【完結】監督生が二人いる?!
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それは突然のことだった。
グリムも寝てしまって、オンボロ寮で一人。
今日あったことを思い返しながら、ウトウトと目を瞑ろうとしていたその時。
自室の鏡が光りだした。
「また光ってる…?今度はなんの物語…?」
光に誘われるままにベッドから抜け出し、いつものように鏡の前に立つ。
「?」
ただ、今日のそれは、いつも夢と現実の狭間で見る物語のようなものとは違って。
ちゃぷんちゃぷんと鏡の表面が揺れている。
その様子が、漠然とした期待を産んだ。
「も、しかして、私、帰れるの…?」
この世界から抜け出せる?
でも待って、それじゃあこの世界の人たちに別れを告げなくちゃ。
だけどあぁ、この鏡が閉じてしまったら?
もう二度と抜け出すことは叶わないのかな…
時間にすれば数秒だろうけれど、永遠と思えるくらい深く考えてしまった私は、鏡を呆然と見つめて戸惑う。
と。
ニョキ!!
「ぎゃ!?」
勢いよく鏡の中から手が生えてきたのに驚いて、仰け反って尻餅をついてしまった。
いつか見たホラー映画のようにグロテスクに生えた手は、また一本増えて、二本で空中をかき回している。
「っあ、あ…ッ…!ぐ、ム、たす、ぁ」
声がうまく出ない。人は本当の恐怖に出会うと、どうしてこうも弱くなるのだ。
尻餅をついたその場から動くこともできず、ガタガタと身体を震わすのみである。
宙をかき回していた腕は、そうしているうちにも、机の縁を見つけたようで、ガッ、とそこを掴んだと思ったら、それに引っ張られる形でずるりと頭、肩、身体と鏡の中から這い出てくる。
逃げろ、叫べ、と頭の中で警鐘が鳴り響くが、全然その通りに身体が機能せず、その這い出てくるものをただただ見つめた。
「っはー!!!」
「…へ、」
「あれ?!なんでまた私の部屋?!てか、え!?あれ?!グリムー!グリム?!えー嘘ー!私しか通れないやつなの!?」
這い出てきた”それ”を穴があくほど凝視した。
目の前の、机の上にぺたりと座っているそれは、私と同じくらいの年齢の、一人の女の子だった。
その子は、自分が這い出てきた鏡をパシパシと叩いて、何かを探しているようだ。
そう言えば、先ほど「グリム」と叫んでいたのは、一体どういうことなのだろうか。
未だ声も上げられず、尻餅をついたままの私だったが、徐々に頭だけは恐怖から解放されてきた。
それは間違いなく人間のようで、うーん!、とか、どうしてー!とか、先ほどからずっと、頭を悩ますような声を上げている。
様子を見る限り、ゴーストだ妖怪だという類のものでもないようだと理解ができると、力が抜けて、知らず変な声が出てしまった。
「っぁぅ…」
「!?」
その声に、今度はその子が驚く番だった。
「?!あ、あなた、だれ?!」
「あっ、えと」
「ここは私の部屋だよ!いつここに入ってきたの!?」
「え?いえ…ここは私の…」
「いやぁーー!!!ジェイド先輩助けてーーー!!!」
「?!ジェ?!」
今、この子はなんと言ったか。
「ジェイド先輩」と、そう言わなかったか?
なんで鏡から出てきたこの子がその名前を知っているの?
「ちょ、ちょっと待ってください、あの、あなたは誰なんですか?」
「え?」
「あの、こ、この世界はツイステッドワンダーランドって言って、ここはオンボロ寮っていう私の家…うん?家っていうのかな…と、とにかく私、ここに住まわせてもらっていて…あ、えっと、ここはナイトレイブンカレッジっていう学園なんですけど…」
話下手なりになんとか状況を説明しようと言葉を連ねていると、大きな目がパチクリと瞬きを繰り返していることに気づく。
何か不味いことを言ってしまったかと、おずおずとその瞳を見返した。
「…あの、私、何か…」
「うそ…」
「え?」
「あの、私も、そこから来たの」
「??」
「もしかして、あなた、監督生なの?」
「…?えっと…それじゃ、あなたも…?」
こんなことってあるのだろうか。
まさか、自分の世界に戻る手段が見つかる前に、別次元の監督生との出会いを果たしてしまったなんて。
「えぇ…?!こんな、ことって…」
「私のオンボロ寮に帰して〜!!」
夜も更けたオンボロ寮で、二人の監督生は戸惑いの声を上げていた。
グリムも寝てしまって、オンボロ寮で一人。
今日あったことを思い返しながら、ウトウトと目を瞑ろうとしていたその時。
自室の鏡が光りだした。
「また光ってる…?今度はなんの物語…?」
光に誘われるままにベッドから抜け出し、いつものように鏡の前に立つ。
「?」
ただ、今日のそれは、いつも夢と現実の狭間で見る物語のようなものとは違って。
ちゃぷんちゃぷんと鏡の表面が揺れている。
その様子が、漠然とした期待を産んだ。
「も、しかして、私、帰れるの…?」
この世界から抜け出せる?
でも待って、それじゃあこの世界の人たちに別れを告げなくちゃ。
だけどあぁ、この鏡が閉じてしまったら?
もう二度と抜け出すことは叶わないのかな…
時間にすれば数秒だろうけれど、永遠と思えるくらい深く考えてしまった私は、鏡を呆然と見つめて戸惑う。
と。
ニョキ!!
「ぎゃ!?」
勢いよく鏡の中から手が生えてきたのに驚いて、仰け反って尻餅をついてしまった。
いつか見たホラー映画のようにグロテスクに生えた手は、また一本増えて、二本で空中をかき回している。
「っあ、あ…ッ…!ぐ、ム、たす、ぁ」
声がうまく出ない。人は本当の恐怖に出会うと、どうしてこうも弱くなるのだ。
尻餅をついたその場から動くこともできず、ガタガタと身体を震わすのみである。
宙をかき回していた腕は、そうしているうちにも、机の縁を見つけたようで、ガッ、とそこを掴んだと思ったら、それに引っ張られる形でずるりと頭、肩、身体と鏡の中から這い出てくる。
逃げろ、叫べ、と頭の中で警鐘が鳴り響くが、全然その通りに身体が機能せず、その這い出てくるものをただただ見つめた。
「っはー!!!」
「…へ、」
「あれ?!なんでまた私の部屋?!てか、え!?あれ?!グリムー!グリム?!えー嘘ー!私しか通れないやつなの!?」
這い出てきた”それ”を穴があくほど凝視した。
目の前の、机の上にぺたりと座っているそれは、私と同じくらいの年齢の、一人の女の子だった。
その子は、自分が這い出てきた鏡をパシパシと叩いて、何かを探しているようだ。
そう言えば、先ほど「グリム」と叫んでいたのは、一体どういうことなのだろうか。
未だ声も上げられず、尻餅をついたままの私だったが、徐々に頭だけは恐怖から解放されてきた。
それは間違いなく人間のようで、うーん!、とか、どうしてー!とか、先ほどからずっと、頭を悩ますような声を上げている。
様子を見る限り、ゴーストだ妖怪だという類のものでもないようだと理解ができると、力が抜けて、知らず変な声が出てしまった。
「っぁぅ…」
「!?」
その声に、今度はその子が驚く番だった。
「?!あ、あなた、だれ?!」
「あっ、えと」
「ここは私の部屋だよ!いつここに入ってきたの!?」
「え?いえ…ここは私の…」
「いやぁーー!!!ジェイド先輩助けてーーー!!!」
「?!ジェ?!」
今、この子はなんと言ったか。
「ジェイド先輩」と、そう言わなかったか?
なんで鏡から出てきたこの子がその名前を知っているの?
「ちょ、ちょっと待ってください、あの、あなたは誰なんですか?」
「え?」
「あの、こ、この世界はツイステッドワンダーランドって言って、ここはオンボロ寮っていう私の家…うん?家っていうのかな…と、とにかく私、ここに住まわせてもらっていて…あ、えっと、ここはナイトレイブンカレッジっていう学園なんですけど…」
話下手なりになんとか状況を説明しようと言葉を連ねていると、大きな目がパチクリと瞬きを繰り返していることに気づく。
何か不味いことを言ってしまったかと、おずおずとその瞳を見返した。
「…あの、私、何か…」
「うそ…」
「え?」
「あの、私も、そこから来たの」
「??」
「もしかして、あなた、監督生なの?」
「…?えっと…それじゃ、あなたも…?」
こんなことってあるのだろうか。
まさか、自分の世界に戻る手段が見つかる前に、別次元の監督生との出会いを果たしてしまったなんて。
「えぇ…?!こんな、ことって…」
「私のオンボロ寮に帰して〜!!」
夜も更けたオンボロ寮で、二人の監督生は戸惑いの声を上げていた。
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