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星送りの後日、デュースに言われた言葉が、今もあなたの頭から離れない。
あの質問にはどう答えるべきだったんだろう。
『そういえばあなたは今年、願いを捧げていないんだよな』
その言葉にはっきりした言葉を返せず、心苦しかったあの日。
『来年こそは願い星を自分のために使ってみたらどうだ?』
迷いのない瞳は、この先もずっとあなたが『ここ』にいることを信じて疑わない。
『あなたの願い、叶うといいな』
『ありがとう、デュースがいてくれるなら、きっと、叶うね』
「自分の世界に戻れるといいな」というべき、だったんだろうか。
けれど、心の変化はゆっくりゆっくりと進行していて、留まることはなかった。
はぁ、と、中庭で一人、あなたは大きな溜め息をついた。
見上げた空にあるのは、いつもと変わらない輝く太陽。
それはあなたをジリジリと照らすが、それでも、肌に感じる風には確実に秋がにじみ始めているのだから、時の流れは早いものだ。
「私は、いつまでここにいられるのかなぁ」
あなたがそんな悩みを抱えているとはつゆ知らず。
食堂では、部活前の腹ごしらえをしていたデュースが、エースとこんな話をしていた。
「それってさぁ、カントクセーのこと困らせてんじゃねーの?」
「?なんでだ?」
「だってさー、お前、一応カレシな訳だろ、あいつの」
「まっまぁな!!」
「ってことはさ、お前に引き止めて欲しかったんじゃね」
「え?」
「だってあいつの願いなんて、一つしかねーだろ」
「…………あ」
口に入れようとしたオムライスがポロリと皿の上に落ちる。
『やっぱり忘れてたのか』と、エースがこれ見よがしに息を吐いた。
「俺、お前の純粋なとこ嫌いじゃねーけど、そういうのはマジで気をつけたほうがいいと思うぜ」
「…僕はそんなつもり、じゃ」
「そりゃ俺はわかってっけどさ…待て。その様子だともしかしてお前、他にも何か言ったんじゃねーの?」
「…僕が警察官になる日を楽しみにって…バシッと決まった制服姿を見せに行くって…言った」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」
「そんなにか?!」
「あいつに未来のことを考えさせるのは、酷だと思わねぇ?」
そこまで言われて、自分の何がいけなかったのか気づいたデュースは、あたふた慌てる。
だって、あなたはそれに対して『ありがとう』『楽しみにしているね』と声をかけてくれた。
きっとそれは本心だったはずだ。
でも、そういえばあの時、あなたはどんな顔をしていた?
いつもみたいに笑顔だったろうか。それとも。
うまく思い出せない。
「僕、ちょっとあなたを探してくる」
「は?これどうすんの?!」
「エースにやるよ!」
「野郎の食べかけなんていらねーよ!!しかも後一口しかねぇし!!」
「片付けといてくれ!!よろしく!!」
伊達に陸上部じゃない、とでも言いたげに、すごい速さでいなくなったデュースの背を見ながら、『貸し一つだからな』と呟いたエースの言葉は、誰に聞かれることもなかった。
それから十数分後。奇跡的に先生からのお咎めもなしに校舎内を走っていたデュースは、中庭にポツンと座っているあなたの背中を認め、大きく叫ぶ。
「あなたー!!」
「!?」
ものすごい勢いで中庭まで入ってくると、あなたに覆いかぶさるようにして、デュースはベンチに手をついた。
眩しかった太陽は、ひまわり前での告白時のように、デュースによって遮られる。
『ああ、目に青色が眩しい。何も考えずにこの青に溶けてしまえたら、どれだけよかっただろう』そんなことがあなたの頭をよぎった。
「…デュースは…いつも一生懸命だね?部活はどうしたの?」
「はぐらかさないでくれ。…部活よりも、僕はあなたに謝らなきゃいけない」
「何を?デュースが謝ることなんて、一つもないじゃない」
「いや、僕は色々間違えてばかりで、本当に…」
かくり、デュースの首が落ちてきて、その顔はあなたの首元に隠れてしまう。
火照った身体から発される熱が首筋にふわりと伝わってきて、ドキリと心臓が跳ねた。
「僕は、あなたがいないと何もできない」
「そんな、何言ってるの。デュースは一人でも大丈夫だよ?あぁほら、警察官になって一人前の姿をお母さんに」
「制服姿を一番に見せに行くのはあなたにだから」
「え?」
「あなたがどこにいても、一番に見せに行く」
肩口からデュースの熱が離れたと思えば、そのまま片膝をついてあなたの手を握る。
その姿はさながら王子様のようで。
「あなたを困らせたくて言ったんじゃないんだ、本当にごめん」
「…ふふっ…それ、誰に言われたの?」
「エースに、言われて…それまで気づかなかった。ごめん」
「私は、明日すらどうなるかわからない人間だけど、それでも」
握られた手を握り返せば『やっぱり私の願いは一つだけなんだ』と、抑えていた涙が頬を伝った。
「ほんとは、ずっと、デュースの隣にいたい…な、…って、願って…。叶、う、かなぁっ…」
「!」
「デュースがっ、警察官になる日まで、私、と、ずっと、一緒にいてくれる…?」
ポロポロ。
この世界に来ていろんな経験をして、辛いことも悲しいこともあったけど、こんなにも涙が止まらないことはなかったな、と。
そのくらいデュースのことが大好きで、離れたくないと思っているんだと、あなたの頭の冷静な部分が囁く。
その刹那。
ぐい、と身体を引き寄せられて、あなたが収まったのは、デュースの腕の中だった。
「あなたが望んでくれるなら、警察官になる日、なんて言わず、死ぬまで一緒にいる」
「ほん、とに?」
「もちろん!だから、その、前にも言ったけど、僕はあなたを笑顔に…幸せにしたい」
「…う、ん」
「でも、あなたを幸せにするのは、僕だから。それを星に願うのは違うと思ったんだ。僕の手で、幸せにしたいんだ。だから、星に願ったのは将来のことだったし、それが叶ったらかっこいい姿を見せて、それで僕と一緒に暮らそうって言」
「へ?」
「あ」
とんでもない爆弾発言が飛び出した気がして、つい間の抜けた声を出してしまったあなたからバッと距離を取るデュース。
お互い、ぽぽぽ、と顔が真っ赤になってしまって、気まずい沈黙が流れた。
「えーっと…」
「っ…今のは、き、聞かなかったことに、して、くれっ!!」
「え、でも…」
「お願いだ!!」
「…わかった…でも、じゃあ、一つだけ、いい?」
「なんだ?!」
「あの…もしかして、ずっと先の未来まで、考えてくれているの?…私との、こと」
意を決して吐き出された言葉を受け止めたデュースは、真っ赤ながらも胸を張って言った。
「当たり前だろ!!何度プロポーズしたと思ってるんだ!!俺はいつでも本気だから!!」
普段滅多に聞くことがない『俺』を聞いて逆に嬉しくなるあたり、あなたの心はもう、デュースに捕らわれているわけで。
『どこにでも迎えにきてくれるって、マジカルホイールに乗ってきてくれるのかなぁ、かっこいいなぁ』なんて、へにゃ、と笑顔をお返ししたのだった。
『それなら私も、デュースとずーっと一緒に居られるように、頑張るからね』
星に祈らなくたって、二人で永遠に幸せに居られるように。
あの質問にはどう答えるべきだったんだろう。
『そういえばあなたは今年、願いを捧げていないんだよな』
その言葉にはっきりした言葉を返せず、心苦しかったあの日。
『来年こそは願い星を自分のために使ってみたらどうだ?』
迷いのない瞳は、この先もずっとあなたが『ここ』にいることを信じて疑わない。
『あなたの願い、叶うといいな』
『ありがとう、デュースがいてくれるなら、きっと、叶うね』
「自分の世界に戻れるといいな」というべき、だったんだろうか。
けれど、心の変化はゆっくりゆっくりと進行していて、留まることはなかった。
はぁ、と、中庭で一人、あなたは大きな溜め息をついた。
見上げた空にあるのは、いつもと変わらない輝く太陽。
それはあなたをジリジリと照らすが、それでも、肌に感じる風には確実に秋がにじみ始めているのだから、時の流れは早いものだ。
「私は、いつまでここにいられるのかなぁ」
あなたがそんな悩みを抱えているとはつゆ知らず。
食堂では、部活前の腹ごしらえをしていたデュースが、エースとこんな話をしていた。
「それってさぁ、カントクセーのこと困らせてんじゃねーの?」
「?なんでだ?」
「だってさー、お前、一応カレシな訳だろ、あいつの」
「まっまぁな!!」
「ってことはさ、お前に引き止めて欲しかったんじゃね」
「え?」
「だってあいつの願いなんて、一つしかねーだろ」
「…………あ」
口に入れようとしたオムライスがポロリと皿の上に落ちる。
『やっぱり忘れてたのか』と、エースがこれ見よがしに息を吐いた。
「俺、お前の純粋なとこ嫌いじゃねーけど、そういうのはマジで気をつけたほうがいいと思うぜ」
「…僕はそんなつもり、じゃ」
「そりゃ俺はわかってっけどさ…待て。その様子だともしかしてお前、他にも何か言ったんじゃねーの?」
「…僕が警察官になる日を楽しみにって…バシッと決まった制服姿を見せに行くって…言った」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」
「そんなにか?!」
「あいつに未来のことを考えさせるのは、酷だと思わねぇ?」
そこまで言われて、自分の何がいけなかったのか気づいたデュースは、あたふた慌てる。
だって、あなたはそれに対して『ありがとう』『楽しみにしているね』と声をかけてくれた。
きっとそれは本心だったはずだ。
でも、そういえばあの時、あなたはどんな顔をしていた?
いつもみたいに笑顔だったろうか。それとも。
うまく思い出せない。
「僕、ちょっとあなたを探してくる」
「は?これどうすんの?!」
「エースにやるよ!」
「野郎の食べかけなんていらねーよ!!しかも後一口しかねぇし!!」
「片付けといてくれ!!よろしく!!」
伊達に陸上部じゃない、とでも言いたげに、すごい速さでいなくなったデュースの背を見ながら、『貸し一つだからな』と呟いたエースの言葉は、誰に聞かれることもなかった。
それから十数分後。奇跡的に先生からのお咎めもなしに校舎内を走っていたデュースは、中庭にポツンと座っているあなたの背中を認め、大きく叫ぶ。
「あなたー!!」
「!?」
ものすごい勢いで中庭まで入ってくると、あなたに覆いかぶさるようにして、デュースはベンチに手をついた。
眩しかった太陽は、ひまわり前での告白時のように、デュースによって遮られる。
『ああ、目に青色が眩しい。何も考えずにこの青に溶けてしまえたら、どれだけよかっただろう』そんなことがあなたの頭をよぎった。
「…デュースは…いつも一生懸命だね?部活はどうしたの?」
「はぐらかさないでくれ。…部活よりも、僕はあなたに謝らなきゃいけない」
「何を?デュースが謝ることなんて、一つもないじゃない」
「いや、僕は色々間違えてばかりで、本当に…」
かくり、デュースの首が落ちてきて、その顔はあなたの首元に隠れてしまう。
火照った身体から発される熱が首筋にふわりと伝わってきて、ドキリと心臓が跳ねた。
「僕は、あなたがいないと何もできない」
「そんな、何言ってるの。デュースは一人でも大丈夫だよ?あぁほら、警察官になって一人前の姿をお母さんに」
「制服姿を一番に見せに行くのはあなたにだから」
「え?」
「あなたがどこにいても、一番に見せに行く」
肩口からデュースの熱が離れたと思えば、そのまま片膝をついてあなたの手を握る。
その姿はさながら王子様のようで。
「あなたを困らせたくて言ったんじゃないんだ、本当にごめん」
「…ふふっ…それ、誰に言われたの?」
「エースに、言われて…それまで気づかなかった。ごめん」
「私は、明日すらどうなるかわからない人間だけど、それでも」
握られた手を握り返せば『やっぱり私の願いは一つだけなんだ』と、抑えていた涙が頬を伝った。
「ほんとは、ずっと、デュースの隣にいたい…な、…って、願って…。叶、う、かなぁっ…」
「!」
「デュースがっ、警察官になる日まで、私、と、ずっと、一緒にいてくれる…?」
ポロポロ。
この世界に来ていろんな経験をして、辛いことも悲しいこともあったけど、こんなにも涙が止まらないことはなかったな、と。
そのくらいデュースのことが大好きで、離れたくないと思っているんだと、あなたの頭の冷静な部分が囁く。
その刹那。
ぐい、と身体を引き寄せられて、あなたが収まったのは、デュースの腕の中だった。
「あなたが望んでくれるなら、警察官になる日、なんて言わず、死ぬまで一緒にいる」
「ほん、とに?」
「もちろん!だから、その、前にも言ったけど、僕はあなたを笑顔に…幸せにしたい」
「…う、ん」
「でも、あなたを幸せにするのは、僕だから。それを星に願うのは違うと思ったんだ。僕の手で、幸せにしたいんだ。だから、星に願ったのは将来のことだったし、それが叶ったらかっこいい姿を見せて、それで僕と一緒に暮らそうって言」
「へ?」
「あ」
とんでもない爆弾発言が飛び出した気がして、つい間の抜けた声を出してしまったあなたからバッと距離を取るデュース。
お互い、ぽぽぽ、と顔が真っ赤になってしまって、気まずい沈黙が流れた。
「えーっと…」
「っ…今のは、き、聞かなかったことに、して、くれっ!!」
「え、でも…」
「お願いだ!!」
「…わかった…でも、じゃあ、一つだけ、いい?」
「なんだ?!」
「あの…もしかして、ずっと先の未来まで、考えてくれているの?…私との、こと」
意を決して吐き出された言葉を受け止めたデュースは、真っ赤ながらも胸を張って言った。
「当たり前だろ!!何度プロポーズしたと思ってるんだ!!俺はいつでも本気だから!!」
普段滅多に聞くことがない『俺』を聞いて逆に嬉しくなるあたり、あなたの心はもう、デュースに捕らわれているわけで。
『どこにでも迎えにきてくれるって、マジカルホイールに乗ってきてくれるのかなぁ、かっこいいなぁ』なんて、へにゃ、と笑顔をお返ししたのだった。
『それなら私も、デュースとずーっと一緒に居られるように、頑張るからね』
星に祈らなくたって、二人で永遠に幸せに居られるように。