【完結】監督生が二人いる?!
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ゆうがいなくなって今日でちょうど一週間が経過する。
日課になりつつある、0時前の鏡チェックをしながら、ユウは小さくため息を落とした。
「はは…こんな引き摺ってちゃダメだよね…」
なんだかんだ言っても、嬉しかったのだ。自分と同じ状況にいる同い年くらいの女の子に出会えた事。
もっと一緒にいれば、このモヤモヤした気持ちもわかりあえたかもしれないのに。
そんな一方的な思いは相手にとって迷惑だったとしても。情報を交換できるだけでも支えになったはずだ。
「そろそろ、こんな事やめなきゃね」
「ユウ、そんなに気を落としたらダメなんだゾ」
「ありがとう、グリム。だいじょ わ、?!」
「ユウ!?」
鏡に触れていた手が、突如支えを失って、ぐらりと身体が揺れた。
奇妙な感覚にユウが自分の手を見ようと視線をやると、その右腕の肘から先が、ない。
状況を整理したいのに脳が思考を停止する。
「え、わたしの、腕が!!」
「おいユウ!どんどん吸い込まれてるんだゾ!?」
「や、ちょ、待って、怖い、死にたくない!!やだあ!!助けてグリム!!」
「さっきから引っ張ってるけど、俺様の力じゃ、げんかい、なん、だ、ゾ!!」
「やだ!!手、引っ張られて、わ、あ、ひ」
「ユウーーーー!!!」
ついに頭も半分無くなって、鏡と目が衝突しそうになったところでユウは自ら意識を手放した。
そうか、私はここで死んでしまうのか。最期にアズール先輩にだけでも挨拶をしたかった。そう思いながら。
*
意識の向こうで誰かの声がこだまする。
「…ちゃん」
(お母さん?お父さん?私のことをちゃん付けで呼ぶのは誰だっけ)
「ユウちゃん」
(ああ…もしかして、あの世ではなくて、戻ってきてしまったのかな)
「ユウちゃんってば!」
「へ?!」
ぱち。ぱち。パチパチ。
ユウが瞼を開くと、まず飛び込んできたのはゆうの顔だった。
「やっと起きたー!」
「え、…え?!」
「ようこそ私のオンボロ寮へ!」
「…えーーーーっ!?」
つまりこれは、まさかの、逆トリップであった。
「う、うそ、本当に?」
「本当みたい!0時ってだけじゃなくて、もしかしたら週末ってことも関係あったのかな」
「な、なるほど…」
「でも、また会えてよかった!またよろしくね!」
「…っ、うん!」
差し出された手を握り返して、ユウは笑った。
それから、ふと視線を泳がせて、すぐそこでじっと見つめるオッドアイに驚いたのも無理はない。
「!?ジェイド先輩がなんでここに!?」
「あはは!これはこっちのジェイド先輩だよ!本当に全く一緒で驚いちゃうよね!」
「あ!そっか?!失礼しましたッ」
「貴女がパラレルワールドの監督生さんですか」
「はい、ユウと言います、よろしくお願いします」
ユウが居住まいを正してぺこりとお辞儀をすれば、ジェイドもそれに答えて、こちらこそ、とにこやかに笑い返す。
それを見て、「何か、うちの世界のジェイド先輩とは違って爽やかだなぁ」と感心した次の瞬間にも、さらっとゆうを膝の上に抱え直したのを見て、執着度合いはこっちの方がヤバそうだと、ユウは脳内で結論づけた。
「ゆうさんが向こうに行かなくても彼女がこちらにこれるのですね」
「そうみたいですね!この鏡すごいです」
「はぁ…良かったです…これで僕の平穏は守られる」
「え…でも私ももう一回くらいはあっちに行きたいな〜なんて…」
「はい?」
「はい、すみません」
目が笑っていないジェイドは恐ろしい。なんだかんだ根っこのところは同じなんだ、そう確信し、逆らわないように心に誓ったのであった。
それはそうと、と、鏡を見返せば、やはり自分の世界が見えるはずもなく、なんなら触れても通り抜けることはできない。
「次の0時ジャストまでは帰れない、か」
「多分そうだねぇ」
「大丈夫かなぁグリム…心配」
「グリム、起きてたの?」
「うん、必死で引っ張ってくれてたんだけど、私だけしか抜けられなかったみたい」
「ふーん…私の時もそうだったけど、やっぱりグリムは通り抜けられないんだ…」
そういえばそうだね、と顔を見合わせて悩むも、そんなことをしていたところでどうにもならない。
そこでジェイドが一言、助け舟を出す。
「このままいても埒が明きません。どうです?時間も時間ですし、とりあえず眠りませんか」
「そうですね。帰れるとしても明日だし…ユウちゃん、もし良かったら隣の部屋、使って?片付けてあるから」
「え?あ、うん、でも…」
ゆうちゃんはどうするの?と、視線で尋ねられたことを受けて、ゆうはにっこり答えた。
「私はジェイド先輩と寝るから気にしないで?」
「や、やっぱりそうなんだ…」
「番が一緒に寝るのに何か問題でも?」
「いえ!全然です!!お邪魔しました!隣、借りるね、おやすみ!」
「うん?うん、おやすみ〜」
そさくさとゆうの自室を後にして、隣の部屋にこもったユウは、頭から布団をかぶって火照った顔を隠すのであった。
「あんなに普通に言われると、どうしたらいいかわかんないよ〜…!」
聞いてはいけない音が聞こえたらどうしよう!と悶々としながら、ぎゅっと目を閉じた午前1時。
夜の帳は下りていった。
日課になりつつある、0時前の鏡チェックをしながら、ユウは小さくため息を落とした。
「はは…こんな引き摺ってちゃダメだよね…」
なんだかんだ言っても、嬉しかったのだ。自分と同じ状況にいる同い年くらいの女の子に出会えた事。
もっと一緒にいれば、このモヤモヤした気持ちもわかりあえたかもしれないのに。
そんな一方的な思いは相手にとって迷惑だったとしても。情報を交換できるだけでも支えになったはずだ。
「そろそろ、こんな事やめなきゃね」
「ユウ、そんなに気を落としたらダメなんだゾ」
「ありがとう、グリム。だいじょ わ、?!」
「ユウ!?」
鏡に触れていた手が、突如支えを失って、ぐらりと身体が揺れた。
奇妙な感覚にユウが自分の手を見ようと視線をやると、その右腕の肘から先が、ない。
状況を整理したいのに脳が思考を停止する。
「え、わたしの、腕が!!」
「おいユウ!どんどん吸い込まれてるんだゾ!?」
「や、ちょ、待って、怖い、死にたくない!!やだあ!!助けてグリム!!」
「さっきから引っ張ってるけど、俺様の力じゃ、げんかい、なん、だ、ゾ!!」
「やだ!!手、引っ張られて、わ、あ、ひ」
「ユウーーーー!!!」
ついに頭も半分無くなって、鏡と目が衝突しそうになったところでユウは自ら意識を手放した。
そうか、私はここで死んでしまうのか。最期にアズール先輩にだけでも挨拶をしたかった。そう思いながら。
*
意識の向こうで誰かの声がこだまする。
「…ちゃん」
(お母さん?お父さん?私のことをちゃん付けで呼ぶのは誰だっけ)
「ユウちゃん」
(ああ…もしかして、あの世ではなくて、戻ってきてしまったのかな)
「ユウちゃんってば!」
「へ?!」
ぱち。ぱち。パチパチ。
ユウが瞼を開くと、まず飛び込んできたのはゆうの顔だった。
「やっと起きたー!」
「え、…え?!」
「ようこそ私のオンボロ寮へ!」
「…えーーーーっ!?」
つまりこれは、まさかの、逆トリップであった。
「う、うそ、本当に?」
「本当みたい!0時ってだけじゃなくて、もしかしたら週末ってことも関係あったのかな」
「な、なるほど…」
「でも、また会えてよかった!またよろしくね!」
「…っ、うん!」
差し出された手を握り返して、ユウは笑った。
それから、ふと視線を泳がせて、すぐそこでじっと見つめるオッドアイに驚いたのも無理はない。
「!?ジェイド先輩がなんでここに!?」
「あはは!これはこっちのジェイド先輩だよ!本当に全く一緒で驚いちゃうよね!」
「あ!そっか?!失礼しましたッ」
「貴女がパラレルワールドの監督生さんですか」
「はい、ユウと言います、よろしくお願いします」
ユウが居住まいを正してぺこりとお辞儀をすれば、ジェイドもそれに答えて、こちらこそ、とにこやかに笑い返す。
それを見て、「何か、うちの世界のジェイド先輩とは違って爽やかだなぁ」と感心した次の瞬間にも、さらっとゆうを膝の上に抱え直したのを見て、執着度合いはこっちの方がヤバそうだと、ユウは脳内で結論づけた。
「ゆうさんが向こうに行かなくても彼女がこちらにこれるのですね」
「そうみたいですね!この鏡すごいです」
「はぁ…良かったです…これで僕の平穏は守られる」
「え…でも私ももう一回くらいはあっちに行きたいな〜なんて…」
「はい?」
「はい、すみません」
目が笑っていないジェイドは恐ろしい。なんだかんだ根っこのところは同じなんだ、そう確信し、逆らわないように心に誓ったのであった。
それはそうと、と、鏡を見返せば、やはり自分の世界が見えるはずもなく、なんなら触れても通り抜けることはできない。
「次の0時ジャストまでは帰れない、か」
「多分そうだねぇ」
「大丈夫かなぁグリム…心配」
「グリム、起きてたの?」
「うん、必死で引っ張ってくれてたんだけど、私だけしか抜けられなかったみたい」
「ふーん…私の時もそうだったけど、やっぱりグリムは通り抜けられないんだ…」
そういえばそうだね、と顔を見合わせて悩むも、そんなことをしていたところでどうにもならない。
そこでジェイドが一言、助け舟を出す。
「このままいても埒が明きません。どうです?時間も時間ですし、とりあえず眠りませんか」
「そうですね。帰れるとしても明日だし…ユウちゃん、もし良かったら隣の部屋、使って?片付けてあるから」
「え?あ、うん、でも…」
ゆうちゃんはどうするの?と、視線で尋ねられたことを受けて、ゆうはにっこり答えた。
「私はジェイド先輩と寝るから気にしないで?」
「や、やっぱりそうなんだ…」
「番が一緒に寝るのに何か問題でも?」
「いえ!全然です!!お邪魔しました!隣、借りるね、おやすみ!」
「うん?うん、おやすみ〜」
そさくさとゆうの自室を後にして、隣の部屋にこもったユウは、頭から布団をかぶって火照った顔を隠すのであった。
「あんなに普通に言われると、どうしたらいいかわかんないよ〜…!」
聞いてはいけない音が聞こえたらどうしよう!と悶々としながら、ぎゅっと目を閉じた午前1時。
夜の帳は下りていった。