未入力の場合は、あなた、が設定されます
other
名前変換設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
やっと一週間が終わって、明日はお休み!!慣れないこの魔法世界で生きていると、毎日思った以上に疲労が溜まる。お休みが来るたびに、デロデロのドロドロになってベッドの上で寝転がることしかできない。
ここ最近はデュースと遊んだりすることも多かったので、週末の連休は久しぶりな気がするなぁ、と天井を見上げながら思う。
このままゴロゴロとだけしていたい。
けれどどうやってもお腹は空いてくるもので、残念ながら私はそろそろベッドから起き上がらなければならないらしい。
グゥ、と鳴るお腹を恨めしく思いつつ、確か菓子パンをストックしておいたはずだ、と身体を起こした。
昼になっても着替えることもしなくていい休日らしく、ゆるゆるのハーフパンツにかろうじて上下セットのパーカーを羽織ったまま、談話室へと向かう。
とんとんとん、静かな寮に響く私の足音。外からは『夏はまだ続いているぞ』とでも言いたげな強い日差しが差し込んで、色濃い影を作る。
廊下にもカーテンを導入した方がよさそうだな、なんて思いながら、階段を下りきった、その時だった。
「なんで言ってくれないんだーーーーっ!!」
「何事?!?!??!」
バン!大きな音がして、オンボロ寮に飛び込んできたのはデュース。
なぜ鍵が閉まっていないんだろう?と思ったが、グリムがいないということはそういうことだろう。
ずかずかとこちらに近づいてくるデュースは、休日だというのに体操着を着ていた。
額には玉のような汗が浮かんでおり、外は相当に暑かったんだろうと思わせる。若干息も上がっていて『走ってきたのかな、どうしてそんなに急いでいるんだろう』とどうでもいいことだけが頭を巡った。
「なぁ!」
「え、あ、何っ?」
「どうして教えてくれなかったんだ?!俺たち付き合ってるんだろう?!」
「えええとおおおだから何がどうしたのおおお?」
肩を掴まれてガクガクと身体を揺らされる。うん、いよいよわからなくなってきた。
暫く、私が戸惑っていることに気づいたのか『すまない!』と言って手を離してくれたけれど、余韻でぐわんぐわんする。
「なんで、ジャックが知ってて僕が知らないんだ」
「…あの、ごめんデュース、なんの話?」
「誕生日!」
「へ?」
「誕生日…僕が祝う前に過ぎてしまった…ジャックにさっき聞いたんだ…」
誕生日…?あぁ、私の誕生日は確かにもう過ぎてしまっている。そういえばその話をしていた時、デュースはそこにいなかった気がする。
目と鼻の先にいるデュースがしゅんと項垂れるその姿は、犬のようでなんだか可愛い。
「僕にも教えてほしかった…」
「ごめんね…?ジャックとはたまたたま雑談してたらそういう話になったんだよ。ただ、こういうのは自分から話すと、何かプレゼントをねだってるみたいで気がひけるじゃない?」
「そんなことはない!!もっとねだっていいんだぞ!?僕は、かっ、彼氏なんだから!!何か欲しい物とか、ないのか?!」
「え、う、うーん…?突然言われても…?」
「お前のことは、なんでも知りたい!!」
「っ、そ、そう、デスカ…」
またそういうことを無意識に言う…!と知らず顔に集まる熱を振り払いたくとも、もはや壁ドンの勢いで追い詰められ、囲われているので、自分の頬を触ることもできない。
そもそも、デュースにはあまりそう言った負担をかけたくないのだ。卵の安売りなどに目がないデュースにモノをねだるなどもっての外だと常々思っていた。そんなことをするくらいなら、お母さんに何かしてあげてほしい。
でも、デュースが『私に何かしたい』という気持ちを無碍にするのも気が引ける。困った。どうしよう。何が最善策なんだろう。
そんな悩みを巡らせる私の目の前にはデュースの首筋。少し目線をあげると、そこにはデュースの唇が。
そこで、これならデュースも諦めてくれるかも、とある一つの妙案が頭に浮かんだ。
「デュース、デュース、実は私、一つ、ほしいものがあって」
「!なんだ!なんでも言ってくれ!」
「えっと…大きな声では言いにくいから、耳を貸してくれる?」
「わかった!」
素直なところがデュースのいいところではあるのだけれど、少し心配になるな、と思いつつ、私の方に向けられたその耳にそっと囁く。
「デュースとキス、したいんだけど」
瞬間、ピシッと音がしてデュースは固まってしまった。
よし。これなら諦めてくれそうだ。我ながらなかなか良い抜け道を用意できたな。
「でも、私たちにはまだ早いよね。ごめんね?そういうことだからーー」
「っする」
「え?」
「ほしいんだろう、キスが。するよ」
「?!エッ、いや、あの」
「目、閉じてくれ」
えっ、うそ、そんな。
本気にされるなんて思わなかった、なんて言ってももう遅い。
こんな軽口を叩いたことを後悔した。デュースの純情を弄んだ罰かもしれない。
ごめんなさい、デュースのお母さん。私、悪い女です。息子さんにこんなことを。
デュースも。私のこと大切にしてくれてるのは痛いほどわかってるのにこんな、こんなこと。
近づいてくるデュースの端正な顔は『覚悟を決めた男に二言はない』とでも言いたげに留まることはない。
ふ、と、その吐息が唇にかかった。
ああもう、本当にーーーと目を閉じようとした瞬間。
「「デューーーーーーーース!!」」
「え、」
「っ!?」
グリムとジャックの声が重なって聞こえたと思ったら、バン!と本日二度目の大きな音を立ててオンボロ寮の入り口が開いた。
せっかく綺麗に修復した扉をそんな風に扱わないでと思ったが、今はそれよりも、その大声に驚いてすごい勢いで距離をとったデュースのことが心配。
「デュース!なんで勝手に部活抜けてったんだ!?今日は練習試合するっつったろうが!」
「デュースがいないと練習試合にならないんだゾ!?リレーなんだからな!」
「あっ…いや…」
「子分からも言うんだゾ!デュースはお前のことばっかりなんだゾ!」
「え?私?」
「監督生、陸上部の試合、一度見にきてやれ。デュースの士気が上がると思うから」
両手を挙げて、僕は何もしていないアピールをしたままのデュースは、そのままの体勢でこれ以上ないほどに顔を赤く染めた。
さっき私にキスしようとした時にもそこまで赤くならなかったのに、と笑いがこみ上げる。
「ふ、ふふっ…!」
「どうかしたのか監督生」
「う、ううんっ…!タイミング良かった…!ジャックもグリムもデュースを迎えにきてくれたんだよね?」
「そうだゾ!こんなことしてる場合じゃないんだゾ!早く戻るんだゾ、デュース!」
「エッ!ちょ、僕はまだ、」
「監督生、なんか話途中だったみたいで申し訳ないが、デュースは連れて行くな?」
「うん、全然大丈夫!また後で」
「ちょ、ほんとに、今大事なところで!」
「デュース!」
「な、なんだ?」
「やっぱりお願いごと、変更!」
「へ?」
「応援に行かせて!今から!」
それだけ言って、私は自分の部屋に引き返した。背中に向かってデュースが何か言っていたけれど、聞かないふり。
今から着替えて、それから菓子パンをひっつかんだら、デュースの勇姿を見に行こう。
かっこいい姿を思う存分見せてもらって、それがプレゼントになったよ、って言うんだ。
キスは、そうだな、本選で優勝したらまた改めてお願いするねって言ったら、もっと士気を上げてもらえるかな、なんて期待しながら。
ここ最近はデュースと遊んだりすることも多かったので、週末の連休は久しぶりな気がするなぁ、と天井を見上げながら思う。
このままゴロゴロとだけしていたい。
けれどどうやってもお腹は空いてくるもので、残念ながら私はそろそろベッドから起き上がらなければならないらしい。
グゥ、と鳴るお腹を恨めしく思いつつ、確か菓子パンをストックしておいたはずだ、と身体を起こした。
昼になっても着替えることもしなくていい休日らしく、ゆるゆるのハーフパンツにかろうじて上下セットのパーカーを羽織ったまま、談話室へと向かう。
とんとんとん、静かな寮に響く私の足音。外からは『夏はまだ続いているぞ』とでも言いたげな強い日差しが差し込んで、色濃い影を作る。
廊下にもカーテンを導入した方がよさそうだな、なんて思いながら、階段を下りきった、その時だった。
「なんで言ってくれないんだーーーーっ!!」
「何事?!?!??!」
バン!大きな音がして、オンボロ寮に飛び込んできたのはデュース。
なぜ鍵が閉まっていないんだろう?と思ったが、グリムがいないということはそういうことだろう。
ずかずかとこちらに近づいてくるデュースは、休日だというのに体操着を着ていた。
額には玉のような汗が浮かんでおり、外は相当に暑かったんだろうと思わせる。若干息も上がっていて『走ってきたのかな、どうしてそんなに急いでいるんだろう』とどうでもいいことだけが頭を巡った。
「なぁ!」
「え、あ、何っ?」
「どうして教えてくれなかったんだ?!俺たち付き合ってるんだろう?!」
「えええとおおおだから何がどうしたのおおお?」
肩を掴まれてガクガクと身体を揺らされる。うん、いよいよわからなくなってきた。
暫く、私が戸惑っていることに気づいたのか『すまない!』と言って手を離してくれたけれど、余韻でぐわんぐわんする。
「なんで、ジャックが知ってて僕が知らないんだ」
「…あの、ごめんデュース、なんの話?」
「誕生日!」
「へ?」
「誕生日…僕が祝う前に過ぎてしまった…ジャックにさっき聞いたんだ…」
誕生日…?あぁ、私の誕生日は確かにもう過ぎてしまっている。そういえばその話をしていた時、デュースはそこにいなかった気がする。
目と鼻の先にいるデュースがしゅんと項垂れるその姿は、犬のようでなんだか可愛い。
「僕にも教えてほしかった…」
「ごめんね…?ジャックとはたまたたま雑談してたらそういう話になったんだよ。ただ、こういうのは自分から話すと、何かプレゼントをねだってるみたいで気がひけるじゃない?」
「そんなことはない!!もっとねだっていいんだぞ!?僕は、かっ、彼氏なんだから!!何か欲しい物とか、ないのか?!」
「え、う、うーん…?突然言われても…?」
「お前のことは、なんでも知りたい!!」
「っ、そ、そう、デスカ…」
またそういうことを無意識に言う…!と知らず顔に集まる熱を振り払いたくとも、もはや壁ドンの勢いで追い詰められ、囲われているので、自分の頬を触ることもできない。
そもそも、デュースにはあまりそう言った負担をかけたくないのだ。卵の安売りなどに目がないデュースにモノをねだるなどもっての外だと常々思っていた。そんなことをするくらいなら、お母さんに何かしてあげてほしい。
でも、デュースが『私に何かしたい』という気持ちを無碍にするのも気が引ける。困った。どうしよう。何が最善策なんだろう。
そんな悩みを巡らせる私の目の前にはデュースの首筋。少し目線をあげると、そこにはデュースの唇が。
そこで、これならデュースも諦めてくれるかも、とある一つの妙案が頭に浮かんだ。
「デュース、デュース、実は私、一つ、ほしいものがあって」
「!なんだ!なんでも言ってくれ!」
「えっと…大きな声では言いにくいから、耳を貸してくれる?」
「わかった!」
素直なところがデュースのいいところではあるのだけれど、少し心配になるな、と思いつつ、私の方に向けられたその耳にそっと囁く。
「デュースとキス、したいんだけど」
瞬間、ピシッと音がしてデュースは固まってしまった。
よし。これなら諦めてくれそうだ。我ながらなかなか良い抜け道を用意できたな。
「でも、私たちにはまだ早いよね。ごめんね?そういうことだからーー」
「っする」
「え?」
「ほしいんだろう、キスが。するよ」
「?!エッ、いや、あの」
「目、閉じてくれ」
えっ、うそ、そんな。
本気にされるなんて思わなかった、なんて言ってももう遅い。
こんな軽口を叩いたことを後悔した。デュースの純情を弄んだ罰かもしれない。
ごめんなさい、デュースのお母さん。私、悪い女です。息子さんにこんなことを。
デュースも。私のこと大切にしてくれてるのは痛いほどわかってるのにこんな、こんなこと。
近づいてくるデュースの端正な顔は『覚悟を決めた男に二言はない』とでも言いたげに留まることはない。
ふ、と、その吐息が唇にかかった。
ああもう、本当にーーーと目を閉じようとした瞬間。
「「デューーーーーーーース!!」」
「え、」
「っ!?」
グリムとジャックの声が重なって聞こえたと思ったら、バン!と本日二度目の大きな音を立ててオンボロ寮の入り口が開いた。
せっかく綺麗に修復した扉をそんな風に扱わないでと思ったが、今はそれよりも、その大声に驚いてすごい勢いで距離をとったデュースのことが心配。
「デュース!なんで勝手に部活抜けてったんだ!?今日は練習試合するっつったろうが!」
「デュースがいないと練習試合にならないんだゾ!?リレーなんだからな!」
「あっ…いや…」
「子分からも言うんだゾ!デュースはお前のことばっかりなんだゾ!」
「え?私?」
「監督生、陸上部の試合、一度見にきてやれ。デュースの士気が上がると思うから」
両手を挙げて、僕は何もしていないアピールをしたままのデュースは、そのままの体勢でこれ以上ないほどに顔を赤く染めた。
さっき私にキスしようとした時にもそこまで赤くならなかったのに、と笑いがこみ上げる。
「ふ、ふふっ…!」
「どうかしたのか監督生」
「う、ううんっ…!タイミング良かった…!ジャックもグリムもデュースを迎えにきてくれたんだよね?」
「そうだゾ!こんなことしてる場合じゃないんだゾ!早く戻るんだゾ、デュース!」
「エッ!ちょ、僕はまだ、」
「監督生、なんか話途中だったみたいで申し訳ないが、デュースは連れて行くな?」
「うん、全然大丈夫!また後で」
「ちょ、ほんとに、今大事なところで!」
「デュース!」
「な、なんだ?」
「やっぱりお願いごと、変更!」
「へ?」
「応援に行かせて!今から!」
それだけ言って、私は自分の部屋に引き返した。背中に向かってデュースが何か言っていたけれど、聞かないふり。
今から着替えて、それから菓子パンをひっつかんだら、デュースの勇姿を見に行こう。
かっこいい姿を思う存分見せてもらって、それがプレゼントになったよ、って言うんだ。
キスは、そうだな、本選で優勝したらまた改めてお願いするねって言ったら、もっと士気を上げてもらえるかな、なんて期待しながら。