【完結】監督生が二人いる?!
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その日の0時。何事もなく鏡を抜けられたユウは、ほっと一息をつく。
案の定、顔面蒼白で待っていたアズールに、すみませんでした、と一言謝って、それから「あ」と。
「ジェイド先輩、これ」
「なんですか、貴女だけ帰ってくるなんて本当に最悪ですよ」
「…ほんっッとに塩度増しましたよね!!」
「そうですか、そうかもしれませんね」
「もう!とにかく!これ!あっちのジェイド先輩からの預かりものです」
「僕から僕に?」
手に取ったそれをくるくると開けてから、数秒後、グシャ、と握りつぶしてジェイドの瞳は燃えていた。
それから一週間はユウにとって地獄の日々であった。
なぜなら、向こうからの手紙のせいで、ジェイドの機嫌が過去最高に悪かったからだ。普段は温厚、というよりも、あまり感情を表に出さないジェイドがこんなにもわかりやすくイラついていることは初めてで、寮生のみならず、学園の皆が恐れたことは言うまでもない。
全ての言伝は、フロイドまたはユウに任され、また、八つ当たりはユウに向けられていたのだった。
「…ユウさん、」
「ゲッ!ジェイド先輩?!フロアはいいんですか?!」
「貴女に言われなくとも完璧です。それより…貴女、まだ皿洗いも満足にできないのですか?」
洗って乾かされているお皿を持ち上げると、ぽちゃん、と水の中に戻したジェイドは、もの凄い形相でユウを見下ろす。
最近はユウもその様子に慣れてきて、このままではいけないと、言い返すようになっていた。
「なんでせっかく洗ったのに戻すんですか!」
「洗った?貴女の目は節穴ですか?まだ泡がついていましたよ。ああ、こちらはソースがこびりついたままですね…はいやり直し」
「あっ?!!」
「オンボロ寮の庶民のお皿じゃないのですよ。レストランで、お客様に出すお皿なのですから、もっと丁寧になさい」
「…」
「返事は」
「…っ…」
「聞こえませんね」
「っ〜〜…っはいいいいいい!!」
ぐぬぅ、と下唇を噛みながら返事をしたユウに対して失笑を漏らしてから、その場を去ったジェイドの背中に、ベーッ!と悪態をついたユウをみて、苦笑したのはフロイドだ。
「小エビちゃん、ターゲットにされちゃってんね」
「ジェイド・リーチ、許すまじぃ…」
「ジェイド、よっぽど小々エビちゃんに会いたかったんだねぇ〜」
「仕方ないじゃないですか…ここの監督生は私なの…どうにもならないのに…」
ちょっと寂しい。仲良くしたかったな。と本音をこぼしたユウに、気を落とさないでよ、と頭を撫でようとしたフロイドだったが、ユウの手に握られたフォークとナイフがギリギリ掴まれていたのを見て、どっちもどっちじゃねーか、などと独りごちたことは誰も知らない。
*
さて、一方のゆうサイドのワンダーランドでは、今日も今日とて平和な一日が続いていた。
モストロ・ラウンジでジェイド特製のパフェを頬張りながら、何やら一生懸命手を動かしているのはゆう。
「おや、ゆうさんは何を描いていらっしゃるのですか?」
「これですか?今度、向こうに投げ入れるためのお手紙ですよ」
「手紙…というか、これは…ユウさんと、アズール、ですよね」
「はい!よくわかりましたね!」
その羊皮紙には、手紙ではなく、絵がたくさん描かれている。まじまじと覗きこんだジェイドは、すごいですね、と感嘆の声を上げた。
「これは、私の世界にある【漫画】という娯楽です」
「まんが、ですか」
「そうです。こうやって、絵とセリフを書き込んで、いくつかのコマに分けて、お話にするんですよ」
「ほぅ?面白い技術ですね」
「はい!それで、せっかくだから、こっちのアズール先輩もユウちゃんのこと気に入ってるみたいだったよってお話を描いてみました」
似てません?と見せたそこには、生き生きとした表現で描かれたアズールとユウがいて、それから所々にジェイドやフロイドもいた。
ジェイドは感嘆の声を挙げながら、ついつい見入ってしまう。
そんなことをしていたものだから、他の寮生やフロイド、果てはアズール自身までやってきて、皆で観賞会が始まった。
フロアは、俺も描いてほしいだの、お金を出すからそれを譲ってくれだの、大変な熱気に包まれている。
「これはもしや、商売になるのでは…」
アズールの一言は、他ならぬゆうの耳に届いていた。
「あぁ、そうですね、こうして自分の描いた漫画を個人的に売る人もたくさんいます。もちろん、商業と言って雑誌や本として売り出されているものもたくさんありますよ。」
「…ゆうさん、ものは相談なのですが、作ってみませんか、その、漫画という冊子」
「へ?私が?」
「まずはモストロ・ラウンジの宣伝でも構いません。貴女が好きなように描いてもらって、それで反響があるようなら、僕がスポンサーになるのでぜひ」
「うわぁ…ほんとですか?嬉しいです!」
こうしてまさかの同人活動もどきが、ツイステッドワンダーランドにて始まったのであった。
案の定、顔面蒼白で待っていたアズールに、すみませんでした、と一言謝って、それから「あ」と。
「ジェイド先輩、これ」
「なんですか、貴女だけ帰ってくるなんて本当に最悪ですよ」
「…ほんっッとに塩度増しましたよね!!」
「そうですか、そうかもしれませんね」
「もう!とにかく!これ!あっちのジェイド先輩からの預かりものです」
「僕から僕に?」
手に取ったそれをくるくると開けてから、数秒後、グシャ、と握りつぶしてジェイドの瞳は燃えていた。
それから一週間はユウにとって地獄の日々であった。
なぜなら、向こうからの手紙のせいで、ジェイドの機嫌が過去最高に悪かったからだ。普段は温厚、というよりも、あまり感情を表に出さないジェイドがこんなにもわかりやすくイラついていることは初めてで、寮生のみならず、学園の皆が恐れたことは言うまでもない。
全ての言伝は、フロイドまたはユウに任され、また、八つ当たりはユウに向けられていたのだった。
「…ユウさん、」
「ゲッ!ジェイド先輩?!フロアはいいんですか?!」
「貴女に言われなくとも完璧です。それより…貴女、まだ皿洗いも満足にできないのですか?」
洗って乾かされているお皿を持ち上げると、ぽちゃん、と水の中に戻したジェイドは、もの凄い形相でユウを見下ろす。
最近はユウもその様子に慣れてきて、このままではいけないと、言い返すようになっていた。
「なんでせっかく洗ったのに戻すんですか!」
「洗った?貴女の目は節穴ですか?まだ泡がついていましたよ。ああ、こちらはソースがこびりついたままですね…はいやり直し」
「あっ?!!」
「オンボロ寮の庶民のお皿じゃないのですよ。レストランで、お客様に出すお皿なのですから、もっと丁寧になさい」
「…」
「返事は」
「…っ…」
「聞こえませんね」
「っ〜〜…っはいいいいいい!!」
ぐぬぅ、と下唇を噛みながら返事をしたユウに対して失笑を漏らしてから、その場を去ったジェイドの背中に、ベーッ!と悪態をついたユウをみて、苦笑したのはフロイドだ。
「小エビちゃん、ターゲットにされちゃってんね」
「ジェイド・リーチ、許すまじぃ…」
「ジェイド、よっぽど小々エビちゃんに会いたかったんだねぇ〜」
「仕方ないじゃないですか…ここの監督生は私なの…どうにもならないのに…」
ちょっと寂しい。仲良くしたかったな。と本音をこぼしたユウに、気を落とさないでよ、と頭を撫でようとしたフロイドだったが、ユウの手に握られたフォークとナイフがギリギリ掴まれていたのを見て、どっちもどっちじゃねーか、などと独りごちたことは誰も知らない。
*
さて、一方のゆうサイドのワンダーランドでは、今日も今日とて平和な一日が続いていた。
モストロ・ラウンジでジェイド特製のパフェを頬張りながら、何やら一生懸命手を動かしているのはゆう。
「おや、ゆうさんは何を描いていらっしゃるのですか?」
「これですか?今度、向こうに投げ入れるためのお手紙ですよ」
「手紙…というか、これは…ユウさんと、アズール、ですよね」
「はい!よくわかりましたね!」
その羊皮紙には、手紙ではなく、絵がたくさん描かれている。まじまじと覗きこんだジェイドは、すごいですね、と感嘆の声を上げた。
「これは、私の世界にある【漫画】という娯楽です」
「まんが、ですか」
「そうです。こうやって、絵とセリフを書き込んで、いくつかのコマに分けて、お話にするんですよ」
「ほぅ?面白い技術ですね」
「はい!それで、せっかくだから、こっちのアズール先輩もユウちゃんのこと気に入ってるみたいだったよってお話を描いてみました」
似てません?と見せたそこには、生き生きとした表現で描かれたアズールとユウがいて、それから所々にジェイドやフロイドもいた。
ジェイドは感嘆の声を挙げながら、ついつい見入ってしまう。
そんなことをしていたものだから、他の寮生やフロイド、果てはアズール自身までやってきて、皆で観賞会が始まった。
フロアは、俺も描いてほしいだの、お金を出すからそれを譲ってくれだの、大変な熱気に包まれている。
「これはもしや、商売になるのでは…」
アズールの一言は、他ならぬゆうの耳に届いていた。
「あぁ、そうですね、こうして自分の描いた漫画を個人的に売る人もたくさんいます。もちろん、商業と言って雑誌や本として売り出されているものもたくさんありますよ。」
「…ゆうさん、ものは相談なのですが、作ってみませんか、その、漫画という冊子」
「へ?私が?」
「まずはモストロ・ラウンジの宣伝でも構いません。貴女が好きなように描いてもらって、それで反響があるようなら、僕がスポンサーになるのでぜひ」
「うわぁ…ほんとですか?嬉しいです!」
こうしてまさかの同人活動もどきが、ツイステッドワンダーランドにて始まったのであった。