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アズール先輩はコロンをつけていると言っていた。
フロイド先輩は、あまり匂いがきついものは嫌いだと言った。
双子の片割れがそう言うくらいだ。ジェイド先輩も匂いものは嫌いなのだろうか?
それは純粋な好奇心だった。
「え?別に付き合ってるなら言えばよくね?ジェイドだったら嬉々として両手広げるでしょ」
『いや…それが問題というかぁ…』
「なんで?え?ジェイドになんかされた?絞めてこうか?」
『違う!大丈夫ですそれはなくて!!…というか…むしろ…』
むしろ大事にされすぎていて、若干、自分がダメ人間への道へ進んでいるのではないかという心配すらあるとは、相談相手がフロイド先輩だからこそ、口が裂けても言えない。
「ん~…俺、ジェイドの部屋に行くとき息止めてっからわかんねぇ~」
『えっ、先輩の部屋って臭いんですか』
「うん。めっちゃ臭い」
『思いもよらなかった言葉で失神しそうです…』
「今から行ってみたらぁ?開店時間までもう少しあるし、部屋いるっしょ」
『いや、そんな、いきなり行ったらそれこそ地獄じゃないですか?』
仮にもお付き合いしている彼氏の部屋から異臭がするともなれば、100年に一度の恋も冷めてしまうというものだろう。
…否。今の私だったら、そんな香りも含めてありのままのジェイド先輩を受け入れてしまいそうだけれども。
「いいじゃん!俺の鼻がおかしいのかもしれないからさぁ~小エビちゃん、確かめてきてよ、ね!」
『え、ちょ、や』
小エビらしくフロイド先輩に肩に担がれて、あっという間に一つの部屋の前に連れてこられてしまった。
「これ、ジェイドの部屋。俺は入りたくないから、小エビちゃん頼むねぇ~!」
コンコン、ジェイド~!
大きな声を出した途端、びゅん!と風のように走っていってしまったフロイド先輩。残された私には「あー!」と嘆くほかできることはなかった。
「フロイド?何かありましたか」
ガチャリ。
すぐに扉が開いてジェイド先輩が顔を覗かせた。
目に毒とは、今使う以外にいつ使う言葉なのだろう。
下こそきちんとスラックスを着ていたものの、上は、寮服の薄紫色のシャツを引っ掛けただけで、肌着なのだろう白いTシャツが丸見えだ。
普段は一部の隙もないほどにかっちりと服を着込んでいる姿でいるせいか、見てはいけないものを見てしまった気持ちが勝って、あわわっと両手で目を隠して挙動不審状態だ。
『あっわっごめんなさいっ!!』
「え?」
一方のジェイド先輩は、まさかこんなところにいるとは予想もされていなかっただろう私がいたことに、少なからず驚いたようで、ポカンという顔をしたのも束の間。次の瞬間には、にこりと綺麗な笑顔を貼り付けた。
「あなたじゃないですか…!僕の部屋まで来てくれたなんて、そんなに僕に会いたかったんですか?」
『あっ…え、とですね、その』
そう話をしている間にも、腕をひかれ腰をとられ、あれよあれよと部屋の中に入らされた私。扉の閉まる音から鍵がかかる音までしっかり耳に届いてしまって、赤面に拍車がかかる。
もちろん、あんな話をされた後だったので無意識に息を止めてしまっていたのだが、ついぞ我慢ができなくなってきて、スゥーーーーーと思い切って息をした私の鼻を掠めた香りは。
『草のにおい…』
「はい?」
『このお部屋…山にいるみたいですね』
「山…あぁ、そうですね、テラリウムをたくさん置いていますから。それから小さい苗床もありますし…」
『う…わぁ!!すごい!これ、ジェイド先輩が作ったんですか?!』
窓際に並べられた大小様々なテラリウムに目を奪われて近寄れば、そこには小さな世界が息づいていて、思わず息が漏れてしまう。
「全て僕の手作りですよ。あなたもご存知の通り、僕は陸のもの…特に山に関心がありますので自分の箱庭とでもいいますか…テラリウム作りにハマってしまいまして。まぁフロイドなんかは部屋に山を作るなと逃げ出してしまうんですけどね」
『ああ、だから臭いって…』
「?」
『いえ、こちらの話でーーー』
言いながら振り返ってみれば、いつの間に近付いたのだろう。ジェイド先輩が私を囲うようにして窓枠に手をついていた。
止められていなかったボタンのせいで、さながらカーテンのように薄紫色のシャツが私と部屋を遮断する。
目の前いっぱいに広がる先輩の身体と、鼻を擽る柔らかな香り。
ウッディというかシプレというか。
とにかく、この香りがジェイド先輩の身体から香っているという事実にくらりと目眩を覚えてしまい、そのまま固まってしまった。
「で?あなたは、男の…彼氏である僕の部屋に一人で来てくださったことをどのようにお考えで?」
『ぅえ!?』
「それともこんな時刻だから何もできないだろうと踏んでですか?」
『ちが…!これは不可抗力といいますか!』
いつの間にやら私の首の後ろに添えられた掌。腰を支える腕。
どうやら私は、ここからタダでは逃げ出せない模様。
それならば
少しくらい、欲を出してもいいかもしれない。
『っ…!失礼します!!』
「!?」
ぎゅ!
さながら、フロイド先輩にされるように、そのまま、目の前の身体に抱きついて。
すーーはーー
思いっきり息をする。
鼻腔を抜けるジェイド先輩の香りは。
『はぅ…!いいにおい…!』
フロイド先輩の嘘つき。
ジェイド先輩のお部屋どころか、先輩自身もとってもいい香りじゃないの…!
グリグリと顔を押し付けて香りを堪能していると、くすぐったかったのか、上からクスクスと控えめな笑い声が聞こえてきた。
それを合図に、ハッと我に返った私は、今度はジェイド先輩から距離を取ろうとするも、そんなことが許されるはずもなく、ガシッと拘束されてしまった。
そのまま抱き上げられたと思えば、ジェイド先輩はベッドの上へ腰掛けて。
私は、その膝の上。
向き合わされて、今しがた自分のしでかしたことに、今度は冷や汗が出てくるのもおかまいなし。
「おやおや…今日はいつもより大胆なんですね?そんなあなたも好き、ですよ。思う存分、堪能してください?」
『!』
甘い声で甘い言葉を囁くジェイド先輩は、そのまま私の唇を塞いだ。
ラウンジの開店時間まで、残すところあと何分?
支配人が呼びにくるまでは、この香りを満喫させて。
フロイド先輩は、あまり匂いがきついものは嫌いだと言った。
双子の片割れがそう言うくらいだ。ジェイド先輩も匂いものは嫌いなのだろうか?
それは純粋な好奇心だった。
「え?別に付き合ってるなら言えばよくね?ジェイドだったら嬉々として両手広げるでしょ」
『いや…それが問題というかぁ…』
「なんで?え?ジェイドになんかされた?絞めてこうか?」
『違う!大丈夫ですそれはなくて!!…というか…むしろ…』
むしろ大事にされすぎていて、若干、自分がダメ人間への道へ進んでいるのではないかという心配すらあるとは、相談相手がフロイド先輩だからこそ、口が裂けても言えない。
「ん~…俺、ジェイドの部屋に行くとき息止めてっからわかんねぇ~」
『えっ、先輩の部屋って臭いんですか』
「うん。めっちゃ臭い」
『思いもよらなかった言葉で失神しそうです…』
「今から行ってみたらぁ?開店時間までもう少しあるし、部屋いるっしょ」
『いや、そんな、いきなり行ったらそれこそ地獄じゃないですか?』
仮にもお付き合いしている彼氏の部屋から異臭がするともなれば、100年に一度の恋も冷めてしまうというものだろう。
…否。今の私だったら、そんな香りも含めてありのままのジェイド先輩を受け入れてしまいそうだけれども。
「いいじゃん!俺の鼻がおかしいのかもしれないからさぁ~小エビちゃん、確かめてきてよ、ね!」
『え、ちょ、や』
小エビらしくフロイド先輩に肩に担がれて、あっという間に一つの部屋の前に連れてこられてしまった。
「これ、ジェイドの部屋。俺は入りたくないから、小エビちゃん頼むねぇ~!」
コンコン、ジェイド~!
大きな声を出した途端、びゅん!と風のように走っていってしまったフロイド先輩。残された私には「あー!」と嘆くほかできることはなかった。
「フロイド?何かありましたか」
ガチャリ。
すぐに扉が開いてジェイド先輩が顔を覗かせた。
目に毒とは、今使う以外にいつ使う言葉なのだろう。
下こそきちんとスラックスを着ていたものの、上は、寮服の薄紫色のシャツを引っ掛けただけで、肌着なのだろう白いTシャツが丸見えだ。
普段は一部の隙もないほどにかっちりと服を着込んでいる姿でいるせいか、見てはいけないものを見てしまった気持ちが勝って、あわわっと両手で目を隠して挙動不審状態だ。
『あっわっごめんなさいっ!!』
「え?」
一方のジェイド先輩は、まさかこんなところにいるとは予想もされていなかっただろう私がいたことに、少なからず驚いたようで、ポカンという顔をしたのも束の間。次の瞬間には、にこりと綺麗な笑顔を貼り付けた。
「あなたじゃないですか…!僕の部屋まで来てくれたなんて、そんなに僕に会いたかったんですか?」
『あっ…え、とですね、その』
そう話をしている間にも、腕をひかれ腰をとられ、あれよあれよと部屋の中に入らされた私。扉の閉まる音から鍵がかかる音までしっかり耳に届いてしまって、赤面に拍車がかかる。
もちろん、あんな話をされた後だったので無意識に息を止めてしまっていたのだが、ついぞ我慢ができなくなってきて、スゥーーーーーと思い切って息をした私の鼻を掠めた香りは。
『草のにおい…』
「はい?」
『このお部屋…山にいるみたいですね』
「山…あぁ、そうですね、テラリウムをたくさん置いていますから。それから小さい苗床もありますし…」
『う…わぁ!!すごい!これ、ジェイド先輩が作ったんですか?!』
窓際に並べられた大小様々なテラリウムに目を奪われて近寄れば、そこには小さな世界が息づいていて、思わず息が漏れてしまう。
「全て僕の手作りですよ。あなたもご存知の通り、僕は陸のもの…特に山に関心がありますので自分の箱庭とでもいいますか…テラリウム作りにハマってしまいまして。まぁフロイドなんかは部屋に山を作るなと逃げ出してしまうんですけどね」
『ああ、だから臭いって…』
「?」
『いえ、こちらの話でーーー』
言いながら振り返ってみれば、いつの間に近付いたのだろう。ジェイド先輩が私を囲うようにして窓枠に手をついていた。
止められていなかったボタンのせいで、さながらカーテンのように薄紫色のシャツが私と部屋を遮断する。
目の前いっぱいに広がる先輩の身体と、鼻を擽る柔らかな香り。
ウッディというかシプレというか。
とにかく、この香りがジェイド先輩の身体から香っているという事実にくらりと目眩を覚えてしまい、そのまま固まってしまった。
「で?あなたは、男の…彼氏である僕の部屋に一人で来てくださったことをどのようにお考えで?」
『ぅえ!?』
「それともこんな時刻だから何もできないだろうと踏んでですか?」
『ちが…!これは不可抗力といいますか!』
いつの間にやら私の首の後ろに添えられた掌。腰を支える腕。
どうやら私は、ここからタダでは逃げ出せない模様。
それならば
少しくらい、欲を出してもいいかもしれない。
『っ…!失礼します!!』
「!?」
ぎゅ!
さながら、フロイド先輩にされるように、そのまま、目の前の身体に抱きついて。
すーーはーー
思いっきり息をする。
鼻腔を抜けるジェイド先輩の香りは。
『はぅ…!いいにおい…!』
フロイド先輩の嘘つき。
ジェイド先輩のお部屋どころか、先輩自身もとってもいい香りじゃないの…!
グリグリと顔を押し付けて香りを堪能していると、くすぐったかったのか、上からクスクスと控えめな笑い声が聞こえてきた。
それを合図に、ハッと我に返った私は、今度はジェイド先輩から距離を取ろうとするも、そんなことが許されるはずもなく、ガシッと拘束されてしまった。
そのまま抱き上げられたと思えば、ジェイド先輩はベッドの上へ腰掛けて。
私は、その膝の上。
向き合わされて、今しがた自分のしでかしたことに、今度は冷や汗が出てくるのもおかまいなし。
「おやおや…今日はいつもより大胆なんですね?そんなあなたも好き、ですよ。思う存分、堪能してください?」
『!』
甘い声で甘い言葉を囁くジェイド先輩は、そのまま私の唇を塞いだ。
ラウンジの開店時間まで、残すところあと何分?
支配人が呼びにくるまでは、この香りを満喫させて。