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Live,Love,Laugh and be Happy!
「こーえーびーちゃんっ」
「わ!フロイド先輩!どうしたんですか?お皿洗いは今片付いたので、あがろうかと思ったのですが…」
「うん、仕事はもーいーよー」
「そうですか?じゃあなんでしょう」
「こっちきてー」
モストロ・ラウンジで私が任される仕事は、極々簡単なものが多いが、何せお客の数が多いため、何をしていても結構な時間を要するのが常だ。
今日任されていたのは厨房での洗い物だったが、やはり思った以上に時間がかかってしまった。
寮生たちが自分の担当を終えるたびに声をかけてくれたが、みんなも大変だろうとやんわりお断りした結果がこのざまだ。もっと早く終われればコストダウンだったかもな。アズール先輩に詫びを入れておこう、と頭の隅っこで考えていた矢先のお声がけ。もしかしたら、あっちからお叱り部屋を用意されたかな?と少しばかり反省しながらフロイド先輩の背中を追っていく。
「フロイド先輩、どこに向か…」
「あ、ちょい待ち」
「はい?」
「えっとね、こっから先はオレが手ぇ引いてくから、目、瞑ってもらってもい?」
「え、あ、はい。いいですけど」
「ん、じゃあお手をどーぞ!」
伸ばされた手を見て、一瞬キョトン、としてしまったが、フロイド先輩にエスコートされる気分は悪くない。むしろ最高と言って良い。
「ふふ、じゃあ、お願いします!」
「はぁ〜い。小エビちゃん一名ご案内〜!」
足取りはふらふらしない。フロイド先輩がしっかりと支えてくれているから。
繋がれた手は離れることなく、おそらくラウンジのカウンターのあたりに進んでいく。
「一旦ストーップ」と声がしたのでそこで立ち止まったら、ついで、かち、かちと音がして、目蓋の向こうでぼんやりと灯りがついたのがわかった。なんだろう?ゆらゆらと目蓋の向こうで揺れる暖かい色の灯りは。
「よぉし〜ついた〜」
「?」
「小エビちゃん、オレが、わん、つー、すりーって言ったら、それに合わせて目を開けてねぇ〜」
「わかりました」
「じゃ、いくよー、わん、つー、すりー!」
「…、っ、わ!ぁ…!」
目の前には一つの小さなホールケーキがあって、キャンドルに火が灯っていた。
それを見て、思い出す。
あぁ、今日は私の誕生日だった、と。
いつかそんな話をしたことも同時に頭に浮かんだが、正直あのような雑談をフロイド先輩が覚えてくれているとは思わなかったので驚きで声が出ない。間の抜けた「な…んで」という声に、「小エビちゃんのために作ったんだけど」とポリポリと頬をかきながら控えめな言葉が返ってきた。
キャンドルは年齢の数、ではなくて「L」型のそれが3つ。その前には「Happy!」と書かれたプレートが飾られている。
嬉しい、とか、すごい、とか、そういう感情とともに湧き上がるのは、もちろん「なんでL?」という疑問だ。それが顔に出ていたのか、フロイド先輩はこちらが聞く前に、その答えを口に出した。
「なんかー3つのエルで幸せになれるらしいよ」
「3つのエル?」
「そ。Live Love Laugh。笑って〜愛して〜生きるの。したらハッピーな人生じゃん?オレとならできると思わない?小エビちゃん」
その言葉に驚いてしまった。
フロイド先輩が割とロマンチストだということは気づいてはいたものの、実際に目の当たりにすると、いつだって驚かされてしまう。もちろん良い意味で。
じわじわと心を満たすのは、幸せ、の2文字。
そっか。私、ここにいてもいいのか。
フロイド先輩と、生きて行っても、いいのか。
滲む視界は隠すこともできず、涙は溢れて、ポタポタとラウンジの綺麗な絨毯に染みを作った。
「ねー綺麗でしょー?オレ、ホールケーキつくんのは初めてだ…」
「っ…」
「って、え?!小エビちゃん!?な、何、どうした?イチゴ嫌いだった?」
「ち、ちが、…違くてっ…」
「えぇ…?!わ、わかんねーけどごめんね!?オレのせいだよね?」
「そ、そうです、けどっ、そうじゃなくってっ」
うまく言葉が出てこない。どうしたらいいの。
こんなの、こんなの。
言葉が出ないなら、態度で示すしかないと、涙でぐちゃぐちゃのまま、フロイド先輩のストールを手繰り寄せてその胸に飛び込んだ。
「!」
「ふ、ふょ、せん、ぷぁ、ありが、と、ござまふぅ〜っ…!!」
「は」
「わ、わた、私っうっ嬉、うれし、ですぅぅ…!」
「は、はは…、あははっ!!小エビちゃん、赤ちゃんみてぇ!」
「ふぅぅぅ…っ」
「カーワイ!うん、オレも喜んでもらえてうれしー!」
「好き、っだ、いすきですっ…!わ、私に、ハッピーな人生、く、ください〜っ」
「もちろん!てか、オレ以外のやつとハッピーになられても困るって」
「ぁ、わ!」
握りしめていたストールを気にもせず、そのまま抱き上げられた私の身体。
宙に浮いたまま、フロイド先輩の優しい瞳に引き寄せられて、そのまま唇を合わせた。
最高の誕生日は異世界の王子様と。
この先何があっても、きっとフロイド先輩となら乗り越えていけるね。
「こーえーびーちゃんっ」
「わ!フロイド先輩!どうしたんですか?お皿洗いは今片付いたので、あがろうかと思ったのですが…」
「うん、仕事はもーいーよー」
「そうですか?じゃあなんでしょう」
「こっちきてー」
モストロ・ラウンジで私が任される仕事は、極々簡単なものが多いが、何せお客の数が多いため、何をしていても結構な時間を要するのが常だ。
今日任されていたのは厨房での洗い物だったが、やはり思った以上に時間がかかってしまった。
寮生たちが自分の担当を終えるたびに声をかけてくれたが、みんなも大変だろうとやんわりお断りした結果がこのざまだ。もっと早く終われればコストダウンだったかもな。アズール先輩に詫びを入れておこう、と頭の隅っこで考えていた矢先のお声がけ。もしかしたら、あっちからお叱り部屋を用意されたかな?と少しばかり反省しながらフロイド先輩の背中を追っていく。
「フロイド先輩、どこに向か…」
「あ、ちょい待ち」
「はい?」
「えっとね、こっから先はオレが手ぇ引いてくから、目、瞑ってもらってもい?」
「え、あ、はい。いいですけど」
「ん、じゃあお手をどーぞ!」
伸ばされた手を見て、一瞬キョトン、としてしまったが、フロイド先輩にエスコートされる気分は悪くない。むしろ最高と言って良い。
「ふふ、じゃあ、お願いします!」
「はぁ〜い。小エビちゃん一名ご案内〜!」
足取りはふらふらしない。フロイド先輩がしっかりと支えてくれているから。
繋がれた手は離れることなく、おそらくラウンジのカウンターのあたりに進んでいく。
「一旦ストーップ」と声がしたのでそこで立ち止まったら、ついで、かち、かちと音がして、目蓋の向こうでぼんやりと灯りがついたのがわかった。なんだろう?ゆらゆらと目蓋の向こうで揺れる暖かい色の灯りは。
「よぉし〜ついた〜」
「?」
「小エビちゃん、オレが、わん、つー、すりーって言ったら、それに合わせて目を開けてねぇ〜」
「わかりました」
「じゃ、いくよー、わん、つー、すりー!」
「…、っ、わ!ぁ…!」
目の前には一つの小さなホールケーキがあって、キャンドルに火が灯っていた。
それを見て、思い出す。
あぁ、今日は私の誕生日だった、と。
いつかそんな話をしたことも同時に頭に浮かんだが、正直あのような雑談をフロイド先輩が覚えてくれているとは思わなかったので驚きで声が出ない。間の抜けた「な…んで」という声に、「小エビちゃんのために作ったんだけど」とポリポリと頬をかきながら控えめな言葉が返ってきた。
キャンドルは年齢の数、ではなくて「L」型のそれが3つ。その前には「Happy!」と書かれたプレートが飾られている。
嬉しい、とか、すごい、とか、そういう感情とともに湧き上がるのは、もちろん「なんでL?」という疑問だ。それが顔に出ていたのか、フロイド先輩はこちらが聞く前に、その答えを口に出した。
「なんかー3つのエルで幸せになれるらしいよ」
「3つのエル?」
「そ。Live Love Laugh。笑って〜愛して〜生きるの。したらハッピーな人生じゃん?オレとならできると思わない?小エビちゃん」
その言葉に驚いてしまった。
フロイド先輩が割とロマンチストだということは気づいてはいたものの、実際に目の当たりにすると、いつだって驚かされてしまう。もちろん良い意味で。
じわじわと心を満たすのは、幸せ、の2文字。
そっか。私、ここにいてもいいのか。
フロイド先輩と、生きて行っても、いいのか。
滲む視界は隠すこともできず、涙は溢れて、ポタポタとラウンジの綺麗な絨毯に染みを作った。
「ねー綺麗でしょー?オレ、ホールケーキつくんのは初めてだ…」
「っ…」
「って、え?!小エビちゃん!?な、何、どうした?イチゴ嫌いだった?」
「ち、ちが、…違くてっ…」
「えぇ…?!わ、わかんねーけどごめんね!?オレのせいだよね?」
「そ、そうです、けどっ、そうじゃなくってっ」
うまく言葉が出てこない。どうしたらいいの。
こんなの、こんなの。
言葉が出ないなら、態度で示すしかないと、涙でぐちゃぐちゃのまま、フロイド先輩のストールを手繰り寄せてその胸に飛び込んだ。
「!」
「ふ、ふょ、せん、ぷぁ、ありが、と、ござまふぅ〜っ…!!」
「は」
「わ、わた、私っうっ嬉、うれし、ですぅぅ…!」
「は、はは…、あははっ!!小エビちゃん、赤ちゃんみてぇ!」
「ふぅぅぅ…っ」
「カーワイ!うん、オレも喜んでもらえてうれしー!」
「好き、っだ、いすきですっ…!わ、私に、ハッピーな人生、く、ください〜っ」
「もちろん!てか、オレ以外のやつとハッピーになられても困るって」
「ぁ、わ!」
握りしめていたストールを気にもせず、そのまま抱き上げられた私の身体。
宙に浮いたまま、フロイド先輩の優しい瞳に引き寄せられて、そのまま唇を合わせた。
最高の誕生日は異世界の王子様と。
この先何があっても、きっとフロイド先輩となら乗り越えていけるね。