【完結】監督生が二人いる?!
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「行かせない…といったら?」
「ダメです。行ってもらいます」
「帰ってこれなくなったら、どう責任を取るおつもりで」
「僕を信じなさいジェイド。二週間連続でもののやり取りはできているでしょう。今回も大丈夫です」
「ジェイド先輩〜。大丈夫ですよ、きっと。アズール先輩を信じてみましょう?」
「…ッ、アズールの、いうことは、聞きます…えぇ、聞きますとも、けれど、」
金曜日。深夜の24時を目前にして、オンボロ寮は荒れていた。もっとも、荒れているのはジェイドだけだったが。
先週とその前の週は、二度と行かせないと画策に画策を重ねたわけだが、ゆうの事業が繁盛してきたことをきっかけに向こうの世界ではどんなことをしてモストロ・ラウンジを展開していっているのか調査をしたいというのが、アズールの依頼だった。
アズールからの依頼を、ジェイドが断れるはずもなく。
しかしながら、ゆうを危ない目に合わせたいはずもなく。
葛藤の渦中でどうにか折衷案を出そうとしたが、それも虚しく終わってしまった。
「無事に帰ってきてくださいね」
「もちろん!ジェイド先輩を置いてどこにも行けません!あ!これ、」
「?」
「はい!ジェイド先輩にプレゼントです!」
手渡されたのは海の生き物がプリントされた布の包みだった。
目で、開けていいのですか、と尋ねられたゆうは、もちろん、と促す。
そっと包みを開けると、出てきたのは、三角形に整えられたお米だった。
「これは…?」
「おむすびですよ。ジェイド先輩は燃費が悪いでしょう?私がいない間はこれを食べて、元気でいてくださいね!」
「おむすび…」
「キノコの炊き込みご飯で作りました!炊き込みご飯は傷みやすいので早めに食べてほしいのですが、他にも、キノコの佃煮味とか、普通の塩おにぎりとかいろんなものを詰めたので、一日だけ、ね」
「…うっ…ゆうさっ…貴女は本当に…」
胸がいっぱいのジェイドは、早速一つを口に含んで、美味しいです、と呟いた。
「それじゃあ、行ってきます!」
「待っていますね」
「はい!」
「リサーチ結果、楽しみにお待ちしています」
「任せてください!」
そうして迎えた0時、鏡を抜けて、ゆうは向こうの世界へと旅立った。
* * *
鏡を超えて、ニョキ、と生えた手は、別のジェイド・リーチによって捉えられる。
待ちに待ったこのとき。ジェイドが見逃すはずもなく、今日もまたオンボロ寮に泊り込むだのなんだのと戦いを、ユウとしていた矢先のことだったので、願ったり叶ったりの大騒ぎである。しかしその様子は一部も見せぬまま、鏡から引き抜いたゆうをその胸に抱きとめた。
「ゆうさんっ…!」
「あー!ジェイド先輩だー!お久しぶりですっ!」
「ゆうちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ…わーーーーん!!来てくれたー!」
「ユウちゃんも!久しぶりだよっ!」
「ううっ…ぇっ…ほんとにっ…よがッ…!!」
「えっ?!どうしたの??大丈夫?!」
ユウはこの二週間、ジェイドに絞られ続けた思い出が走馬灯のように駆け抜けたせいで、本当に泣いていた。
ジェイドにぎゅうぎゅうと抱きしめられながらも、ゆうは、役目を忘れるわけにはいかないとばかりに、今回来た目的をかいつまんで話した。
その話を聞いてなるほど、とうなづくも、ジェイドとユウは二人して「うーん」と宙を仰いだ後。
「ありませんね」
「ないよ」
と声を揃えて言った。
「そもそもユウさんはそういうことに疎いですし、お皿一枚満足に洗えませんから」
「っ〜!言い返せない…!えっと、ゆうちゃんみたいに特技がないから私、あまり何もできてないかな…」
「あぁ、ですが、味見くらいはしてもらっていますかね」
「…ッ言い方…!新作商品の感想言ったりはしてるかな!女性的味覚?がほしいって言われて」
「ここは男子校ですのに。しかもバカの一つ覚えで美味しいしか言えないんですよユウさんは」
「息をするように暴言はきますね!!」
「貴女にだけですよ」
やり取りを聴きながら、どうしてこの二人はこんなにも一瞬即発な関係になってしまったのかなぁ、とゆうは思った。
まさか、その原因が自分にあるとは知らずに。
「ところでゆうちゃん!あの、先週もらった、本、だけど…」
「あ!読んでもらえた?!あれね、私が描いたんだよ〜!どうだった〜!?」
「あ、あの、それが」
「ゆうさん!!あぁ言った本ですが、アズールの話ではなく、僕とゆうさんの話はないのですか!?」
「え?ありますよ?」
あちゃ〜…と頭を抱えるユウを他所に、興奮したようにジェイドがゆうに詰め寄ったが、それに対していとも平然と答えが返ってきたために、呆けてしまうのも無理はなかった。
「あ、あるの!?」
「もちろん!あとは、ちょ〜っと刺激が強いけど、イドアズとかジェイアズとか監アズとか」
「あの、名前の響きからの想像なんだけど、そ、それって、アズール先輩…」
「うん、えっとね、アズール先輩は結構ヤられてる方が多いかも。でもアズモブとかはあるし逆だってもちろんあるよ。カップリングは人の数だけっていうか」
「う、うわぁ…すごい世界だ…」
「アズールのことはどうでもいいんです。その、僕とゆうさんの話は、ゆうさんが描かれるのですか!?」
「私も描きますけど、寮生も描きますよ。だってうちの寮では先月と今月、イベント開かれましたから」
もはや情報が大洪水である。
カップリングだ、イベントだ、自分で描くだ…処理がしきれないけれど、なんだかんだ理解できてしまうのが脳のすごいところである。
詳しいことを聞きたいと、詰め寄るジェイドと、アズール先輩を攻める…となんだかポーッとしているユウを前にして楽しげに笑うゆうは、こちらの世界に情報を広めるには、いささか強者すぎたのかもしれなかった。
「ダメです。行ってもらいます」
「帰ってこれなくなったら、どう責任を取るおつもりで」
「僕を信じなさいジェイド。二週間連続でもののやり取りはできているでしょう。今回も大丈夫です」
「ジェイド先輩〜。大丈夫ですよ、きっと。アズール先輩を信じてみましょう?」
「…ッ、アズールの、いうことは、聞きます…えぇ、聞きますとも、けれど、」
金曜日。深夜の24時を目前にして、オンボロ寮は荒れていた。もっとも、荒れているのはジェイドだけだったが。
先週とその前の週は、二度と行かせないと画策に画策を重ねたわけだが、ゆうの事業が繁盛してきたことをきっかけに向こうの世界ではどんなことをしてモストロ・ラウンジを展開していっているのか調査をしたいというのが、アズールの依頼だった。
アズールからの依頼を、ジェイドが断れるはずもなく。
しかしながら、ゆうを危ない目に合わせたいはずもなく。
葛藤の渦中でどうにか折衷案を出そうとしたが、それも虚しく終わってしまった。
「無事に帰ってきてくださいね」
「もちろん!ジェイド先輩を置いてどこにも行けません!あ!これ、」
「?」
「はい!ジェイド先輩にプレゼントです!」
手渡されたのは海の生き物がプリントされた布の包みだった。
目で、開けていいのですか、と尋ねられたゆうは、もちろん、と促す。
そっと包みを開けると、出てきたのは、三角形に整えられたお米だった。
「これは…?」
「おむすびですよ。ジェイド先輩は燃費が悪いでしょう?私がいない間はこれを食べて、元気でいてくださいね!」
「おむすび…」
「キノコの炊き込みご飯で作りました!炊き込みご飯は傷みやすいので早めに食べてほしいのですが、他にも、キノコの佃煮味とか、普通の塩おにぎりとかいろんなものを詰めたので、一日だけ、ね」
「…うっ…ゆうさっ…貴女は本当に…」
胸がいっぱいのジェイドは、早速一つを口に含んで、美味しいです、と呟いた。
「それじゃあ、行ってきます!」
「待っていますね」
「はい!」
「リサーチ結果、楽しみにお待ちしています」
「任せてください!」
そうして迎えた0時、鏡を抜けて、ゆうは向こうの世界へと旅立った。
* * *
鏡を超えて、ニョキ、と生えた手は、別のジェイド・リーチによって捉えられる。
待ちに待ったこのとき。ジェイドが見逃すはずもなく、今日もまたオンボロ寮に泊り込むだのなんだのと戦いを、ユウとしていた矢先のことだったので、願ったり叶ったりの大騒ぎである。しかしその様子は一部も見せぬまま、鏡から引き抜いたゆうをその胸に抱きとめた。
「ゆうさんっ…!」
「あー!ジェイド先輩だー!お久しぶりですっ!」
「ゆうちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ…わーーーーん!!来てくれたー!」
「ユウちゃんも!久しぶりだよっ!」
「ううっ…ぇっ…ほんとにっ…よがッ…!!」
「えっ?!どうしたの??大丈夫?!」
ユウはこの二週間、ジェイドに絞られ続けた思い出が走馬灯のように駆け抜けたせいで、本当に泣いていた。
ジェイドにぎゅうぎゅうと抱きしめられながらも、ゆうは、役目を忘れるわけにはいかないとばかりに、今回来た目的をかいつまんで話した。
その話を聞いてなるほど、とうなづくも、ジェイドとユウは二人して「うーん」と宙を仰いだ後。
「ありませんね」
「ないよ」
と声を揃えて言った。
「そもそもユウさんはそういうことに疎いですし、お皿一枚満足に洗えませんから」
「っ〜!言い返せない…!えっと、ゆうちゃんみたいに特技がないから私、あまり何もできてないかな…」
「あぁ、ですが、味見くらいはしてもらっていますかね」
「…ッ言い方…!新作商品の感想言ったりはしてるかな!女性的味覚?がほしいって言われて」
「ここは男子校ですのに。しかもバカの一つ覚えで美味しいしか言えないんですよユウさんは」
「息をするように暴言はきますね!!」
「貴女にだけですよ」
やり取りを聴きながら、どうしてこの二人はこんなにも一瞬即発な関係になってしまったのかなぁ、とゆうは思った。
まさか、その原因が自分にあるとは知らずに。
「ところでゆうちゃん!あの、先週もらった、本、だけど…」
「あ!読んでもらえた?!あれね、私が描いたんだよ〜!どうだった〜!?」
「あ、あの、それが」
「ゆうさん!!あぁ言った本ですが、アズールの話ではなく、僕とゆうさんの話はないのですか!?」
「え?ありますよ?」
あちゃ〜…と頭を抱えるユウを他所に、興奮したようにジェイドがゆうに詰め寄ったが、それに対していとも平然と答えが返ってきたために、呆けてしまうのも無理はなかった。
「あ、あるの!?」
「もちろん!あとは、ちょ〜っと刺激が強いけど、イドアズとかジェイアズとか監アズとか」
「あの、名前の響きからの想像なんだけど、そ、それって、アズール先輩…」
「うん、えっとね、アズール先輩は結構ヤられてる方が多いかも。でもアズモブとかはあるし逆だってもちろんあるよ。カップリングは人の数だけっていうか」
「う、うわぁ…すごい世界だ…」
「アズールのことはどうでもいいんです。その、僕とゆうさんの話は、ゆうさんが描かれるのですか!?」
「私も描きますけど、寮生も描きますよ。だってうちの寮では先月と今月、イベント開かれましたから」
もはや情報が大洪水である。
カップリングだ、イベントだ、自分で描くだ…処理がしきれないけれど、なんだかんだ理解できてしまうのが脳のすごいところである。
詳しいことを聞きたいと、詰め寄るジェイドと、アズール先輩を攻める…となんだかポーッとしているユウを前にして楽しげに笑うゆうは、こちらの世界に情報を広めるには、いささか強者すぎたのかもしれなかった。