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ザッザッザッ
一定の速度で何やらを引っ掻く音が学園に鳴り響く。
「なぁ〜んでオレがこんなことしなきゃいけねぇの!」
メインストリートを行ったり来たり。
音を鳴らしているのは、大きな箒とそれを動かすフロイド・リーチ。
彼と同じクラスの「稚魚」に聞くところによれば、毎度毎度居眠りに逃走それからサボりのコンボのため、先生のお怒りを食らったのだとか。
言いつけられたのはメインストリートの掃き掃除。
魔法を使えば一発で終わるこの掃除であるが、もちろんマジカルペンは取り上げられた上での罰則である。
「あ〜!もう!おわんねぇよこんなの!」
見る人が見れば、そんなに適当にやっていたらいつまで経っても終わらないだろうと言うだろう。
その掃除の仕方は、まさしく自由なフロイドそのものだ。
「もうヤダ!掃いても掃いても葉っぱ増えるし!なんなの!」
高い空に向かって大声で騒いでも終わることのないこの罰則に、もう一度、小さく「もうヤダ…」と呟いたと思えば、フロイドは道に座り込んでしまった。
「あれ?フロイド先輩、そんなところで何をしているんですか?」
「!」
そこに現れたのは、フロイドの救世主。彼が「小エビ」と称した監督生。
しゅん、とうなだれている姿は、その体躯に似合わず幼稚園児のような空気を纏っていて、監督生はなんだか可愛いなと笑みを漏らす。
「えっと、その箒…メインストリートのお掃除当番ですか?…ってでも生徒がこんなところ掃除してるのみたことないですけど…」
「小エビちゃーーーーーーん!!」
「わ、っと!?」
座っていた場所から立ち上がるついでに飛び跳ねた勢いで抱きしめに来た大きな身体を避けられるはずもなく、監督生はよろりとしたが、そこはパルクールをもこなすフロイドからされただけあって、硬いコンクリートの上に倒れるなんてことにはならなかった。
ぎゅーーっと抱きしめられたと思ったら、そのままストンとストリートのど真ん中に腰を落とされる。
「オレねー今、お仕置き受け中なのー」
「お仕置き?」
「なんかさぁ、先生のお怒り買っちゃってー。そんで掃除してこいって。でも全然おわんねーの!掃いてもスーグ葉っぱ降ってくるし!」
「あ〜…これだけ広いと確かに全部綺麗にするのは難しいかもしれないですね」
「でしょ!?だからもうやめよっかなって思ってたところに小エビちゃんが来てくれたから、やっぱりやめていいってことだよねぇ〜!」
「え?あはは…いや、それは、どうでしょう…先生にもよるかも…?…あっ!いいこと考えました!私も一緒に掃除します!」
その言葉に、キラッと目を輝かせたフロイドの機嫌はもう完全復活だ。本人は気づいているのかいないのかわからないが、【小エビちゃんと一緒にいられる】こと、それは彼の原動力なのだから。
じゃあ私が掃くのでフロイド先輩はその袋の中にどんどん葉っぱを入れていってくださいね、と役割分担をして、早速作業に取り掛かる。
監督生はさすがあのオンボロ寮を綺麗にしただけあって、掃除の手際はものすごく良かった。
そのおかげで、ずいぶん作業が捗って、どんどん綺麗になっていくストリート。
「小エビちゃんスゲー。オレじゃこんな風にできねぇよ〜」
「えー?そんなことないですよ?私がすごい…あぁ、違います!それはフロイド先輩がいるからです、だからこんなに捗るんですね!」
しゃがんで袋を開けているフロイドは、下から監督生を見上げ、そのタレ目をまん丸にした。
が、にっこり微笑む監督生の笑顔の後ろにあった沈みかかった太陽が眩しくて、すぐに目を細めて下を向く。
(小エビちゃんが隣にいると、なんだかいい気分だなぁ)なんてらしくもない考えがよぎって、どうにも胸がムズムズした。
「よし!これで終わりですね!日が暮れる前に終わって良かった!」
「ありがとね〜小エビちゃん。助かっちゃった〜。あとでお礼のハグするから」
「あはは…!お礼って、いつもしてるじゃないですか!」
「あれはあれ、これはこれ、だってば〜」
「ふふ、じゃあ、よろしくお願いしますね!っと…そういえば、この葉っぱたちはどこに捨てに行くんですか?」
「えっとね、焼却炉があるから〜…そこに捨てに行くんだけど、それはオレがやってくるからダイジョウブ〜」
「…」
焼却炉、と聞いて、監督生が「ふむ」と顎に手を当てる。
その様子を見て、どうしたのか、とフロイドが声をかける前に、発されたのは、お誘いの言葉だった。
「フロイド先輩、今から時間、ありますか?」
「ん?ウン、今日はシフトもねぇし、この箒だけ返して代わりにマジカルペン返してもらったら暇〜」
「じゃあ、もし良かったらーー」
数十分後、オンボロ寮前では、拾った落ち葉たちで焚き火…もとい、焼き芋パーティが行われていた。
参加者は、監督生にフロイド、それからグリム。
「せっかく集めた落ち葉なので、楽しんじゃいましょう!」
「炎は任せて〜!ってかこれ楽し〜」
「あっ!フロイド先輩、ダメです!落ち葉で遊ばないでくださいっ!」
「ダイジョーブダイジョーブ!マジカルペンがあればすーぐ集まんだから!」
楽しげな声は、一番星が空に輝いてもオンボロ寮にこだまする。
罰を受けるのも結構悪くないかもな。
そんなことを思ってしまったのだから、今後もフロイドの受講スタイルが変わることはないのだろう。
一定の速度で何やらを引っ掻く音が学園に鳴り響く。
「なぁ〜んでオレがこんなことしなきゃいけねぇの!」
メインストリートを行ったり来たり。
音を鳴らしているのは、大きな箒とそれを動かすフロイド・リーチ。
彼と同じクラスの「稚魚」に聞くところによれば、毎度毎度居眠りに逃走それからサボりのコンボのため、先生のお怒りを食らったのだとか。
言いつけられたのはメインストリートの掃き掃除。
魔法を使えば一発で終わるこの掃除であるが、もちろんマジカルペンは取り上げられた上での罰則である。
「あ〜!もう!おわんねぇよこんなの!」
見る人が見れば、そんなに適当にやっていたらいつまで経っても終わらないだろうと言うだろう。
その掃除の仕方は、まさしく自由なフロイドそのものだ。
「もうヤダ!掃いても掃いても葉っぱ増えるし!なんなの!」
高い空に向かって大声で騒いでも終わることのないこの罰則に、もう一度、小さく「もうヤダ…」と呟いたと思えば、フロイドは道に座り込んでしまった。
「あれ?フロイド先輩、そんなところで何をしているんですか?」
「!」
そこに現れたのは、フロイドの救世主。彼が「小エビ」と称した監督生。
しゅん、とうなだれている姿は、その体躯に似合わず幼稚園児のような空気を纏っていて、監督生はなんだか可愛いなと笑みを漏らす。
「えっと、その箒…メインストリートのお掃除当番ですか?…ってでも生徒がこんなところ掃除してるのみたことないですけど…」
「小エビちゃーーーーーーん!!」
「わ、っと!?」
座っていた場所から立ち上がるついでに飛び跳ねた勢いで抱きしめに来た大きな身体を避けられるはずもなく、監督生はよろりとしたが、そこはパルクールをもこなすフロイドからされただけあって、硬いコンクリートの上に倒れるなんてことにはならなかった。
ぎゅーーっと抱きしめられたと思ったら、そのままストンとストリートのど真ん中に腰を落とされる。
「オレねー今、お仕置き受け中なのー」
「お仕置き?」
「なんかさぁ、先生のお怒り買っちゃってー。そんで掃除してこいって。でも全然おわんねーの!掃いてもスーグ葉っぱ降ってくるし!」
「あ〜…これだけ広いと確かに全部綺麗にするのは難しいかもしれないですね」
「でしょ!?だからもうやめよっかなって思ってたところに小エビちゃんが来てくれたから、やっぱりやめていいってことだよねぇ〜!」
「え?あはは…いや、それは、どうでしょう…先生にもよるかも…?…あっ!いいこと考えました!私も一緒に掃除します!」
その言葉に、キラッと目を輝かせたフロイドの機嫌はもう完全復活だ。本人は気づいているのかいないのかわからないが、【小エビちゃんと一緒にいられる】こと、それは彼の原動力なのだから。
じゃあ私が掃くのでフロイド先輩はその袋の中にどんどん葉っぱを入れていってくださいね、と役割分担をして、早速作業に取り掛かる。
監督生はさすがあのオンボロ寮を綺麗にしただけあって、掃除の手際はものすごく良かった。
そのおかげで、ずいぶん作業が捗って、どんどん綺麗になっていくストリート。
「小エビちゃんスゲー。オレじゃこんな風にできねぇよ〜」
「えー?そんなことないですよ?私がすごい…あぁ、違います!それはフロイド先輩がいるからです、だからこんなに捗るんですね!」
しゃがんで袋を開けているフロイドは、下から監督生を見上げ、そのタレ目をまん丸にした。
が、にっこり微笑む監督生の笑顔の後ろにあった沈みかかった太陽が眩しくて、すぐに目を細めて下を向く。
(小エビちゃんが隣にいると、なんだかいい気分だなぁ)なんてらしくもない考えがよぎって、どうにも胸がムズムズした。
「よし!これで終わりですね!日が暮れる前に終わって良かった!」
「ありがとね〜小エビちゃん。助かっちゃった〜。あとでお礼のハグするから」
「あはは…!お礼って、いつもしてるじゃないですか!」
「あれはあれ、これはこれ、だってば〜」
「ふふ、じゃあ、よろしくお願いしますね!っと…そういえば、この葉っぱたちはどこに捨てに行くんですか?」
「えっとね、焼却炉があるから〜…そこに捨てに行くんだけど、それはオレがやってくるからダイジョウブ〜」
「…」
焼却炉、と聞いて、監督生が「ふむ」と顎に手を当てる。
その様子を見て、どうしたのか、とフロイドが声をかける前に、発されたのは、お誘いの言葉だった。
「フロイド先輩、今から時間、ありますか?」
「ん?ウン、今日はシフトもねぇし、この箒だけ返して代わりにマジカルペン返してもらったら暇〜」
「じゃあ、もし良かったらーー」
数十分後、オンボロ寮前では、拾った落ち葉たちで焚き火…もとい、焼き芋パーティが行われていた。
参加者は、監督生にフロイド、それからグリム。
「せっかく集めた落ち葉なので、楽しんじゃいましょう!」
「炎は任せて〜!ってかこれ楽し〜」
「あっ!フロイド先輩、ダメです!落ち葉で遊ばないでくださいっ!」
「ダイジョーブダイジョーブ!マジカルペンがあればすーぐ集まんだから!」
楽しげな声は、一番星が空に輝いてもオンボロ寮にこだまする。
罰を受けるのも結構悪くないかもな。
そんなことを思ってしまったのだから、今後もフロイドの受講スタイルが変わることはないのだろう。