【完結】監督生が二人いる?!
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「クリアしなければならない課題はいくつかあると思っています。第一に、なぜか週末の0時にしか開かない鏡のゲート。この時刻を逃すと戻っては来られなくなるというのは非常にまずい。第二に、突然行き来できるようになったと言う事実。これはおそらく、突然行き来できなくなるというのも予想しておかなければならないでしょう。第三に、行き来できるのは貴女たち二人のみだと言う事実。グリムさんが通り抜けられなかったのを考慮すれば、恐らく僕らも通り抜けができないはずです。第四に…って、なんですか?」
「いえ、アーシェングロット先輩は、やっぱりすごいなぁって思って」
「は?」
「冷静ですね。私だったらこんな風にいきません」
「っ、からかわないでくれませんか」
「本心なんですけどね…」
オンボロ寮で朝ごはんを摂ったあと、鏡の前でこれまでの情報を整理する運びとなった。
ゆう、ジェイド、アズール、そしてユウ。
四人寄れば文殊の知恵以上となるかと思えば、主な頭脳派はアズールだけだったので、独壇場となっている。
「はい!アズール先輩!」
「なんでしょうゆうさん」
「試したいことがあります!」
「やめてください」
「ジェイド先輩!私まだ何も言ってないです!」
「貴女の考えは大方わかります。今度はユウさんとゆうさん、二人で通り抜けようという考えでしょう」
「…すごい、正解です」
「もう行かないと約束したじゃないですか!!」
こちらのジェイドはゆうにべったりだった。
一度好いたものは手放せない、そんな性質がありありと伺えて、うちのジェイド先輩はその対象がキノコだけだからよかった、などとユウが思ったのは秘密である。
「ジェイド、落ち着きなさい。二人一緒に行けるのかどうか、というのは僕も気になるところです」
「アズール!そんなことを言ったら」
「違います、やろうと言っているのではなくて。可能性という意味では、考えられる、といいたかっただけです」
「…」
やれやれ、と両手を上げてお手上げをしたアズールを横目に、ジェイドは眉を下げた。
「ゆうさんはどうしてそんなにあちらに行きたいんですか…僕だけでは不満ですか」
「そんなこと全然!!ただ、あっちのジェイド先輩が…一人で寂しそうだったから…」
「貴女、僕に甘すぎじゃありません?」
「それはもう!ジェイド先輩のこと好きですもん」
「っ…!僕も好きです!!だから行かないでください!!」
「…茶番はもういいですか」
「アズールは黙って!!」
ジェイドの本気は重すぎて人には伝わりにくいようである。
だんだんと過保護ママ化してきたジェイドは蚊帳の外になりつつあった。
「うーん、週末の2回だけじゃなくて、もっと鏡が開くようになるといいんだけど…」
「そうだね…というか、もっと繋がるようになるっていう可能性はないのかなぁ。」
「可能性としては【ある】のでしょうけれど、リスキーですね。突然開いた以上、突然閉まると言う可能性の方が高い、と僕は見ています」
「なるほど…。私も戻れなくなるのは困っちゃうし、やっぱり様子見が必要なのかも」
「そっかぁ。せっかく楽しくなってきたのにね…あ。ねぇねぇ。無機物は通るのかな」
「どう言うこと?」
「例えば、紙とか、そういうもの」
「うーん?着の身着のままでこちらに来れるってことは、身に付けていればそれは通り抜けるんじゃない?」
「こう、羊皮紙だけ〜とか、ポイッて投げ入れらんないかな」
手紙のやり取りだけでもできれば鏡の調査にもなるんじゃないかなと、ゆうのその提案に、皆が納得する。
ユウはゆうとの繋がりがあれば、楽しみも増えると喜び。
ジェイドは、ゆうがいなくならないならそれでいいとその身体を抱きしめ。
アズールは新しい魔法具の調査ができると愉しげで。
ゆうは、みんな現金だなぁ、と苦笑した。
それでも、こんな世界だから「情報交換」ということは誰にとっても大切だろう。
とりあえず、来週はその方向を試してみようという話でまとまった。
「じゃあ今日のところは私が単体で帰りますね…って、帰れるといいけど」
「帰れなければ僕がどうにかしてみせますよ」
「アーシェングロット先輩…」
「ヒュー!アズール先輩イケメン!」
「ゆうさん、貴女は黙ってなさい」
少しキザすぎました、と頬を染めながら眼鏡の位置を直すアズールを見て、ユウは「早く帰りたいな」と自分の世界の彼を想うのであった。
「あ、すみません、ユウさん」
「はい?」
「僕からあちらの世界の僕に手紙を出したいのですが、持っていっていただけませんか」
「もちろんいいですよ!…でも、ジェイド先輩もそういうことしたい派なんですね。少しだけ意外でした」
「えぇ、まぁ。少し、ね」
それから数時間後に手渡された羊皮紙に何が書かれていたのかは、あちらのジェイドのみ知ることだ。
ーーーー
そちらの世界の
ジェイド・リーチへ
拝啓。
雨上がり、空に架かる虹を発見しては幸せな気持ちになりますが
そちらの僕においては、いかがおすごしでしょうか。
こちらでは山に登るたび、新しい山菜やキノコに出会え、楽しい限りです。
山を愛する会も、ゆうさんがいることで順調に活動をしております。
そちらは未だ一人なのでしょうか。御心痛み入ります。
さて、そちらの僕も、ゆうさんと山に登ったそうですね。
楽しい思い出になったと、笑顔で話しを聞かせていただきました。
しかしながら、肝に銘じておいてくださいね。
ゆうさんは、こちらの世界の住人です。
貴方と一緒にはいられませんので。そのつもりで。
それでは。用件のみにて失礼いたします。
敬具
ゆうさんの彼氏の
ジェイド・リーチ
追伸
ゆうさんは、今、僕の隣で安らかに眠っております。
ーーーー
「いえ、アーシェングロット先輩は、やっぱりすごいなぁって思って」
「は?」
「冷静ですね。私だったらこんな風にいきません」
「っ、からかわないでくれませんか」
「本心なんですけどね…」
オンボロ寮で朝ごはんを摂ったあと、鏡の前でこれまでの情報を整理する運びとなった。
ゆう、ジェイド、アズール、そしてユウ。
四人寄れば文殊の知恵以上となるかと思えば、主な頭脳派はアズールだけだったので、独壇場となっている。
「はい!アズール先輩!」
「なんでしょうゆうさん」
「試したいことがあります!」
「やめてください」
「ジェイド先輩!私まだ何も言ってないです!」
「貴女の考えは大方わかります。今度はユウさんとゆうさん、二人で通り抜けようという考えでしょう」
「…すごい、正解です」
「もう行かないと約束したじゃないですか!!」
こちらのジェイドはゆうにべったりだった。
一度好いたものは手放せない、そんな性質がありありと伺えて、うちのジェイド先輩はその対象がキノコだけだからよかった、などとユウが思ったのは秘密である。
「ジェイド、落ち着きなさい。二人一緒に行けるのかどうか、というのは僕も気になるところです」
「アズール!そんなことを言ったら」
「違います、やろうと言っているのではなくて。可能性という意味では、考えられる、といいたかっただけです」
「…」
やれやれ、と両手を上げてお手上げをしたアズールを横目に、ジェイドは眉を下げた。
「ゆうさんはどうしてそんなにあちらに行きたいんですか…僕だけでは不満ですか」
「そんなこと全然!!ただ、あっちのジェイド先輩が…一人で寂しそうだったから…」
「貴女、僕に甘すぎじゃありません?」
「それはもう!ジェイド先輩のこと好きですもん」
「っ…!僕も好きです!!だから行かないでください!!」
「…茶番はもういいですか」
「アズールは黙って!!」
ジェイドの本気は重すぎて人には伝わりにくいようである。
だんだんと過保護ママ化してきたジェイドは蚊帳の外になりつつあった。
「うーん、週末の2回だけじゃなくて、もっと鏡が開くようになるといいんだけど…」
「そうだね…というか、もっと繋がるようになるっていう可能性はないのかなぁ。」
「可能性としては【ある】のでしょうけれど、リスキーですね。突然開いた以上、突然閉まると言う可能性の方が高い、と僕は見ています」
「なるほど…。私も戻れなくなるのは困っちゃうし、やっぱり様子見が必要なのかも」
「そっかぁ。せっかく楽しくなってきたのにね…あ。ねぇねぇ。無機物は通るのかな」
「どう言うこと?」
「例えば、紙とか、そういうもの」
「うーん?着の身着のままでこちらに来れるってことは、身に付けていればそれは通り抜けるんじゃない?」
「こう、羊皮紙だけ〜とか、ポイッて投げ入れらんないかな」
手紙のやり取りだけでもできれば鏡の調査にもなるんじゃないかなと、ゆうのその提案に、皆が納得する。
ユウはゆうとの繋がりがあれば、楽しみも増えると喜び。
ジェイドは、ゆうがいなくならないならそれでいいとその身体を抱きしめ。
アズールは新しい魔法具の調査ができると愉しげで。
ゆうは、みんな現金だなぁ、と苦笑した。
それでも、こんな世界だから「情報交換」ということは誰にとっても大切だろう。
とりあえず、来週はその方向を試してみようという話でまとまった。
「じゃあ今日のところは私が単体で帰りますね…って、帰れるといいけど」
「帰れなければ僕がどうにかしてみせますよ」
「アーシェングロット先輩…」
「ヒュー!アズール先輩イケメン!」
「ゆうさん、貴女は黙ってなさい」
少しキザすぎました、と頬を染めながら眼鏡の位置を直すアズールを見て、ユウは「早く帰りたいな」と自分の世界の彼を想うのであった。
「あ、すみません、ユウさん」
「はい?」
「僕からあちらの世界の僕に手紙を出したいのですが、持っていっていただけませんか」
「もちろんいいですよ!…でも、ジェイド先輩もそういうことしたい派なんですね。少しだけ意外でした」
「えぇ、まぁ。少し、ね」
それから数時間後に手渡された羊皮紙に何が書かれていたのかは、あちらのジェイドのみ知ることだ。
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そちらの世界の
ジェイド・リーチへ
拝啓。
雨上がり、空に架かる虹を発見しては幸せな気持ちになりますが
そちらの僕においては、いかがおすごしでしょうか。
こちらでは山に登るたび、新しい山菜やキノコに出会え、楽しい限りです。
山を愛する会も、ゆうさんがいることで順調に活動をしております。
そちらは未だ一人なのでしょうか。御心痛み入ります。
さて、そちらの僕も、ゆうさんと山に登ったそうですね。
楽しい思い出になったと、笑顔で話しを聞かせていただきました。
しかしながら、肝に銘じておいてくださいね。
ゆうさんは、こちらの世界の住人です。
貴方と一緒にはいられませんので。そのつもりで。
それでは。用件のみにて失礼いたします。
敬具
ゆうさんの彼氏の
ジェイド・リーチ
追伸
ゆうさんは、今、僕の隣で安らかに眠っております。
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