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Jade
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僕の彼女は僕の膝で眠りたいんだそうだ。そして、その言葉の通り、膝を貸せば、すぐにぐっすりと眠ってしまう。
男の膝を借りて何がいいのだと思わなくもなかったが、それは男が勝手に抱いている願望なだけで、女性だって膝枕に憧れることがあるのかもしれない。
そんなわけで、本日も彼女は僕の膝をねだる。
「ジェイド先輩。おひざ…」
「おや。今日も寝不足なのですか?」
「はい…昨日はジェイド先輩がいなかったので…」
「それは申し訳ないことを…昨晩はモストロ・ラウンジの締め作業が長引いたので」
「嘘です、昨日、ヤコウダケを一人で見に行ってたの、私、知ってるんですよ」
「ふふ…バレていましたか」
「誘ってくれてもよかったじゃないですか…」
彼女のこういう顔を見るのは、嫌いじゃない。
ただ、こんな顔をさせたくて誘わなかったわけではないので、いつも以上に甘やかしてやりたくなって、すぐにラウンジの椅子に腰掛けた。
どうぞ、というジェスチャーを見せると、タタタ、と寄ってきて、ころり、頭を僕の膝に乗せる。
小さな体をさらにぎゅっと小さく丸めて、僕の腹に顔を寄せると、一息、スゥ、と息をしてから満足そうな顔をする。
「ジェイド先輩は、いい香りがします…なんだか落ち着く…」
「そんなに息をされるとなんだか恥ずかしいですね」
「うぅん…それから…何か…音が」
「それは、すみません、僕の腹の音かもしれません。なにせ燃費が悪いもので」
ふわりふわりと頭を撫でながらクスクスと笑えば「お腹の音とは思えなかった。海の漣かと思った。」などと言うものだから、彼女の言葉選びには脱帽してしまう。
「でも、ごめんなさい、ジェイド先輩も、お疲れですよね…」
「いいえ。貴女の求めることは全部したい。これは僕の勝手な思いですので、何も遠慮せずに受け取ってもらえたら嬉しいです。それに」
「…?」
「それに加えて、今日は…昨日あなたを誘わなかった罰、と言う意味でも」
「…ん…へへ…では、お言葉に甘えて…。でも、どうして、誘ってくれなかったんですか…?」
すでにうとうととし始めた愛しいこの子には、僕の上着をかぶせて、それから帽子で目隠しもしてあげましょうか。
僕の膝の上でなら、暗がりだって怖くはないでしょう?
そうして、僕の秘密は、小さな声でそっと呟いた。
「光るキノコもいいですが、光る花というものを貴女にプレゼントしたくて育てているんです。貴女が、暗い場所も少しでも怖く思わないように」
調べたところ、一般的に生息するものはないようで、種を手に入れるのに若干時間がかかってしまったのだ。
それを植えたのが付き合い始めて間もないころで、ようやく花が開きそうだったので、昨晩その場所をこっそりと訪れていたのだが。
「見られていたとは、僕もまだまだ」
貴女の気配には細心の注意を払うように心がけていましたが、近づきすぎて傍にあることが当たり前になってしまったのかもしれません。
「貴女にキノコを送るのでは、いささか格好がつきませんからね」
何を贈っても喜んでくれるだろうと思うからこそ、一等気持ちを込めて考えたいと思うのは当たり前のことでしょう。
「ですが今は、ゆっくりと眠ってくださいね。僕の愛しい人」
心を込めて、花束を贈った暁には、きっとその華の光すらも劣るくらい、眩しい笑顔を返してもらえることだろう。
男の膝を借りて何がいいのだと思わなくもなかったが、それは男が勝手に抱いている願望なだけで、女性だって膝枕に憧れることがあるのかもしれない。
そんなわけで、本日も彼女は僕の膝をねだる。
「ジェイド先輩。おひざ…」
「おや。今日も寝不足なのですか?」
「はい…昨日はジェイド先輩がいなかったので…」
「それは申し訳ないことを…昨晩はモストロ・ラウンジの締め作業が長引いたので」
「嘘です、昨日、ヤコウダケを一人で見に行ってたの、私、知ってるんですよ」
「ふふ…バレていましたか」
「誘ってくれてもよかったじゃないですか…」
彼女のこういう顔を見るのは、嫌いじゃない。
ただ、こんな顔をさせたくて誘わなかったわけではないので、いつも以上に甘やかしてやりたくなって、すぐにラウンジの椅子に腰掛けた。
どうぞ、というジェスチャーを見せると、タタタ、と寄ってきて、ころり、頭を僕の膝に乗せる。
小さな体をさらにぎゅっと小さく丸めて、僕の腹に顔を寄せると、一息、スゥ、と息をしてから満足そうな顔をする。
「ジェイド先輩は、いい香りがします…なんだか落ち着く…」
「そんなに息をされるとなんだか恥ずかしいですね」
「うぅん…それから…何か…音が」
「それは、すみません、僕の腹の音かもしれません。なにせ燃費が悪いもので」
ふわりふわりと頭を撫でながらクスクスと笑えば「お腹の音とは思えなかった。海の漣かと思った。」などと言うものだから、彼女の言葉選びには脱帽してしまう。
「でも、ごめんなさい、ジェイド先輩も、お疲れですよね…」
「いいえ。貴女の求めることは全部したい。これは僕の勝手な思いですので、何も遠慮せずに受け取ってもらえたら嬉しいです。それに」
「…?」
「それに加えて、今日は…昨日あなたを誘わなかった罰、と言う意味でも」
「…ん…へへ…では、お言葉に甘えて…。でも、どうして、誘ってくれなかったんですか…?」
すでにうとうととし始めた愛しいこの子には、僕の上着をかぶせて、それから帽子で目隠しもしてあげましょうか。
僕の膝の上でなら、暗がりだって怖くはないでしょう?
そうして、僕の秘密は、小さな声でそっと呟いた。
「光るキノコもいいですが、光る花というものを貴女にプレゼントしたくて育てているんです。貴女が、暗い場所も少しでも怖く思わないように」
調べたところ、一般的に生息するものはないようで、種を手に入れるのに若干時間がかかってしまったのだ。
それを植えたのが付き合い始めて間もないころで、ようやく花が開きそうだったので、昨晩その場所をこっそりと訪れていたのだが。
「見られていたとは、僕もまだまだ」
貴女の気配には細心の注意を払うように心がけていましたが、近づきすぎて傍にあることが当たり前になってしまったのかもしれません。
「貴女にキノコを送るのでは、いささか格好がつきませんからね」
何を贈っても喜んでくれるだろうと思うからこそ、一等気持ちを込めて考えたいと思うのは当たり前のことでしょう。
「ですが今は、ゆっくりと眠ってくださいね。僕の愛しい人」
心を込めて、花束を贈った暁には、きっとその華の光すらも劣るくらい、眩しい笑顔を返してもらえることだろう。