【完結】監督生が二人いる?!
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一方その頃、ゆうはジェイドの世話をしながら頭にクエスチョンマークを並べていた。熱もなければ咳もない。だけれど病気だというジェイド・リーチに。
「んー、ジェイド先輩、大丈夫ですか?」
「はい、ゆうさんがついていてくれますから、すぐによくなります」
「風邪みたいな症状じゃないから心配です…きちんとお医者さまに見てもらったほうが良いのでは…?」
「大丈夫ですよ、僕たちはもともと人魚ですし、少し人間と体の作りも違うのかもしれません。直によくなりますから」
言葉巧みに丸め込まれて、信じ込まされてしまったゆうだった。
それを横目に、アズールとフロイドはやれやれといった顔を見せていた。
ジェイドの独占欲は他人が思うよりもかなり強かったな、と。
「あちらになんて行かせませんよ」
ポツリ、呟いた言葉は態とらしくゆうには届けなかった。
「とにかく、今日は一日ゆっくりしましょうね。しっかり看病しますから」
「ありがとうございます、ゆうさん」
「このくらい全然です!いつもたくさんしてもらっているので」
えへへ、と笑うゆうは、誰よりも天使だ。
もうすぐお昼時なのでご飯作ってきますね、と出て行ったその背中を見ながら、仮病を使ってまで引き留めてよかったな、と改めて思ったジェイドであった。
それと入れ違いで、フロイドがジェイドの部屋に入ってくる。
「ジェ〜イド〜」
「おや、フロイド」
「めっちゃ普通で笑う〜」
「そうですね、めっちゃ普通です」
「ほ〜んと、小エビちゃんのこと好きなんだねぇ」
「同じくらい、アズールとフロイドのことだって好きですよ」
「はっ、ジョーダン」
ジェイドのベッドの脇に座って、フロイドはその長い足を伸ばした。
「あっちのジェイドも小エビちゃんが気に入ってるとか笑えないね」
「本当に。許せません」
「自分のことだけどな」
「自分であっても自分でないので、やはり許せません」
布団の端を握りしめて、ふつふつと湧き上がる怒りを隠そうともしないジェイドの気迫は鬼気迫るものがある。
「今後も事あるごとに持ちうる語彙を持って手紙を投げ込んでやろうと思います」
「でもさぁ、小エビちゃんがあっち行きてーって言ったら、どうすんの」
「は?」
「だって、仮にも女の子同士、喋りたい事とかもあんじゃねーの?境遇も同じだしさぁ」
「そんなのあちらの監督生さんがこちらにこればいいだけのことでしょう。ゆうさんがこちらからわざわざ出かける必要はありません」
「…ジェイド」
「はい」
「ほんと、ジェイドって、ジェイドだよね」
「お褒めに預かり光栄ですよフロイド」
「いや、褒めてねぇけど」
そんな言葉を呟いたと同時、部屋の扉がまた開いて、何やらほかほかとした器を持ってきたのはもちろん渦中のゆうだ。
あ!フロイド先輩もいたんですね!と言いながらにこやかに話に混じってくる。
作ってみたんですけど、と言って机の上に差し出されたのは、何やら白い…
「キノコじゃないですか!」
「あ、わかりました?これは、雑炊っていう食べ物です!柔らかいご飯は病気の時でも食べやすくて、それから消化も良いので作ってみました。もちろん先輩の大好きなキノコも入れて」
「うわ、キノコでもうまそ〜!」
「フロイド先輩も食べてみますか?まだ少し余って」
「ダメです」
「え?」
「全部僕が食べますから!僕の燃費が悪いの知っているでしょう?これでは足りないかもしれませんし」
その食いつきようをみて、フロイドはニンマリ笑ったが、どこ吹く風とばかりに、ジェイドは特に悪びれも恥ずかしがりもせず兄弟を追い出した。
「では。お見舞いありがとうございました」
「ハァ〜イ。じゃーね、小エビちゃんも」
「あれ…帰っちゃうんですか?」
その言葉に、ピラピラと手を振って返すとフロイドは出て行った。
「行っちゃいましたね…私、お邪魔でしたか?タイミング見誤ったかも…」
「いえ。むしろちょうどよし、でしたよ。それで、その雑炊とやら、食べさせていただけるんですか?」
「あ!そうです、少し熱いので注意してくださいね」
「そうではなくて」
ベッドの上で半分起こしていた身体を、ぐっとゆうに近づけて、ジェイドはにっこりと笑う。
「食べさせて、くださるんでしょう?貴女が」
「えっ」
「あーん、というイベントなのでは?」
「!!?」
「あーん」
嬉しそうに口をぱかっと開けるジェイドを見て、ゆうはそんな意味で持ってきたんじゃないのに!と顔を真っ赤にするが、病人に対して酷いことも言えない。
観念して、少し掬った雑炊にフーフーと息を吹きかけて冷ましたのち、その口に食べ物を運んだ。
はむ。
と口を閉じたジェイドは、満足そうな顔をしてそれを咀嚼し、極め付けにぺろと少し舌を出して唇を舐めると、ゆうを見つめる。
その美しい瞳に囚われたら逃げられない。何度見つめられても慣れることなんてなく、胸は高鳴ってばかりだ。
「っ…」
「とても美味しいです。それに貴女の気持ちが詰まっているからでしょうか?優しい味がしますよ。」
「…ジェイド先輩…そういう言い方、ずるい…ですっ」
「本心を言ったまでですが…。そうですね、信じれもらえないのなら、それを全部平らげてから、もう一度伝えましょうか。」
「?!全部私がフーフーするんですか…!?」
「はい、もちろん。この通り、病人ですから」
「う、うそ、だぁっ…!」
その日一日中ゆうにつきっきりで看病されたおかげで、ジェイドの機嫌もすっかり良くなり、次の週は穏やかな日が続いたとは、とあるオクタヴィネル生の証言によるものである。
「んー、ジェイド先輩、大丈夫ですか?」
「はい、ゆうさんがついていてくれますから、すぐによくなります」
「風邪みたいな症状じゃないから心配です…きちんとお医者さまに見てもらったほうが良いのでは…?」
「大丈夫ですよ、僕たちはもともと人魚ですし、少し人間と体の作りも違うのかもしれません。直によくなりますから」
言葉巧みに丸め込まれて、信じ込まされてしまったゆうだった。
それを横目に、アズールとフロイドはやれやれといった顔を見せていた。
ジェイドの独占欲は他人が思うよりもかなり強かったな、と。
「あちらになんて行かせませんよ」
ポツリ、呟いた言葉は態とらしくゆうには届けなかった。
「とにかく、今日は一日ゆっくりしましょうね。しっかり看病しますから」
「ありがとうございます、ゆうさん」
「このくらい全然です!いつもたくさんしてもらっているので」
えへへ、と笑うゆうは、誰よりも天使だ。
もうすぐお昼時なのでご飯作ってきますね、と出て行ったその背中を見ながら、仮病を使ってまで引き留めてよかったな、と改めて思ったジェイドであった。
それと入れ違いで、フロイドがジェイドの部屋に入ってくる。
「ジェ〜イド〜」
「おや、フロイド」
「めっちゃ普通で笑う〜」
「そうですね、めっちゃ普通です」
「ほ〜んと、小エビちゃんのこと好きなんだねぇ」
「同じくらい、アズールとフロイドのことだって好きですよ」
「はっ、ジョーダン」
ジェイドのベッドの脇に座って、フロイドはその長い足を伸ばした。
「あっちのジェイドも小エビちゃんが気に入ってるとか笑えないね」
「本当に。許せません」
「自分のことだけどな」
「自分であっても自分でないので、やはり許せません」
布団の端を握りしめて、ふつふつと湧き上がる怒りを隠そうともしないジェイドの気迫は鬼気迫るものがある。
「今後も事あるごとに持ちうる語彙を持って手紙を投げ込んでやろうと思います」
「でもさぁ、小エビちゃんがあっち行きてーって言ったら、どうすんの」
「は?」
「だって、仮にも女の子同士、喋りたい事とかもあんじゃねーの?境遇も同じだしさぁ」
「そんなのあちらの監督生さんがこちらにこればいいだけのことでしょう。ゆうさんがこちらからわざわざ出かける必要はありません」
「…ジェイド」
「はい」
「ほんと、ジェイドって、ジェイドだよね」
「お褒めに預かり光栄ですよフロイド」
「いや、褒めてねぇけど」
そんな言葉を呟いたと同時、部屋の扉がまた開いて、何やらほかほかとした器を持ってきたのはもちろん渦中のゆうだ。
あ!フロイド先輩もいたんですね!と言いながらにこやかに話に混じってくる。
作ってみたんですけど、と言って机の上に差し出されたのは、何やら白い…
「キノコじゃないですか!」
「あ、わかりました?これは、雑炊っていう食べ物です!柔らかいご飯は病気の時でも食べやすくて、それから消化も良いので作ってみました。もちろん先輩の大好きなキノコも入れて」
「うわ、キノコでもうまそ〜!」
「フロイド先輩も食べてみますか?まだ少し余って」
「ダメです」
「え?」
「全部僕が食べますから!僕の燃費が悪いの知っているでしょう?これでは足りないかもしれませんし」
その食いつきようをみて、フロイドはニンマリ笑ったが、どこ吹く風とばかりに、ジェイドは特に悪びれも恥ずかしがりもせず兄弟を追い出した。
「では。お見舞いありがとうございました」
「ハァ〜イ。じゃーね、小エビちゃんも」
「あれ…帰っちゃうんですか?」
その言葉に、ピラピラと手を振って返すとフロイドは出て行った。
「行っちゃいましたね…私、お邪魔でしたか?タイミング見誤ったかも…」
「いえ。むしろちょうどよし、でしたよ。それで、その雑炊とやら、食べさせていただけるんですか?」
「あ!そうです、少し熱いので注意してくださいね」
「そうではなくて」
ベッドの上で半分起こしていた身体を、ぐっとゆうに近づけて、ジェイドはにっこりと笑う。
「食べさせて、くださるんでしょう?貴女が」
「えっ」
「あーん、というイベントなのでは?」
「!!?」
「あーん」
嬉しそうに口をぱかっと開けるジェイドを見て、ゆうはそんな意味で持ってきたんじゃないのに!と顔を真っ赤にするが、病人に対して酷いことも言えない。
観念して、少し掬った雑炊にフーフーと息を吹きかけて冷ましたのち、その口に食べ物を運んだ。
はむ。
と口を閉じたジェイドは、満足そうな顔をしてそれを咀嚼し、極め付けにぺろと少し舌を出して唇を舐めると、ゆうを見つめる。
その美しい瞳に囚われたら逃げられない。何度見つめられても慣れることなんてなく、胸は高鳴ってばかりだ。
「っ…」
「とても美味しいです。それに貴女の気持ちが詰まっているからでしょうか?優しい味がしますよ。」
「…ジェイド先輩…そういう言い方、ずるい…ですっ」
「本心を言ったまでですが…。そうですね、信じれもらえないのなら、それを全部平らげてから、もう一度伝えましょうか。」
「?!全部私がフーフーするんですか…!?」
「はい、もちろん。この通り、病人ですから」
「う、うそ、だぁっ…!」
その日一日中ゆうにつきっきりで看病されたおかげで、ジェイドの機嫌もすっかり良くなり、次の週は穏やかな日が続いたとは、とあるオクタヴィネル生の証言によるものである。