ」
思わせぶりな台詞に、事実を悟ったゆうは、自分の世界に残して来た皆を思うのであった。
そうして二人と三匹がオクタヴィネル寮に着いた頃、元の世界は大荒れだったなど、想像に難くない。
*
「なぁ!ジェイドのせいだろ!?こんな…小エビちゃんどこいっちゃったんだよ!」
「…っ…僕にだって、わかりませんよっ…。やっぱり僕の部屋に囲ってしまうべきだった…」
「怖いこと言ってる場合じゃねーだろ!」
「落ち着きなさいフロイド。グリムさんはゆうさんがどこに行ったか知らないのですか?」
「今日はオレ様、マジフトの練習の日だったんだゾ。だからゆうと学園で別れて…てっきりオマエらのところに行ったんだと思って…」
いつも一緒に過ごしているグリムが一番衝撃を受けているようで、グッと下を向いてしまい涙をこらえているようだ。
この状況では致し方ないだろうと、アズールは不憫に思う。ゆうはこの世界にいるべきではない人間だ。とすれば、誰もが元の世界に帰った、と思ってしまうのも無理はない。
しかしながら、アズールとしてはその考えはどうにも腑に落ちなかった。
幾らここがツイステッドワンダーランド…魔法のある世界だとしても、ゆうの元いた世界は魔法がないのが普通の世界。とすれば、何かしらのきっかけがあって、その『帰路』が開かれることがあるべき姿のような気がしていた。
なんとなくではあるが、突然、なんの前触れもなくいなくなることは予想しにくいと。
しかしながら、ゆうが跡形もなく消えたのもまた事実。
ジェイドならGPSのようなものをつけておきそうではあったが、あの態度を見ると、そんなことはなかったらしい。
これではラウンジの仕事にも支障が出そうだと、大きな溜め息を一つ吐いたアズールは、ステッキをカツンと鳴らした。
「仕方ありません…。魔法でなんとかしましょう」
「へ?ンなことできるの?」
「ッ?!それができるならば早く言ってくださいアズール!」
「ま、待てジェイド!摑みかかるな!」
「アズールがすぐに言わないから!」
「違う!理由があります。この魔法は、彼女の残り香を辿る類のものだ。だから彼女の私物や、大切にしていたものがないとどうにも」
「大切にしてたものならあるんだゾ!」
ここに!と出してこられたのは。
「「え…?」」
「おや、これは僕がプレゼントしたキノコ柄の下着じゃないですか」
「「え!?」」
「?何かおかしなことを言いましたか?僕」
「い、いえ…別に…」
「ジェイドさ…そんな…下着なんてオンナノコにプレゼント…?しかもキノコ…?」
「どうしてです?番に贈るプレゼントでつべこべ言われる筋合いはありませんが?」
「「いつの間に!?」」
「そんなことより、早くゆうさんを探してください」
あまりの衝撃に皆が目的を忘れそうになったが、そうなのだ。
今やるべきことはジェイドのプレゼントセンスを疑うことではなく、あくまでもゆうを探すこと。
流石に他人の彼女の下着に触れるのがためらわれたアズールは、ジェイドにそれを持たせて、自身は呪文を唱える。
それと同時に、ステッキの先に着いた魔法石からふわりと水の魚が飛び出したと思えば、その魚は下着をすっぽりとその内部に取り込んで数秒。すぐにそれから離れ、テラスから外へ出て行った。
「どうやら外に向かっているようです。追いかけますよ」
「ええ、行きましょう!」
「ラジャー!」
「オレ様は万が一に備えてここで待ってるんだゾ!頼んだんだゾ!」
こうしてゆう捜索隊は、森へ向かった。
なお、魚が解析を終えて落としていった下着は、ジェイドが大切にポケットにしまったところを、グリムが目撃している。