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どうにも身体がうまく動かせないと思ったのが二日前。
保健室に行ってみれば、胃腸が弱っているようですね、と言われた。
そういえば、少し前から何を食べても気持ちが悪かったり、場合によっては吐いてしまったりしていたなと、思い返す。
胃腸が疲れているときは、とにかく休ませるに限る。先生にも話をして、とりあえず二〜三日欠席させてもらうことにした。
この学校で過ごすこと自体も、これまでと全く違う環境だったわけで、割と心身に負担をかけていたのかもしれない。
グリムには、私がいない分ノートをとったりしてもらうために、エーデュースとともに授業に出てもらっているので、今は私一人。
オンボロ寮のベッドの中で、重い身体に働かない頭で。
寝返りを打つのは、私だけ。
「こんな静かなことは久しぶりだな…」
スッと、瞼を閉じた時だった。
「こーえーびーちゃ〜ん…?」
「!?」
小さな、しかし私を引き寄せてやまない特徴のある声が、頭の上に降ってきた。
驚いて瞳を開けると思い浮かべた通りの顔が私を覗き込んでいて、逆に熱が上がってしまいそうだった。
「フロイド、先輩…どうしてここに?」
「アザラシちゃんに聞いた〜」
「アザラシ…グリムですか…」
「そ〜そ〜。小エビちゃん、体調不良なんでしょ?何回も戻してるって聞いたんだけど」
グリム…余計なことを…。でも…これはこれでグリムの優しさなんだろう。ここはありがとう、と言わなければいけないのかもな。
そんなことを考えながら、少しだけうなづいて、合ってます、の意思表示をした。
「は〜…あのさ、小エビちゃん。オレ、小エビちゃんのカレシになったってことであってるよね?」
「はい…あってますね」
「なのにさ、こういうことを黙ってるって、どゆこと?」
「…?」
「そーゆーとこだよ?弱ってるんならさ、一番に呼んで欲しかったんだけど〜。メッセとかなんでもあるじゃん」
「!」
なるほど。病気だから休みますって、言った方が良かったのか。でも、こんな、病気なんて、寝ていれば大抵は治るものだし大事にしたくなくて…という気持ちを伝えたかったのだが、思いもよらず身体がだるくて、うまく声が出てこなかった。仕方なく視線だけでそれを訴えると、フロイド先輩はその気持ちを汲み取ってくれた様子で『はぁー』ともう一度ため息をついた。
それから徐ろにベッドの淵に座ったフロイド先輩は、私の額に手を当てて、あっつ〜、と苦笑した。
「あのさ、小エビちゃん。オレ、これでもすっごい心配してんだよね」
「…」
「カノジョの力にもなれないとか、嫌じゃん。好きな子が大変な時くらい、近くにいたいし、助けてあげてぇわけ」
「近くに、いてくれるんですか」
「あは…そんなにヒトデナシに見える?オレ」
「そういうわけじゃ、ないですけど…」
ま、オレ人魚だけど〜とケラケラ笑って、それから少し目を細めて。
フロイド先輩があまり見せることのない…というか、私にしか向けることのない、優しい目で言った。
「小エビちゃん、オレ多分、小エビちゃんが思ってるより、小エビちゃんのこと好きだよ」
「へ…?」
額から、髪へ。
ゆっくりと行ったり来たりするフロイド先輩の手は、私よりも冷たくて気持ちが良かった。
トロンとしてくる視界。あぁ、もったいない。フロイド先輩がせっかく来てくれているのに。眠ってしまうなんて。もう少し秘密のお喋りを楽しんでいたいのに。
「だからさ、小エビちゃんがいないの、寂しくて仕方ないわけ。ゆっくり寝てさ、オレのために早く治して。そんでまた、一緒にお昼寝したり、笑ったりして、楽しいことたくさんしよ〜ね」
「は…い…」
「小エビちゃん…おやすみ。ずっとここにいるからさ、安心してよねぇ」
今度こそしっかりと閉じた瞼と、遠のく意識。
フロイド先輩の優しさをその手から感じながら。ふわふわと夢の世界に落ちていく。
起きたらちゃんと言わなくっちゃ。『私も先輩が大好きですよ。来てくれて、嬉しかったです』って。
フロイド先輩に頭を撫でていてもらったら、どんな病気でも一瞬で飛んで行ってしまいますね。
痛い痛いの飛んでいけの魔法は、どこの世界でも健在なんですね、って。
保健室に行ってみれば、胃腸が弱っているようですね、と言われた。
そういえば、少し前から何を食べても気持ちが悪かったり、場合によっては吐いてしまったりしていたなと、思い返す。
胃腸が疲れているときは、とにかく休ませるに限る。先生にも話をして、とりあえず二〜三日欠席させてもらうことにした。
この学校で過ごすこと自体も、これまでと全く違う環境だったわけで、割と心身に負担をかけていたのかもしれない。
グリムには、私がいない分ノートをとったりしてもらうために、エーデュースとともに授業に出てもらっているので、今は私一人。
オンボロ寮のベッドの中で、重い身体に働かない頭で。
寝返りを打つのは、私だけ。
「こんな静かなことは久しぶりだな…」
スッと、瞼を閉じた時だった。
「こーえーびーちゃ〜ん…?」
「!?」
小さな、しかし私を引き寄せてやまない特徴のある声が、頭の上に降ってきた。
驚いて瞳を開けると思い浮かべた通りの顔が私を覗き込んでいて、逆に熱が上がってしまいそうだった。
「フロイド、先輩…どうしてここに?」
「アザラシちゃんに聞いた〜」
「アザラシ…グリムですか…」
「そ〜そ〜。小エビちゃん、体調不良なんでしょ?何回も戻してるって聞いたんだけど」
グリム…余計なことを…。でも…これはこれでグリムの優しさなんだろう。ここはありがとう、と言わなければいけないのかもな。
そんなことを考えながら、少しだけうなづいて、合ってます、の意思表示をした。
「は〜…あのさ、小エビちゃん。オレ、小エビちゃんのカレシになったってことであってるよね?」
「はい…あってますね」
「なのにさ、こういうことを黙ってるって、どゆこと?」
「…?」
「そーゆーとこだよ?弱ってるんならさ、一番に呼んで欲しかったんだけど〜。メッセとかなんでもあるじゃん」
「!」
なるほど。病気だから休みますって、言った方が良かったのか。でも、こんな、病気なんて、寝ていれば大抵は治るものだし大事にしたくなくて…という気持ちを伝えたかったのだが、思いもよらず身体がだるくて、うまく声が出てこなかった。仕方なく視線だけでそれを訴えると、フロイド先輩はその気持ちを汲み取ってくれた様子で『はぁー』ともう一度ため息をついた。
それから徐ろにベッドの淵に座ったフロイド先輩は、私の額に手を当てて、あっつ〜、と苦笑した。
「あのさ、小エビちゃん。オレ、これでもすっごい心配してんだよね」
「…」
「カノジョの力にもなれないとか、嫌じゃん。好きな子が大変な時くらい、近くにいたいし、助けてあげてぇわけ」
「近くに、いてくれるんですか」
「あは…そんなにヒトデナシに見える?オレ」
「そういうわけじゃ、ないですけど…」
ま、オレ人魚だけど〜とケラケラ笑って、それから少し目を細めて。
フロイド先輩があまり見せることのない…というか、私にしか向けることのない、優しい目で言った。
「小エビちゃん、オレ多分、小エビちゃんが思ってるより、小エビちゃんのこと好きだよ」
「へ…?」
額から、髪へ。
ゆっくりと行ったり来たりするフロイド先輩の手は、私よりも冷たくて気持ちが良かった。
トロンとしてくる視界。あぁ、もったいない。フロイド先輩がせっかく来てくれているのに。眠ってしまうなんて。もう少し秘密のお喋りを楽しんでいたいのに。
「だからさ、小エビちゃんがいないの、寂しくて仕方ないわけ。ゆっくり寝てさ、オレのために早く治して。そんでまた、一緒にお昼寝したり、笑ったりして、楽しいことたくさんしよ〜ね」
「は…い…」
「小エビちゃん…おやすみ。ずっとここにいるからさ、安心してよねぇ」
今度こそしっかりと閉じた瞼と、遠のく意識。
フロイド先輩の優しさをその手から感じながら。ふわふわと夢の世界に落ちていく。
起きたらちゃんと言わなくっちゃ。『私も先輩が大好きですよ。来てくれて、嬉しかったです』って。
フロイド先輩に頭を撫でていてもらったら、どんな病気でも一瞬で飛んで行ってしまいますね。
痛い痛いの飛んでいけの魔法は、どこの世界でも健在なんですね、って。