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Azul
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「今日はバニーの日だそうです」
「そうですか。僕はパンツの日だと聞きましたが」
「先輩でもそんな話をするんですか」
「たまたま寮生の話し声が聞こえただけですよ」
「ですよね…ん?まってください、じゃあなんでこんなものが今用意されているんですか」
「っ、それはまぁ、お気になさらず!」
煮え切らない返事を添えて、さぁさぁ!と、バスルームに押し込まれた。
どうやら、シャワーを浴びてからそれを着て出てこいということらしい。
アズール先輩にはこういう趣味はないとタカをくくっていたのだが、双子あたりにでも変な入れ知恵をされたのだろうか。私は男の子の気持ちはよくわからないけれど、なんらかの憧れがあるのかもしれない。
「って言っても、ナイスバディーは持ち合わせていないので、似合うかどうかわからないですけどねぇ…」
アズール先輩が喜んでくれるならこれを着るくらいなんてことない、と思う程度にはこちらも惚れているわけでして。ただ、着て、似合うかどうかは別問題なのです、とため息をついた。
暫く。何のためとは言わないが、念のためにいつも以上に綺麗に身体を清めてから、バスルームを後にする。手渡された紙袋の中から「着てほしい」と渡されたソレを取り出した。
「んっ…これ、は、なかなか…っ…!」
ピラ、と取り出してみたソレは、上下セットの真っ白な下着と、うさ耳だった。
何がパンツの日と聞いた、だ。バッチリバニーの日も抑えているじゃないか。さらにいえばショーツには真っ白なウサギの尻尾もちょこんとついていた。
私が用意したお遊びのウサギの被り物が、どれだけ子供騙しだったか。
今は一人だし、あの真面目なアズール先輩が覗きなどするわけもないのに、思わず扉の方を振り返って確認してしまった。その行動が自分の動揺を表しているようで、もっと顔が赤くなるのは免れない。
「これを、着て、しまったら、アズール先輩は」
先輩は、どうなるだろう。
いつもみたいに倒れてしまうか。はたまたたまに見られるドSっぷりを発揮してくれるのだろうか。
「…」
想像を膨らませていたら楽しみになってきてしまった。
私も大概おもしろいこと好きな女なのである。
それに、着てくださいとばかりにバスルームに備えられていたのだ。彼スウェット(かなりでかい)が。
ちょっと尻尾が邪魔だから着ていた給仕服をまた身につけるのは少し嫌だ。しかしこの下着だけでここから出ていくのは野暮だろう。かと言ってタオルを巻いていくのも何か違う。などと思っていた矢先。
そんな時にちょうど良いこのスウェットを見つけた。これなら上だけでも十分お尻まで隠してくれると思われる。
「…アズール先輩はきっといらないことまで勉強しすぎたんだな」
うんうん。と一人納得し、それを拝借。
粗方髪も乾かしてから、意を決してお部屋に戻る。
「セーンーパーイー」
「!」
「戻りましたよー」
「っ、じゃあ、あの、次は僕が」
「はい、行ってらっしゃいませ〜」
こちらを一瞥もせず、そのままバスルームへ駆け込む先輩は、私を見てもいないというのに耳まで真っ赤にしているあたり、あれでも十七歳高校生でしかなくて、やっぱり可愛い。
先輩が扉を閉めるのを見送ってから、ぽすんと大きなベッドに倒れ込んだ。
「でも、ふーん…そっか…そっちか。自分で渡しといてみてもくれないなんて、ちょっとどころかかなり寂しいんだけどな…」
こちら、意を決して着ましたのに。
悩殺〜までは思っていなかったけれど、それでも少し期待したのだ。
最初から最後までめちゃくちゃに甘いのはもちろん好きで、甘やかされるのだって好きだけれど、甘えられるのはもっと好きだ。
「うーん。どうしたら良いかな…思いもよらない方法で仕返しをしたいっ」
扉の前で待っている…ありきたりかなぁ。却下。
ベッドの上で手を広げておいでする…いや、そんな色気ない。却下。
どこかに隠れておく?…そもそもどこに?しかも人の部屋だし。勝手に漁るのはよくない。ぐるぐると考えていると、ある一つの案が思いつく。
「あ!良いこと考えたかも!」
そうして私はお布団の中に潜り込んだのであった。
静かに静かに、先輩の帰りを待つ。
心なしか、コポコポと、窓の外から水の音が聞こえる気がする。
布団の中は、アズール先輩の香りが色濃く残っていて、スゥ、と息を吸い込むと抱き締められている様な感覚に陥る。
ああ、とても気分がいい。目蓋が落ちて、微睡んでーーー
少しばかり逆上せた状態であろうアズール先輩がバスルームの扉を開けた音がした頃には、私は夢と現の間を彷徨っていた。
頭の上で聞こえた苦笑に、少しだけ浮上した意識。
「ん…、」
「あなた、本当にいい度胸をしていますね」
「ぁ…せんぱいだ…」
「ふふ…この耳も、尻尾も、とってもお似合いです」
「…うさぎは…」
「はい?」
「うさぎは…寂しがり、なんです」
「はい」
「だから…ほっといたら、だめ、ですよ…」
それだけ言って、私は今度こそ意識を手放した。
本当は
本当は、帰ってきたアズール先輩を布団の中に引き込んで、私が抱きしめるはずだったのに。
気付いたらうさぎの耳のカチューシャは取り去られていて、腕の中にいたのは私の方だった。
「寂しがりやのうさぎは、僕が夜通し抱きしめておいてあげましょうね」
小さく呟かれたセリフは私の耳を擽って、夜の帳は静かに降りてくる。
たまにはこんな優しい日があってもいいだろう。
ただ、意識せずしてか、起きた時にアズール先輩の手がお尻の尻尾を掴んでいたことは記しておかねばならないけれど。
「そうですか。僕はパンツの日だと聞きましたが」
「先輩でもそんな話をするんですか」
「たまたま寮生の話し声が聞こえただけですよ」
「ですよね…ん?まってください、じゃあなんでこんなものが今用意されているんですか」
「っ、それはまぁ、お気になさらず!」
煮え切らない返事を添えて、さぁさぁ!と、バスルームに押し込まれた。
どうやら、シャワーを浴びてからそれを着て出てこいということらしい。
アズール先輩にはこういう趣味はないとタカをくくっていたのだが、双子あたりにでも変な入れ知恵をされたのだろうか。私は男の子の気持ちはよくわからないけれど、なんらかの憧れがあるのかもしれない。
「って言っても、ナイスバディーは持ち合わせていないので、似合うかどうかわからないですけどねぇ…」
アズール先輩が喜んでくれるならこれを着るくらいなんてことない、と思う程度にはこちらも惚れているわけでして。ただ、着て、似合うかどうかは別問題なのです、とため息をついた。
暫く。何のためとは言わないが、念のためにいつも以上に綺麗に身体を清めてから、バスルームを後にする。手渡された紙袋の中から「着てほしい」と渡されたソレを取り出した。
「んっ…これ、は、なかなか…っ…!」
ピラ、と取り出してみたソレは、上下セットの真っ白な下着と、うさ耳だった。
何がパンツの日と聞いた、だ。バッチリバニーの日も抑えているじゃないか。さらにいえばショーツには真っ白なウサギの尻尾もちょこんとついていた。
私が用意したお遊びのウサギの被り物が、どれだけ子供騙しだったか。
今は一人だし、あの真面目なアズール先輩が覗きなどするわけもないのに、思わず扉の方を振り返って確認してしまった。その行動が自分の動揺を表しているようで、もっと顔が赤くなるのは免れない。
「これを、着て、しまったら、アズール先輩は」
先輩は、どうなるだろう。
いつもみたいに倒れてしまうか。はたまたたまに見られるドSっぷりを発揮してくれるのだろうか。
「…」
想像を膨らませていたら楽しみになってきてしまった。
私も大概おもしろいこと好きな女なのである。
それに、着てくださいとばかりにバスルームに備えられていたのだ。彼スウェット(かなりでかい)が。
ちょっと尻尾が邪魔だから着ていた給仕服をまた身につけるのは少し嫌だ。しかしこの下着だけでここから出ていくのは野暮だろう。かと言ってタオルを巻いていくのも何か違う。などと思っていた矢先。
そんな時にちょうど良いこのスウェットを見つけた。これなら上だけでも十分お尻まで隠してくれると思われる。
「…アズール先輩はきっといらないことまで勉強しすぎたんだな」
うんうん。と一人納得し、それを拝借。
粗方髪も乾かしてから、意を決してお部屋に戻る。
「セーンーパーイー」
「!」
「戻りましたよー」
「っ、じゃあ、あの、次は僕が」
「はい、行ってらっしゃいませ〜」
こちらを一瞥もせず、そのままバスルームへ駆け込む先輩は、私を見てもいないというのに耳まで真っ赤にしているあたり、あれでも十七歳高校生でしかなくて、やっぱり可愛い。
先輩が扉を閉めるのを見送ってから、ぽすんと大きなベッドに倒れ込んだ。
「でも、ふーん…そっか…そっちか。自分で渡しといてみてもくれないなんて、ちょっとどころかかなり寂しいんだけどな…」
こちら、意を決して着ましたのに。
悩殺〜までは思っていなかったけれど、それでも少し期待したのだ。
最初から最後までめちゃくちゃに甘いのはもちろん好きで、甘やかされるのだって好きだけれど、甘えられるのはもっと好きだ。
「うーん。どうしたら良いかな…思いもよらない方法で仕返しをしたいっ」
扉の前で待っている…ありきたりかなぁ。却下。
ベッドの上で手を広げておいでする…いや、そんな色気ない。却下。
どこかに隠れておく?…そもそもどこに?しかも人の部屋だし。勝手に漁るのはよくない。ぐるぐると考えていると、ある一つの案が思いつく。
「あ!良いこと考えたかも!」
そうして私はお布団の中に潜り込んだのであった。
静かに静かに、先輩の帰りを待つ。
心なしか、コポコポと、窓の外から水の音が聞こえる気がする。
布団の中は、アズール先輩の香りが色濃く残っていて、スゥ、と息を吸い込むと抱き締められている様な感覚に陥る。
ああ、とても気分がいい。目蓋が落ちて、微睡んでーーー
少しばかり逆上せた状態であろうアズール先輩がバスルームの扉を開けた音がした頃には、私は夢と現の間を彷徨っていた。
頭の上で聞こえた苦笑に、少しだけ浮上した意識。
「ん…、」
「あなた、本当にいい度胸をしていますね」
「ぁ…せんぱいだ…」
「ふふ…この耳も、尻尾も、とってもお似合いです」
「…うさぎは…」
「はい?」
「うさぎは…寂しがり、なんです」
「はい」
「だから…ほっといたら、だめ、ですよ…」
それだけ言って、私は今度こそ意識を手放した。
本当は
本当は、帰ってきたアズール先輩を布団の中に引き込んで、私が抱きしめるはずだったのに。
気付いたらうさぎの耳のカチューシャは取り去られていて、腕の中にいたのは私の方だった。
「寂しがりやのうさぎは、僕が夜通し抱きしめておいてあげましょうね」
小さく呟かれたセリフは私の耳を擽って、夜の帳は静かに降りてくる。
たまにはこんな優しい日があってもいいだろう。
ただ、意識せずしてか、起きた時にアズール先輩の手がお尻の尻尾を掴んでいたことは記しておかねばならないけれど。